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これから結婚について書きます。
その前に男性側の視点であることを前提としなければなりません。
何故なら私が男だからです。
女性側からの視点で書くことも不可能ではありません。
 ....
 
 
おでんの中を艦船が航行する
デッキから若い水兵が
手を振ってくれる

大根とはんぺんが好き
牛スジは入れる習慣がない
ガンモは好んで食べないが
無ければ無いで淋しい

こ ....
 
 
列車も停まらないような
ホームの一番端でひとり
ご飯を食べている
ちゃぶ台は誰かが置いていってくれた
多分、親切な人なのだと思う

納豆や根菜類の煮物など
好きなおかずを並べ ....
 
 
目が覚めるとわたしは突然
車掌さんになっていて
最後尾の車掌室にいる
夢の続きだろうか、と思い
頬っぺたをつねろうとするのに
指が見つからない
車掌さんなんてしたことなどないく ....
  

自分の手を差し出し
握り返してきたのがタコの手である
という笑い話もあるけれど
もっと簡単に見分ける方法がある
タコに書初めをさせてみればよい
筆を持った部位が手のような気持ちに ....
 
 
冷蔵庫の中から
ぼそ、ぼそ、と
人の呟きが聞こえてきた
扉を開ける
男の人が一人で
魚卵の粒を数えていた
時々、合わない、と言って
また一から数え始める
冷気と暗闇の中で
 ....
 
 
指先に砂漠の跡
そして爪という爪、
陽炎に揺らめく廃屋の一群
排水溝を清掃する団体職員、
その煤けた
人は物だから
光に影をつくる
坂上、とだけ書かれた表示板の下に
肉も無 ....
 
 
蛇口をひねると
小さな雲が出てきました
まだ水を作っている途中でした
水道管の中から
作業中の囁きが聞こえてきます
小さな雲は部屋の中を
ふわふわ移動すると
一滴の雨を降らせ ....
 
 
真水で栞を作っています
本がすっかり乾いてしまったから
水に住む生き物や底に沈む石ころが
あれば良かったのですが
誰に許しを得れば良いのかわからないので
最初から無理な話でした
 ....
 
 
すべての子どもたちが夢や
夢とは違うものを見ている頃
誰もいない教室では
白墨が生徒の名前を
一人一人板書している

名前の下に記されているのは
その生徒にあった今日の出来事 ....
 
 
友だちの家に遊びに行った
門のところで、久しぶり、と挨拶されたので
久しぶり、と答えた
もてなしてくれるのだろうか
和室に案内されて
お茶とお大福を振舞ってくれた
正直な話、あ ....
 
 
病院の待合室で
ヒマワリたちがソファーに並んで
自分の名前が呼ばれるのを待っている
けれどヒマワリたちには
個別の名前が無いので
何時まで経っても呼ばれはしない
ヒマワリは次々 ....
 
 
ブーツを仕分ける
仕分けまくる

 「ブーツの仕分けに関する判断基準」(抄)
  第三条 良いブーツ(以下「良いブーツ」という。)は天国を歩ける
   ブーツとする。
  2  ....
 
 
僕にヒゲが生えていた頃
あなたは優しくヒゲを撫でてくれた。
今ではすっかりヒゲは枯れ
ビルなどの建築物が建ち
唇の近くまで人も歩くようになったけれど。
あなたの手のことはあまり思 ....
 
 
世界地図を描くと
いつもはみ出してしまう
そんな遠くの大陸に広がる
乾燥した椅子地帯では
今年もイスコロガシの
産卵時期をむかえている

普段、イスコロガシは椅子を餌としてい ....
逆立ちをしているゾウの足に
流れ星が刺さった
昼間の明るさで
誰にも見えなかった
ゾウは少し足が痛い気がしたけれど
逆立ちをやめてしまうと
子どもたちががっかりするので
我慢してその姿勢 ....
 
 
ハエが世界を一周した
けれどとても小さかったので
誰も気づかなかった

ハエは自分の冒険を書き綴った
ジャングルの中で極彩色の鳥の
くちばしから逃げ回った日々を
港のコンテナ ....
クジラの背中に
独裁者の豪邸が建った
どこよりも高く
民衆を見下ろせた
一匹のカマキリが飛んできて
両手の鎌でそれを壊した
拍手喝采のなか
クジラは大きな口を開けて
悠々と ....
 
 
色鉛筆のケースの中で
弟が眠っている
一番落ち着ける場所らしい
父と母はテレビを見て
時々、笑ったり泣いたりを
繰り返している
ケースから出された色鉛筆で
僕は絵に色を塗る
 ....
 
 
本の索引をめくる
たくさんの指紋がついている
たどって行くと
エスカレーターがある
エスカレーターに乗って
植物の茎を昇っていく
やがて一枚の葉が終点となる
葉の先端には小さ ....
 
 
プルプル
携帯電話がプルプル
マナーモードでプルプル
プルプルのゼリー
ゼリーの中に子ども
子どもは内側から食べる
だからますます
ゼリーは大きくなり
携帯電話は擦り切れ
 ....
 
 
帰りのバスの中で
母と娘と思しき二人が
楽しそうに童謡を歌っている
曲名も忘れてしまったし
所々歌詞も覚えていないけれど
一緒に声を出さずに歌ってみる
 
他に何もない停留所 ....
 
 
マリアナ海溝の深さに目が覚めてしまったので
朝刊を配りに出かける僕の毎日が
あちらこちらから、それは誰の所為でもないけれど
くの字や、みの字になって寝ている家族の
まぶたが開いてそ ....
 
 
シーソーの上に水羊羹
その意味の無い重さ
恋が終わる
 
+
 
ベランダから洗濯物が落ちていく
どうしようもないのに
シクラメンが咲いている
 
+
 
乾いた側 ....
水道水にかぶれた皮膚のあたりを掻く
描いていたのかもしれない
赤く、ぽつぽつと、
夕日の質感に似せて
 
滑車に吊るされている重量のないもの
贅沢は言わない
ほんの少しでも重みがあれば
 ....
 
 
鉱石の中で音符が溺れる
横のようにただ長いだけの真昼
旋律とは名ばかりの
みすぼらしい数々の記載

私たちの身体は何も語れない
具体的な生活を持たない
単なる肉の塊にすぎない ....
 
 
昨晩、言葉をひとつ忘れ
人との会話がおぼつかない
壊れてしまった
ジュークボックスのように
 
直射日光に溶けていく日傘や
くもの巣にかかった小さなプロペラ機
そんな類の話を ....
 
 
今日、先生は優しかった
黒板に大きな
黒板の絵を描いてくれた
それから、ぼくらの名前を
ひとりひとり読み上げて
絵の黒板に
名前の絵を描いていった
校庭の先にある建物の方から ....
 
 
水に汚れた草花
ヒトは抗弁を繰り返す
木漏れ日の中
黙とうの中
唇と弾とが交わる
契約は成立したのだった
外側からしか見えない
古い木枠の窓辺に
あなたが車椅子に座ったまま ....
 
 
枕元のバス停に
バスがとまる
幽霊たちが降車してくる
薄目で見ると
いつもと同じ顔ぶれ
時々人数が違うのは
シフトなどの関係だろうか
幽霊たちは寝ているわたしに気を遣って
 ....
乾 加津也さんのたもつさんおすすめリスト(132)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
結婚について- たもつ自由詩2411-2-16
帰還- たもつ自由詩711-2-11
お代り- たもつ自由詩2011-1-23
車掌さん- たもつ自由詩511-1-18
タコの手- たもつ自由詩711-1-8
呟きの夏- たもつ自由詩311-1-7
風葬- たもつ自由詩310-12-29
童話(雲)- たもつ自由詩610-12-24
童話(栞)- たもつ自由詩410-12-21
教室というところ- たもつ自由詩610-12-20
おもてなし- たもつ自由詩1110-12-18
ヒマワリ病院- たもつ自由詩610-12-12
ブーツ仕分け- たもつ自由詩210-12-11
僕にヒゲが生えていた頃- たもつ自由詩8*10-11-28
イスコロガシの話- たもつ自由詩510-11-13
ゾウの話- たもつ自由詩1610-11-10
ハエの話- たもつ自由詩1210-11-9
クジラの話- たもつ自由詩610-11-8
色鉛筆- たもつ自由詩1910-10-30
索引- たもつ自由詩510-10-26
プルプル- たもつ自由詩310-10-22
喫煙- たもつ自由詩810-10-18
朝刊配り- たもつ自由詩310-10-17
明日の天気図- たもつ自由詩610-10-12
滑車- たもつ自由詩1010-10-8
理由- たもつ自由詩710-10-5
部品- たもつ自由詩710-9-25
黒板- たもつ自由詩910-9-15
契約- たもつ自由詩410-9-7
幽霊- たもつ自由詩910-9-5

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