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一日に一度は玄関を開けているだろう
仕事に向かうためだが
僕は薄汚れた透明な抜け殻を羽おり
「僕」の言葉を放り投げる
外に出れば
そこは樹木の生い茂る密林だ
昨日通ったはずの道は
....
祈り捧げる
オリオンの夜に
わたしはあなたの首輪となりましょう
締め付けて
もっときつく
わたしの憂欝は
すでに蛇のようにわたしに絡まり
両手を合わせるのさえ
まるで機 ....
響き
(響き)
朧夜が鳴いている
乳白の温もり
掌の母の心音
(迷い)
蝶に吸われて
ひらり
闇夜に零れる
(嘆き)
蓮の華 ....
甘くひとくち
昼下がりを赤く染めて
コラージュ
黒いリボンで束ねてほしい
娼婦の真似
いけませんこと
ここは
秘密の花園
あなたが
最初の尋ね人よ
そこで
お待ちになって
ビスケットのあと
キス ....
「へそ」
夕立とともに雷が落ちる音がして
少年ははっと目覚める
もしかしてへそが盗られていないか
あわててシャツをめくり
お腹にちいさな穴が残っているのを
確認して
ほっとしながら ....
僕は何のために
生まれたのでしょうか
僕はここで果たすべき役割は
なんでしょうか
わからないままに
僕はいまあなたの墓の前にやってきました
爽快な空の下
あなたがいたこと
....
幻
潮風が運んできた
君の幻
もう振り向かない
そう決めた僕だったが
君も背中しか見せようとしない
熱い砂地は
思い出を焦がし
人魚になろうとしている
君がいる
あなたはいつも
ことば
そのもの
あ・う・んの息が
僕の水晶体を潜り抜け
脳髄でぱっちり点滅する
あなたといつも
ことば
戯れてごろごろ
猫じゃらしであやしたあとで
バケツ ....
1+2=
「たけちゃん。
おつかいにいってもらえるかな。」
「うん。
いいよ。」
「みかんひとつとりんご二個買ってきてほしいの。」
「ひとつとふたつ・・・・。」
....
麦わら帽子の片思いは
たんぽぽの種になって飛んで行った
新調仕立て背広の恋愛は
勿忘草となって枯れていき
覚悟を決めた愛情は
ブーケの花となって咲いていった
白髪交じりの ....
わたしは眠る
何処に
毎夜訪れる生贄の儀式
わたしは焼かれて
再生させられているのかもしれない
夢を往復するために
いや
目覚めこそ幻覚
わたしは起きている感触 ....
きっと世界は
音と手を取り合って結ばれている
僕の中で
聞こえてくるのは静けさ
初めて世界に触れたとき
教えてくれたのは無数の音の生まれ変わり
そのときから
僕は独りを知った
....
おはよう
君の声が聞こえただけで
こんなに朝は踊るよ
眩しいのは
陽射しが口笛吹いているから
朝露垂れて木琴を叩く
こんにちは
君の笑顔と弾んだ君の声
僕はおかげで嬉しくなって ....
僕のしがない手を
君への花向けだと思って受け取ってくれ
僕の干からびた足は
君への愛着だと思ってくれ
僕の垢だらけの耳は
君への差し入れだと思ってくれ
僕の乾いた眼球は
....
「恋」
七年目の恋に
激しく身悶えするような
情熱を注いで
イケメン男子は
初夏に早々と
もてないブサイク男は
落ち葉を揺らしながらも
たった一人の女しか ....
「疼き」
わたしは女吸血鬼
逞しくばしっと叩くような男が好き
やるかやられるか
そのスリルがわたしを余計興奮させるのよ
でもね最近
草食系とか言って
わたしを見ただけ ....
電話が鳴った
君は「暇だから・・・」
と言った
白い雲が
空の端から
反対側の端に流れていったのだけ
覚えている
電話が鳴った
君はいつになく無口で
雨音が聞こえていた
....
忘れてしまった
君の声は
天使の羽根になって
触れたはずの
君の髪は
星空をすうと流れて
あの頃の時間は
ガラスの破片となって
静かに波の音だけが聞こ ....
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