確かなものが欲しい、と泣いた
そんな日々には
野良犬たちも
たんぽぽも
いつもの帰り道さえ
他人だった
君の小指と僕の小指を何度絡ませて
....
街なかで白い小鳥を配っていた
籠に入ったたくさんの小鳥を
小鳥配りの人が要領良く配っていく
受け取らないつもりでいたのに
いざ目の前に出されると受け取ってしまう
わたしが手に取ると
それは ....
あの、ね
君の語りの中にはいつも海があって
壊れた砂時計が海岸線を塗りつぶしている
波はいつの間にか言葉になって
こだまする、喉の奥
赤いうさぎを抱いた少 ....
皿の上に不恰好な卵焼き
違うようホットケーキだようと
いもうとがきゃんきゃん吠え立てている
味は悪くないぞいもうとよ
頭を撫でてやると
子供じゃないんだからと言って
手をぽんと払われた ....
洗面器に溜まった
掬い上げた幸福を
すぐに戻した
指を広げれば
その間から幸福が
とろとろとろ、
相応しくない
相応しくない
そうして、
僕が幸せになる事
決して無くなって
....
だれかに抱きしめて欲しい
だれかに許して欲しい
だれかに認めて欲しい
幼い子のように
頭を撫でて
「がんばったね」
「えらいね」
その言葉が欲しい
その言葉だけで救われ ....
橋はもうないのに
人は渡っていくのだった
橋の向こうには
もう誰もいないのに
それでも会いにいくのだった
いつからか
橋を渡り終えると
振り向く癖があるように
正気を失いながら、それでも
わたしたちは、生まれてしまうのだろう
何度も、何度も、
そしてほんとうは
一度だって、死んだことはなかったのだと
臨終のそのときに、知るのだろう
....
わたしを手渡されたときの
あなた
ちょっと驚いたように目を丸くしてたよね
ぎこちなく両手で受け取ってくれて
すなおにお礼を言ってくれた
わたしは
この日のために生まれてきたようなもの
....
言ってしまった言葉は
私と一緒に辞書を引き、話し、
消えそうになりながらも
風呂の湯気に纏わりつかれて
額にぺたんと落ちてきた
心にもう一度生まれ変わると
頭でっかちのいやらしい私に
奴 ....
風になり、花になり
ずっとそばで―――
今日は街に雪が積もって
めったにないことだとニュースでも騒いでいました
わたしはそのことが少しばかり怖くて
あなたの手を握ったのです
やわらかく ....
伝えたいこともなく君は背中の彼方に
誕生日はただの24時間であり
裸もただの曲線であった
一つも通じないランゲージが
シーツの上で収束していく
こうしてまた季節は過ぎるのだった
今年は ....
私は独りで自慰をするしかなかった
匂いなら今もそこここに
残っている
けれど
本当はそんなもの
もう
何の意味もない
忘れない
ぬるい風が頬を撫でていた
あの真昼
二 ....
目的地を探して
彷徨う心の軌跡は
直進し
蛇行し
迂回する
高い山の頂上を
目指すルートを探しているなら
地図を調べればいい
かつて登った者に尋ねてもいい
頂上の
その一点が
....
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(15)
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