すべてのおすすめ
強過ぎる日ざしが
真上から
直接脳に突き刺さる
そよ風が
熱風に変わり
日傘を裏返しにしようと
襲ってくる

バッグからハンカチを取り出して
涙をぬぐう
何度立ち止まって
ハンカ ....
父の手をさする

硬く曲がったままの指を
一本ずつひろげ
滞ったものが
少しずつ流れていくように
強張ったものが
僅かにほぐれていくように

節くれだった
頑丈な父の手

鍬を ....
根を断ち切ろうとしたから
枯死しかけたのだ
根は父からの愛

古い蔓を伐ったから
新芽は萎れたのだ
古い蔓は母からの愛

依存することを嫌い
愛されることを拒んで

君は自分にな ....
空は薄暗いのに
色とりどりの看板や
揺れる木々の葉を
濡れた舗道は律儀に映し出す

冷たく滲んだ風景画を
靴やタイヤが
踏んでいく

ブラインドの隙間から
見ている私の
雨の記憶 ....
雨が降りやみ
風も吹きやんだ

笑顔のままで
濡れそぼる重たい旗を
強風に煽られながら支え続けた
孤独な旗手の闘いも終わった

鈍色の空が少しずつ明るくなると
どこかで小鳥の ....
今年友達になった人が
フウセン蔓の種をくれた
うちの庭に咲いたの
私が種を採ったのだから
春になったら撒いてねと言った

フウセン蔓の花というものを
私は見たことが無い
二十年も前に
 ....
他人のせいにできないから
簡単に
諦めたり
開きなおったり
すべてをしかたなく
肯定したりもできないから
君はいつも
自分に厳しい
そんな君を
素敵だと思っても
緩い自分の
誉め ....
友の庭に咲いていた
白いリラの花が羨ましくて
根元に生えた幼木を譲り受け
我が庭に植えた

植えた翌年は庭の隅に
ひょろりと立つだけで
花をつける気配はなかった

何年もの時を費やし ....
どんな神が
人に 憎むことを
殺すことを
命じたのだろう

信仰などなくても
人は憎み合い
信仰などなくても
人は殺し合う

信仰などなくても
愛し合うことだって
でき ....
土が乾き過ぎていて
少しくらい水を撒いても
表土にはじかれ
低い方へと流れていった

心が渇き過ぎていて
言葉ははじかれ
疑いと
拒絶の方へ流されていく

二度と打ち解けることは
 ....
山の桜は満開でした
おとうさん桜だよ
見える?

父は眼を見開いて
悲しげに少し眉を寄せて
(眩しかったからかもしれない)
車いすの上で
桜をじっと見上げた

あー見てる見てる
 ....
白木蓮の花びらが
届かなかった手紙のように
散り落ちている

強い風の吹く
五月の日暮れ

咲いたばかりの桜が
ちりぢりに
遠くへ吹き飛ばされていく

行かないで・・

白木 ....
パンジーの隣に
スィートアリッサムを植えようとして
移植ごてを手に
しゃがんでいた

視界をよぎる小さなプリズム

見上げれば
空はどこまでも青く

あたたかくなりましたね
本当 ....
私は卵を毎日産む
優秀な鶏
多くの同胞と同じように
一羽ずつ
ケージの中で大切に守られ
整った環境で
健康に育てられ
栄養が 無駄な筋肉や
要らない羽にいかないで
卵のみに集中するよ ....
自分が思っているようには
他人は自分を見てくれない

それで私は
極力自分を
客観視しようと試みた

気付いたら
他人の顔色ばかり伺って
ますます自分が
わからなくなっていた

 ....
地上に引き出された私の網膜に
無数の矢が
容赦なく突き刺さる

モグラになって初めて知った
過剰な光は
漆黒の闇よりもさらに凶暴で
瞳を凝らす事を禁じ
見る事を私に許さない

視神 ....
走って行って渡った
点滅を始めていた
青信号
お昼休みに
買ってきた弁当が
手の中で跳ねている
サラダがいくらか多いのにした
空は晴れ渡っているのに
風は冷たい
私の胸の中にも
 ....
三月のかた雪の上を歩いて
湖を行くと
半分水につかったまま
凍りついた樹の枝に
ふくろうがいた
ふくろうは目を閉じていたが
やがてゆっくり見開くと
私をみつめた

ひらべったい猫に似 ....
放射冷却の夜があけて
風もなく
日中の気温は上がる

この穏やかな春霞
雪どけの水蒸気
あふれる陽光に
紛れ込んだ
毒の微粒子

笑顔に溶かした
敵意のように
言葉に塗られた殺 ....
よく晴れた朝
新しい職場へ向かう
昨日の特訓で疲れているけど
今日も頑張れる
覚えなくてはならないことがありすぎて
頭がぱんぱんになる
あまり眠れなかったけど
ちょうどいい緊張感だ

 ....
春が降り注ぐ
固くこわばった雪山に
冬の汚れをこびりつかせ

シャーベットに足を取られ
車が跳ね上げる泥水に
コートを汚され

春が降り注ぐ
微笑がこみあげる

春が降り注ぐ
 ....
畳の下の
床下の
深い土に掘る穴の底
沈めた箱に
堅く蓋をして
重しを載せる

あの人の上に
土をかけ

床板を
畳を
元通りに載せて
二度と
覗いたりしない

その上 ....
鳥の姿の失せた空には
鳥のかたちの欠落がある

影が消え
言葉は失われても
羽ばたいてゆく記憶が
風車をまわす

失われた鳥の形の
風が舞う


私は
声を出せるだろうか
 ....
女の幸せ
玉の輿
祖母から母へと受け継がれ
夢に描くは昔も今も
宮廷貴族のおこしいれ

こしもと 従者も引き連れて
合奏酒肴の花の饗宴
長持ち牛車
嫁入り道具も豪華絢爛

十二単 ....
都合の悪いことや
不快なことは
予め伏字にするという
配慮が
いつからかこの国では
行きとどいているので
よほど気をつけていなければ
事実は見えない
まして
事実を都合よく見誤ろうと ....
初めての学芸会は
サルカニ合戦の
蟹の役だった
いとこのよっちゃんは
猿だった

元の話は
硬い青柿をなげつけられて
つぶれた蟹の卵から
子蟹が出てきて
助太刀を得てみごとに
親 ....
アナウンスが流れる

線路内に鹿が入り込んだため
列車は3分遅れて隣の駅を発車しました


その鹿はどうなったのだろう

寒いホームに
誰もが無言で
同じ方向をむいて並んでいる
 ....
都市に吸い寄せられ
消えていく
山奥の村

恋だったから
踏まれても
壊れても
染められ
私を失って


沈んでいこう
柔らかな陽射しと緑の風を抱いて


いつか
私の ....
おにさんこちらてのなるほうへ
追いかけても
誰も捕まえられなかった
嫌になって
薄目をあけると
どうやら
周りに誰もいない
口惜しくて
やみくもに走ったら
迷子になった


何 ....
雪祭りで賑わう
地下街をあるいていた

柱の影から目の前に現れた人物が一瞬父かと思った
現実の父より
かなり若いし
実際の父は
病院のベッドで
寝たきりだと
すぐに気づいた

似 ....
殿上 童さんのLucyさんおすすめリスト(251)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
熱風の街- Lucy自由詩21*14-6-27
父の手- Lucy自由詩22*14-6-17
クレマチス- Lucy自由詩1814-6-14
長雨- Lucy自由詩17*14-6-13
祭りのあと_(よさこいソーラン祭りに寄せて)- Lucy自由詩17*14-6-9
ふうせんかずら- Lucy自由詩20*14-6-1
きみはいつも- Lucy自由詩15*14-5-29
リラの花- Lucy自由詩12+*14-5-24
善と悪- Lucy自由詩12*14-5-21
リラ冷えの街に恵みの雨が降る- Lucy自由詩16*14-5-17
- Lucy自由詩15*14-5-12
白木蓮- Lucy自由詩16*14-5-5
シャボン玉- Lucy自由詩13*14-4-29
白色レグホン- Lucy自由詩20*14-4-22
客観視- Lucy自由詩15*14-4-21
点眼- Lucy自由詩20*14-4-16
シグナル- Lucy自由詩15*14-4-11
ふくろう- Lucy自由詩20*14-4-2
大気の中に- Lucy自由詩10*14-3-29
バイオリンを弾く猫の絵のついたマグカップ- Lucy自由詩22*14-3-25
春が降り注ぐ- Lucy自由詩17+*14-3-17
カナリア_ー私が殺したあのひとー- Lucy自由詩11*14-3-14
鳥の影- Lucy自由詩26*14-3-7
アンチ雛祭り- Lucy自由詩9+*14-3-3
配慮- Lucy自由詩24+*14-2-25
勧善懲悪- Lucy自由詩13*14-2-22
鹿- Lucy自由詩27*14-2-16
水の村__Ⅲ- Lucy自由詩6*14-2-13
めかくしおに- Lucy自由詩22*14-2-11
雪祭り- Lucy自由詩19*14-2-6

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する