すべてのおすすめ
五時を告げる
鐘が鳴る
まるで夢みる
羊のように
空腹が番犬である
2004・12・26
ニンゲンハ
キノコグモノヨウニ
ツライナア
トオモッタラ
ナミダガ
コボレテキタ
2004・12・21
清水が流れていた
いや
清水は止まっていた地面がぽっかりまあるく空いて
深さをもっていた
その清水を覗き込むと
何匹かの魚影がみえた
清水の ....
干された布団に冬の陽が
いっぱいにあたっている
ここは天の香具山ではないが
まぶしいくらいだ 女でなくても
洗濯物は 気持ちよく見える
太陽 ....
生粋の江戸っ子ならぬ久我山弁
あらとうと散らかった書類箱から10万円
母ちゃんがいるわけでなし肩叩く
ごねているぐずっているのは山の神
焼酎を ....
火災報知器が鳴った
火事です
病院が燃えています
患者はベッドから起きられません
みるみる火は燃えあがります
起き上がって逃げてゆくものも
その場にへたり ....
観葉植物の
光のなかで
ゆったり
籐椅子に
腰掛けて
読書でも
できたら
できれば
珈琲なんか
飲みながら
燦々 ....
雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨
雨雲の上は晴天だ
雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨
いま世界のどこに雨雲はあるのだ
雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨
雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨 ....
モウレツな猿が異星人のように
人間社会にもぐりこんでいる
そうしてわれわれの情報を盗み取っている
もう体毛は退化しほとんど人間と変わりない
モウレツな猿は早 ....
きょうはぼくの誕生日
62歳になった 年齢はワープする
きのうまで27歳 パリのカルチェラタンを歩いていたのに
きょう ぼくのスニーカーは田舎道の ....
谷川俊太郎さんと酒を飲んだ
谷川さんが酒を飲むとは知らなかった
鶯谷ではない近くの酒場だった
朗読会か出版記念会のかえりだった
何度か同席したこと ....
日が高い
山の湖に
バイクで奔ってきた
4ストロークの強いエンジン
60キロで裏街道を飛ばした
きついS字のカーブ
ハ ....
海亀の産卵に
つきあったことはないが
砂に穴を掘って
跨り
カプセルのような卵を
産み落としている
映像はみたことがある
海から這い上がっ ....
燃えてしまった本棚
夏の初めに
私は火事を出した
寝タバコの根が
羽毛布団におちたのだった
それは現場検証で
消防署員の説明で聞いた話なのだが
ぼくの布団の片隅は
真 ....
もう明かりがついて
黄昏の街を
斜めにカーブして
(本も読めない
バスは走った
ファースト・フードのレストランや蕎麦屋
胎は空いていないが
もっと空腹な ....
河馬が大口あけて
地球をまるごと
呑みこもうとしている
ジャングルでは
森が伐採され
酸素はたしかに減少している
ぼくが気管支炎なの ....
恋を失って12年
それでもだれか
こころのなかで
慕っているものがいたか
どうだかわすれてしまった
『わがノルマンデイ』* もない
それでも人は生き ....
ペンキ職人
天野茂典
青いペンキ
台詞のない声
遠くからやってくる海
炎の青空
どこにも出てゆかない砂
ぼくの病棟が乾燥している
シマリスとあそんでいる
ナキ ....
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