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080815
着地点が近すぎる
踏切の足がとまどう
利き足が不満を述べると
利き手がなだめ役に回る
踏み切り板がサボタージュする
砂場の砂は少しだ ....
友だちの
りんご畑から
りんごを盗んでしまった
十数年後
街でばったり
友だちに会った
一緒にお酒を飲んだ
ふところには
あの日のりんごが
ひとつあった
りんごは ....
それは
細く透明な糸に操られた
いっぺんの羽である
淡いひかりに温められた石のうえに
ふわり、着地しそうにみえて
寸前で自由に浮上する
どこかへ帰着しようなどという
よこしまな結び目 ....
それは、あまりにも失いがたかったのですが
みずいろの中で
其の風がひとり花占いをしていたので
とても寂しく思ったのを覚えています。
花は
時にわたしのなかを駆け巡ると
....
黙祷
という
防災無線の声
目をつむると
蝉の声だけがうるさく
じりじりとまるで焦げ付くように
太陽が見下ろしている
これが
平穏
というのなら
ぼくたちは幸せにならなくて ....
お前、その歳で病院辞めて
老人ホームで何してるのさ。
歳を取ると若い時と違って
目も、歯も、膝も、腰も…
病気になることも、仕方ないことなんだよ。
体がどんどん悪くなるのは、当たり前 ....
一方が立ち止まり、つられて顔部分を黒く塗りたくられた壁のはり紙を見はじめ、所感を述べあう二人がいた。一人は融けかけたアイスを食べていた。わずかに背の高い方はその内容に人生を絡めて例えた。少し背の低いも ....
宇宙は水飴色です
ゆっくりと
ながく
{ルビ湖=うみ}に似た時間の中で
シクリと微笑んで
星は甘い時間を漂っています
例えば恋人のこととか
例えば死んでしまったこととか
そうして
い ....
県道に戻ると
職員が猿を駆除していた
何ですか
このアンテナみたいなの
んとね
畑が荒らされてさ
人にきこえねえ音出して
猿をいやがらせてんだ
そうですか
ど ....
白いボードを指さして賢者のフリをする
希望という字を探してみても結局はあれだ
僕の腕を支えているのはそんなまやかしではなく
他ならぬ自分だと
遅かれ早かれ気付いてしまうから
時折、こうし ....
女の子がぺぽさん
私の父が一昨年前に
亡くなったんですよ、と
つぶやいた。
あまり面識がないのに
心を許してくれた。
とっさに「お父さん優しかった?」と
聞いてしまった。
何を ....
タンスの奥から
古くて細いウェストの
ジーンズが出てきた
穿かせるように
開いてみたら
若い時の僕が立っていた
照れ屋もいいけど
好きな娘には好きだっ ....
花のように 電気のように
一回転したぶらんこのように
嘶く牛蛙
はずかしい空に散る
仏壇を開けると
そこにお寺が現れる
だから
仏壇は小さなお寺だ
それがおもしろくて
子供のボクは
仏壇の扉を
開けたり閉めたりして
遊んでいたら
親におこられた
大切な仏壇で遊ぶな ....
夕方の上り通勤快速は
降り出した雨を切り裂いて走る
車内は意外に混んでいて
ロングシートは満席で
吊革に片手をぶら下げて
流れる車窓を流れる雨滴を
ぼんやりと眺めていた
雨の駅に ....
「せんせい、青がせまってくるよ」と
生徒が窓を指さした
びっくりして窓を見たけれど
せまってくるように見えたのは
くっきりと浮き立った白い雲で
その背景にひろがる青は
たしかに夏空 ....
今夜の献立
・夕焼けと向日葵の背中の煮物
・虹のフライ
・蝉と夏休みの子供の声の和え物
・打水のおつゆ
ごちそうさまでした、と
流しに綺麗な皿が
水に浸さ ....
新聞脳の父と
テレビ脳の母と
YOUTUBE脳の子供が
小さな家に住んでる
すべて借り物
いらなくなれば捨てられてしまう
情報のはかなさ
メディアのくるしさ
家族の双方向性
....
たばこ
それはヒトを好戦的にする
きつえんしゃ
は 非人道的存在だ
でなければ旅先で 略奪などするわけがない
虐殺者の大多数が 愛煙家なわけがない
ああ幼子を傷付けたくない一心で
花火す ....
ガラス張りの冷蔵庫から
ぼんやり眺める街並みは
いつか見た夢のように
とても希薄で
行き過ぎる人影は
照りつける陽射しに
丁寧に舐め回された揚句
溶けかけている
薄いアイス ....
毎日あくせく働き
晩には疲れ果てる
腕が痛くなる。
足が痛くなる
コーヒーいれて
くつろぐ
ドリップしたては
美味い
汗水かいて
ハンカチで拭く
日に焼けるのがイヤだ
帽 ....
{引用=
***
}
ベッドの下の人たちを看取る
{引用=
***
}
自動二輪の音がきこえるしんしんと
暗闇にほの白くうかぶアークは
かわらずまわっているのか
確実の ....
早夏に 散り遅れた雨雲が
スコールよろしくざんざんぶらす
傘の下で
本当は投げ出してずぶ濡れたい
そんな大雨のなかでの抑え易い衝動が
傘の下で
本当は水溜まりで靴を ....
なにもない部屋の中で
ぼくがひとつ
転がっている
さっきまでふたつだったのに
いまはひとつになった
夏の夜は蒸し暑い
指の間にも汗かいて
まぶたのまわりもしっとりしてて
ひざの裏が ....
(1)
明日と言う日の訪れを恐れるときがある
気を紛らわすことさえままならず
早々に床についたとしても
考えるのは埒のあかないことばかりで
苦し紛れの寝返りを打てば
人の気も知らず目覚 ....
睡眠、不足
よだれ、たれ
たまらない、ポチ公
部屋、片隅
凍る水蜜桃、嗅ぐ
月兎模様、紅色暖簾
ハサミ、刻まれ
切り絵、描かれ
暖簾、風穴
埋めてけ、隙間
切り子細工
音高く、風 ....
おれの妻には
感心する
女の共通なんだけど
純粋なんだね
演技なんて
全然ない
嫌いと好きが
はっきりして
俺のこともぼろくそに
言うが
時にはめっぽう
褒めてくれる
計算もな ....
ドッグフードをなめつくし
ジャーキーを食べつくし
きたる時代の波
ガソリンの高騰
雷がとどろき
雨がどしゃ降りだ
停電し
風が窓を叩く
わたつみが怒り
船をのむ
教会に雷が ....
ぎゅー
とか言いながら
小学生の次女が背中から抱き付く
突然の攻撃に弱い僕は
反射的に振り払う仕草をする
から彼女は頬を膨らます
いつものパターン
だけど今日はちょっと事情が違っ ....
K点超えの地平線の、
ホワイトアウトする境界で
メガネも曇って、
つーか、プラスチックが劣化しててさ
学者より怖い何かが
おれたちは霧のなかだから
知らない
わかんない
どこに動か ....
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