すべてのおすすめ
走りながら汗をかく電車の車窓から
おれは膨らみきった雲と真向いになる
なんでそんなに大きいんだ
思いを小便のようにためこんで
我慢しているのか
まわりの雲は白いのに
おまえだけ灰色で ....
目覚めても
夢が続くのか
岩穴に
風が吸いこまれていく
のぞく眼に
洞窟の奥でうつむく子どもが映る
近づけば
幼いままのぼくだ
小さいからだを
剃刀の風が
音を立てて
通 ....
灯りを消してベッドに横たわり
脳裏に
小川を流し
縁に笹の葉を茂らす
夜眠れない
苛立ちを
笹の葉にのせて
流れるにまかせる
明日の不安は
確かにあるが
それも葉にのせて
....
体育の授業でできなかった
隣に座る女の子が休み時間に
ぼくを誘ってくれた
ふたりで校庭をはしって
鉄棒につかまり
練習を始めた
雨の降らない日は
休み時間のたびに
ふたりで鉄棒をす ....
家族でテレビを観ているときに
死んだらどうなるかという考えに
急に抱きつかれて
子どものぼくは立ちあがった
狭い家の中を
歩きまわる檻の中の熊
家族は画面に気をとられて
徘徊に気づか ....
午後三時のおやつの後で
時の抜け穴から
入っていくときに
ぼくは二つにわかれる
もうひとりのぼくは
庭に作る仮装の舞台に立つ
そこで主役を務める
普段のぼくより
威勢がいい
スト ....
時は切れ目のない波
凪いだ海の
ゆるやかなうねりのいただきの
光るところから
暗い窪みまで
隈なく見つめていた
幼い日
小学校でいやなことがあると
深くうねる波の底に下って
浮か ....
しまっておいた物が見つからない
きっとかくれんぼをしている
不意に見つかるときは
隠れているのに飽きて
そろそろ見つけてよ
と言いたげに現われる
普段からよく使う
机の引き出しか ....
1 2