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あんまり好きじゃない、甘いクッキーを口に運びながら
どうしようと思い、でも電話をしてみる。
3か月ぶりの声。
電話になると聞き取りづらい、こもった低い声。
「会話が圏外だよね」と笑いな ....
靴をはくくらい自然に恋ができたら良いのに、と思う。
たとえば右と左を間違えた、と言い訳ができる。
きのう雨で濡れてたんだって思いだせる。
今日は見栄を張りたいと自覚できる。
もう少し大人び ....
髪なびく風通り抜けるTシャツの袖つまんだら恋走り出す
真っ白なシーツに夜を預けたら眩しい光に「おはようございます」
「おはよう」とまだ寝てる声で返事する眼をこする手すぐわたしに触れて
....
{ルビ生命=いのち}{ルビ繰=く}る親指の垢{ルビ擦=なす}り付け新たな{ルビ頁=ページ}アルバムに増え
{ルビ霞=かす}みゆく夕方と夜の隙間の紺ハイライトの箱投げ寄越す君
かろうじて上が ....
火曜午後喫茶店のコーヒーを猫舌ですくう君の口元
窓枠の銀色のふちと重なった空の灰色二十代の時
さっくりとすすむ静かな五月の{ルビ陽=ひ}自転車こぐ足軽く浮き立つ
かさをさしながら自転車をこぎだそうとしている男の
ぎこちないひだりてと
ジーンズのひざのうしろあたりが
みょうに
みょうにあたしのきをひいて
その男のかさのいろと
いまのそらのいろがお ....