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詩は素

素敵と言わせたくて
素っ気ない素振りで
言葉をまさぐる


詩は素

素直じゃないから
素知らぬ素振りで
言葉をこねくる


詩は素

素顔に辿り着けない ....
十年も使い込んだ御飯茶碗を
呆気なく割られてしまった翌日
雑貨屋の食器売場の谷底を
額に不機嫌なしわを寄せながら
這いずり回っていた

掌と肘と腕に違和感を伝えない
丸みと厚みと高さ ....
少し神経質で几帳面すぎる
右手

無骨だけど何故か憎めない
左手

ろくに箸も持てないくせにと
名前すら満足に書けないくせにと
いつも左手をなじってばかりの
右手

何を語る ....
ほんの気紛れだった
マンションの折込みチラシで
折紙しようなんて思ったのは

最寄駅徒歩7分を山折り
南角日当良好を谷折り
指紋の間にかすかに残る
あどけない感触を頼りに
無骨な指 ....
猫を撫でたあとで
優しさは書かない

返信を待ち焦がれても
淋しさは書かない

軍鶏鍋を食ったからといって
美味しさは書かない

マニュアルをなぞったつもりで
愚かしさは書かな ....
鳩尾から飛び立つ
フラミンゴの羽音を
君に
聞かせてあげたかったけれど

仙骨から這い上がる
虹色の蜘蛛を
君に
見せてあげたかったけれど

せり上がる甘酸っぱい海面で
何を ....
少し前から
光合成をしなくなった

薄らいでいく光を
見過ごして
遠ざかっていく水を
遣り過ごして
余った二酸化炭素を
夢にすり替えることもできずに
ただ乾いていく

カサコ ....
呼吸のように
代謝のように
君と僕を
当り前につなぐもの

歯磨きのように
晩御飯のように
君と僕を
さりげなくつなぐもの

無理矢理つなごうとしても
呆気なく解けてしまうも ....
見つめられると目が泳ぐ 点

嘘をつくとき唇が溺れる 点

滅多に好きなんて言わない 点

温かすぎると慌てて逃げ出す フーテン

笑おうとすると頬が寒がる 点

お世辞を言う ....
僕は異物だから
君の悲しみの中で
溶けてあげられない

僕は異物だから
君の喜びの中で
泡立ってあげられない

僕は異物だけど
とても脆いから
もたれた君の肩を支え切れない
 ....
空の一番青い所から
滑り降りてきた木枯らしが
寝惚けたネクタイを
強引にたなびかせ
腫れぼったい意識を
心地好くシュリンクする

秋晴れハレバレ
ハレバレハレルヤ

空の一番柔 ....


抜けるような
青いうしろめたさを



ぽっかり浮かんだ
白い嘘でなぞって



可憐な
ピンクのあてどなさを



みずみずしい
緑のお節介が抱き ....
冷たい雨粒が
傘をノックする
居留守をつかう僕を
執拗にノックし続ける

開けてはいけない
部屋を覗かせてはいけない

開けたら最後
あいつはズカズカと
上がり込んできて
胸 ....
十月の午後の坂道は
陽が傾くほど急になる

呆気なく転がり落ちていく
未消化の棚牡丹と
未開封の地団駄

十月の坂道の午後は
追い縋るほど暗くなる

勝手に暮れなずむ
未完の ....
差し障りのない罪を
いくつも背負い込んで
眉の間に深い縦皺を寄せて
のうのうと生き長らえてきた

脱ぎ捨ててもいいような昨日を
ご丁寧にたたみ込んで
誰が見てもわかるように
不幸の ....
たった1年で
大人になった猫は

春には泡立つ光の匂いを
丹念に嗅ぎ回りながら
ひとつ歳をとり

夏には風呂場のタイルの上に
長々と寝そべりながら
ひとつ歳をとり

秋にはふ ....
止まっている
と言われた
アルバムの狭間で色褪せていく夕日だ
と言われた
食べかけたパスタの山麓で
僕は唇を噛み締めた


進め!


滞っている
と言われた
だまし絵の ....
旅立ちは賑やかだ

大皿に盛り付けられた笑顔と
色とりどりの激励の前で
あくまでも清々しく感謝を歌い
覚悟の靴紐を適当に結んだら
潔く見えるように出発しよう

旅立つ者の不安は誰も ....
つくづく
惜しい
つくづく

よしずも扇風機もスイカも
歯が立たなかった
暑いがらんどうのような
夏が逝く

つくづく
惜しい
つくづく

不安と疑念と我慢を
素肌に貼 ....
ぽとり



つぶやきをひとつ
落としてきた
苔の生えた出会いのテクニックのように


ぽとり



つぶやきをひとつ
落としてきた
迷子猫のような写真まで貼りつ ....
本当の名前なんて
一度も書いてあったことがない名刺を
感じ良く差し出す空っぽな指先

本当に行きたい場所へ
一度も連れていってくれたことがない
少しくたびれた空っぽな向う脛

どん ....
土曜日のお昼ゴロ
テレビの前でゴロゴロ

珍しくないから
昆虫図鑑にも載せてもらえず
面白くないから
観察日記にも書いてもらえず

疲れやすいお年ゴロ
リモコン片手にゴロゴロ
 ....
逃げ場をなくした熱気が
重く澱んでいる夜の底で
線香花火に火をつけると
涼やかな光の飛沫が
覚めやらぬ地面にほとばしる

しつこく素肌に絡みつく
湿り気を含んだ風の端に
弾き出され ....
ジグソーパズルの
欠けた1ピースが
見つからない

左目をなくした
モナリザが恨めしそうに
見上げている

完全であることに
恋焦がれる病が
再発したらしい

散らかった机 ....
頼りなげな黒い煙は
空に還ることもなく
密閉された風景の中へ
呆気なく取り込まれていった

昨日の端から一刀両断に
切り離された時空に
冬物の黒い服を着せ
ひたすら透明な汗をかいて ....
<種類別> アイスクリーム(自称)
<体脂肪> 22.0 %以上
<内臓脂肪> そこそこ
<原材料名>
  怠惰、臆病、猫背、妄想、未練
  安定剤(貧乏ゆすり)、乳化剤(溜息)
   ....
息を押し殺して
手のひらでそっと囲んだら
金色の鱗粉を残して
忽然と消えた

紫色の残像は
一瞬だけ切なく薫った後
押し寄せる後悔の波に
さらわれていった

視界の端をくすぐる ....
               赤く開いた傷口に

           橙の光をなすりつけ合って

       黄ばんだ言葉を交わしながらも

    緑葉であり続けようとした僕達は
 ....
粘っこい足跡なんて
振り返りたくはないし
遠くへ行くつもりもないから
マイペースの匍匐前進

アンテナは柔らかいけれど
難しい言葉は受信できないし
とてつもなく臆病だから
ツノもヤ ....
引っ掻き傷のような雨に
ふやけていく街の輪郭を
見ているようで見ていない
雨のまにまに
彼女の打算

蒸留水のような嘘が
グラスのふちを伝うのを
見ていないようで見てしまう
雨の ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
詩は素- nonya自由詩24*11-12-18
愛着- nonya自由詩16*11-12-10
右利き- nonya自由詩23*11-12-4
折紙- nonya自由詩24*11-11-30
嘘っぱち- nonya自由詩25*11-11-23
感動- nonya自由詩15*11-11-19
枯葉- nonya自由詩20*11-11-14
えにし- nonya自由詩20*11-11-11
点点- nonya自由詩19*11-11-5
異物- nonya自由詩22*11-10-29
ハレバレ- nonya自由詩20*11-10-26
陳腐- nonya自由詩24*11-10-17
雨音- nonya自由詩20*11-10-8
秋風- nonya自由詩19*11-10-2
TAKE_IT_EASY!- nonya自由詩17*11-9-28
ふんわりとした接点- nonya自由詩23*11-9-24
進め!- nonya自由詩16*11-9-21
旅立ち- nonya自由詩18*11-9-17
つくつくぼうし- nonya自由詩19*11-9-14
ぽとり- nonya自由詩15*11-9-10
ペットボトル症候群- nonya自由詩19*11-8-20
ゴロゴロ- nonya自由詩13*11-8-13
線香花火- nonya自由詩19*11-8-6
死に至らない病- nonya自由詩23*11-7-30
モラトリアムの夏- nonya自由詩15*11-7-23
僕はアイスクリームから生まれた- nonya自由詩24*11-7-16
迷いの森- nonya自由詩17*11-7-13
- nonya自由詩18*11-6-12
カタツムリ- nonya自由詩18*11-6-8
まにまに- nonya自由詩16*11-6-4

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