ないしょのことは
ないしょにするから
それまではあそぼうね
夢でも会えるし
いますぐにあいに行くこともできるよ
のぞめば
のぞめば
いつでも
現実は直角に交わるし ....
ゆうちゃんは無口な転校生だった
四年生の春に
ぼくのクラスにやってきた
ゆうちゃんと、ぼくは
なぜか気があって放課後はいつも一緒にあそんだ
がっこうは友だちできへんからきらいや。
....
ひかってたのは
真珠じゃない
水滴じゃない
耳飾りじゃないし
ドアノブでもない
疲れていた
疲れていたし
悲しかった
ひかってたのは
真珠じゃない
泣いていたのは
君 ....
例えば今 深い海の底で
目覚めたなら そこに 何が見える?
何も動くものはない ただ君だけを除いて
例えば今 霧が晴れたとして
目覚めたなら そこに 何が見える?
誰も気づくものはない ....
透き通ったグラスに
白く砕けた貝殻を入れる
カラカラと乾いた音が
私の耳を潤す
グラスに耳を当てれば
澄んだ音色が
脳天から足の爪先まで
私の体を支配する
あなたは恥ず ....
かり かりらん からん
鉦の響きが行列を先導する
満ちていく途中の
なまめいて誇らしげな月の下
馬の背には選ばれた幼子
金襴にくるまれて
視線を集める戸惑いを隠せず ....
街を包む 夜の翼よ
夢のない眠りへ 連れて行け
街を照らす 月の明かりよ
行き場のない者にも 安らぎを
街を駆ける 夜明けの風よ
生まれたての歌を 届けにゆけ
風に揺れる 木々 ....
いつもの時間の
いつものバスに乗って
いつもの席の
いつもの窓に
いつもの体制で 頬杖付けば
いつもの眩しい日差しが入ってくる
いつものように 目を細め
いつもの 陽の当たらない反対 ....
室内楽
感銘という
陳腐な言葉で飾り立てられた
フリルとボウのブラウス姿の種馬が行く
題字ばかり大きい
ささやかな詩集を片手に
トム・ジョード役ばりの
理知的気品を醸し出す歩幅を以 ....
きおくも れんが色になれば
なくなるばかりの 公園のベンチは
にじんで消えて ● ●そぼ濡れ枯れる
潮のわかれに ● ●つめたさが湿 ....
わがままで
おろかだった
あの子のこと
ほんとうなら
愛したかったな。
でも
できなかったから
腕も
細すぎたし
すこし
まるくなって
遠くなった
あの子のこと
....
わたしが
波になるから
あなたは
なみうち際になって
いろんなものの
死骸が
流木のように
なめらかにうちよせる
そろそろ
語り合うのは
おしまいにして
あた ....
かたまったぼくのたかまりたかまったきみのからまり夜のまにまに
肩上から指先にむかってながれる一本(くだ)を
ふき こすり たたけば
装置はあやしく
黄昏もする
段々畑にくみあがる椅子に 沈み
ホールそのもの
の
しずくのような響体構造が 浮く
....
また一つ仕事を投げだして どうせクズさと吐き捨て
さっさと歩き去った
夢と野望だけはやけにでっかくて
あの子との誓いを忘れるくらいに膨らんで
身体一つでぶつかっていって 見事粉々に砕け ....
咲いたあとのしなびたアサガオ
ひらひらとゆれる紫のスカート
ただ今はパンをたべる
わたしは夜が明けたのでたべる
すー とする空気
誰かのたんじょうび
そのことばのままに
手を ....
幾世紀もの家族がつながった半島の先端
岬はいつもそこにあって
空と海の高さを測り
見知らぬ明日の水平線を描いてきた
海を渉る鳥たちのために
半島に帰る人びとのために
灯りの落ちた ....
正面から対峙すると
恐怖が態度にあらわれるので
無関心を装って
彼のエリアを侵害してみた
背に視線が突き刺さる
敵意のこもった目の奥に
彼の過酷な過去を想像する
その威嚇の表情に ....
文文文文文文文文文文文文文文文文文文文文文文文文
shakeeeeeeeeeeeeee hands!!
わがままなあなたのReは愛しても
まだ足りないと盗みいるひと
雨の夜は朝がこないとテレビのなかの猫たち
雨でも散歩はできるよね、と
傍らのちいさな犬はぽつり
おやすみが言えなくな ....
いいわけが思い付かなくなった
こじつければ無限にあった
あの頃は確かに
言葉は弱い私たちの
味方だった
* * * * * * *
体育館の
高い窓を見ていた
仰げ ....
お好み焼き、したいと思った。んで、さっそく朝から買物にゆくと、ジャスコもライフもイズミヤも近商もどこもみんな群馬産のキャベツだった。わざわざ手間と時間をかけて西日本の肉や野菜を関東方面へ出荷し、その後 ....
空いてます
ぼくのとなり
とても広くて
あなたのわがままはすべて叶います
来ませんか
ぼくのとなりへ
ちょっと高くてこわいし
階段もないけど
その右手も 左手も
ぼくに差しの ....
うだる夏
蔓をのばし 背をのばす
巻きつく ぐるぐる
行き先はどちらですか
天ですか それとも天国ですか はたまた地獄
我が家は関東と東北の血筋が強いもので
ゴーヤなんてそんな ....
八月
隙間のない日差しが街を埋めつくして息をとめた地上
の生きものたちは白い化石になるだろうか
昼下がりの昆虫のように日差しを避けて地下に逃れた
人びとの背にうっすら
あの日の地核の影が ....
暑中お見舞い申し上げます。 たま
地下鉄
地下鉄はまっすぐ走るものだと思っていた
車体が傾いてとなりの女の顔が急に近づいた
ね、 複雑でしょ・・
耳元の吐息はいつも体 ....
仕事をおえ
歩む家路の安らかさ
大切な人とともに食べる
白米のしぜんな旨さ
簡単に愛してよ
行間にひそませた
なんやかんやはいらない
....
いま
鏡に なにか映った
鏡に 誰か映ったよね
部屋には誰もいない
僕以外は誰もいない
なんだろう なにか
なんだろう 誰かがいる
いま
鏡に なにか映っ ....
この街に雨なんていらなかったはずなのに
梅雨が来たからってだれひとり喜ぶ術もなかったのに
転ぶようにして降りる戸越公園駅のみじかいホームは
いつも苦手だった
ドアカットがなかったころの ....
あとかたもなく崩れゆく遠い果実を見つめている
Hのしろい指がりんごの皮をむく
どこまでも切れることなくつづく紅い航跡はこの星を
ひと回りしてわたしのからだのやわらかい節々にから
みつく
....
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