そのメーカーはあった
コガネイ係長の言うとおりだった
最初にかけてみたメーカーがそうだった
そこのなら、移設でもシステムやりかえでも、何でも出来ますよ、元そこの社員の設計がうちにはいますから ....
その街は静かになりました
もう、人間しかいませんでしたから
精霊も、神様もいませんでしたから
なのに彼らは恐れていました
もう、人間しかいませんでしたから
精霊も、神様もいませんでしたから
....
圧迫 閉塞 窒息
肺をもがれたみたいで
息が出来なくって
縋るように窓へ駆け寄り
愕然とする
そこにも また
目の醒める様な拒絶があった
手があるから
何も作ることが出来ない
足があるから
何処へも行けない
頭があるから
本当のことは何一つ考えることが出来ない
体があるから
心があ ....
きみんとこ、自動倉庫できるんだ、
ようやく工事物件の話をひとつ掴んだ
いまある自動倉庫を移設したいんだけど、きみやってみる、と現場のコガネイ係長が声をかけてくれたのだった
カタヤマの言い ....
雨が降っている
雨は私の屋根を打ち
私の壁にしみ込んで来る
雨が私の枕を濡らす
水というより、夜の、宇宙の体液だ
雨は、私のマスカラに降り
私の服に降り
私の靴に溜ま ....
非対称のしあわせ
暗がりのむらさき
すれちがう音
知ることなく去る音に
黒が結ぶ蒼
星ぬぐう想い
明かりの消えた
棘 棘 棘
招びよせたなら
(ぬくもりな ....
いっこの点
ぐいるぐいる
切断面
にぃぃつやと
喉仏を動かして
ありったけを
跨ぐ
道と道が交差する
信号機は
滑舌よく
大人たちは
お囃子に合わせて
黒い眼を回しだす
....
{引用=
降りてくる朝の手綱を引いて
静寂の中にひっそり佇む戸口を叩く
小径を満たしてゆく血潮が瞼を温める
レンズの向うに産まれた半透明の結晶が
ぶつかりあって溶けてゆく
あらわれ ....
荷を捨て
独り旅立ち
異国の河辺にたたずめば
思い出すことに
寂しき我が身に涙零すこともあるだろう
河面に映る私は
過去の者か?
これからの者か ....
きょう今からそっちに行こうと思うんだ、
社長から所長の件でお客様をまわるから一応お客様の昼からの予定を確認しておいてくれとのことだった
シバタさんにはあえてしなかった
シバタさんはことさらユ ....
花園に対する興味を失ってからもうずいぶんと経つが
今更になって入場を許可された
偶然にも暇をもてあましていたということもあり
成り行きでそこへ向かうこととなった
かつて想像していた光景ほど色鮮 ....
みあげると
よぞらである
ほしひとつない
わたしのひふの
うちがわである
こどくがつづく
さばくをあるきつづける
わたしである
こえがとどく
あなたのよぞ ....
あなた。
私。
死ぬ。
生まれる。
生きる。
生命。
宇宙。
全て。
ひとつ。
AUM。
今日もネットで
あなたとこんにちわ
お元気ですか?
今日もおしゃべりしましょう
他愛もないお話を
液晶画面越しに広がる世界で
楽しいですね
うん 楽しいで ....
自らの居場所を知りたいのなら
ただ詩(うた)を歌え
一つの視点に立ち
高らかに歌え
恐れも
喜びも
嘆きですら
恥じる事なく
ひたすらに ....
嫌な先生がいた
すごくすごく嫌いだった
何かにつけて私のことを
何でも解っているような
笑い方が大嫌いだった
でもある時
風のうわさで聞いたのは
....
所長とお客様のところですれ違うことが多くなってきた
常務のイケダは、それは社長と片山先生のまいた種だから上田くんは悪くないよ、と言ってくれた
さいきんやっぱりシバタさんが印鑑ついた発注書がない ....
幸せは 手に入れた瞬間から
少しずつ こぼれていくから
幸せを 手に入れたなら
真空パックで 密閉して
....
あまりにも偶然の
そういったひとつの雫のように
午後の空は案外小さいものだ
倒れている私には
自分が呼吸をしているのかさえ曖昧で
ただ
降る眩しさだけがほんとうだった
(やっぱり ....
羽をもがれて
あなたは水に四肢をひらいた
金にも見える
銀にも見える
波が燃えて
緑に落ちる
手のひら消える
手のひら見える
息が息をふちどり
冬 ....
{引用=
君はどこから
何を引っ張ってきたのか
そんな
顔をして
僕には
読み取れない
君の
やせた歯茎が
うれしいのか悲しいのかどうか
ま、
と ....
ふくれる。頭をかきむしる。悪くない。これは悪くない。何をしてもどこまでも許される。母さんはそう言っていた。空腹。水ばかり飲んで、血の通っていない胃袋。越えてしまう。越境。満たしたい。頂点を迎える午前 ....
ユキオは高速を高松ではなくてヨシミに向かって飛ばした
酒造メーカーの博物館で事務をしているヨシミに3時くらいに着くから早退しろと言ってみた
わかったよ、と即答で応えてくれたことにユキオは感謝した
....
春を待つ誰もの浮かれた気温の中
鉛のような重さを持って鎮座していた
深い霧の奥から一点だけを見詰める眼差し
臆病な羊たちのそれとは違う
狼の口元に漂う吐息を纏った鋭利な眼光
まるでそこだ ....
23時。
さてと、と男は義手を宇宙に伸ばす
するすると、それは暗黒へと伸びて行く無限梯子
スコッチのグラスを置いて、バケツをかぶると
穴だらけのおんぼろアポロで出発だ
ずっと宇宙とコンタクト ....
「フッ…悔しいが、どうやら勝負あったようだな…」
「貴様はよく戦った。手向けだ、言い残す事あらば聞いてやろう」
「ならば…………永遠にキミを愛してるんだぞっ☆」
「なにっ?」
....
コンビニで おでんひとつだけ 頼んだら
大根のかけら 入っててほしい
{引用=
縦にいっぽん白い線のはいったおなかが
すこしずつふくらんでいく春です
わたしの下着が汚れずにいたから
とてもとても不安でした
赤いものを疎ましく思っていたはずが
今はほん ....
逃した魚が尾ひれを揺らしながら
泡のような歌を唄うから
僕とお母さんは今夜もふたりきり
空っぽのお皿を囲んでいる
待ちくたびれた夢の中で僕は
とても大きな魚を釣った
お父さ ....
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