すべてのおすすめ
灰色を塗りたくっている雲
散々泣いても
飲み込んでいくのだから
カッコつけた言葉を書いているのは
悟られたくない内側を
どうやって抱えていればいいのか
途方に暮れているから
貴方は大丈夫 ....
7年ぶりに観覧車に乗ると
向かいに、スニーカーを履いた蝉が座っていた
「じー、じー、じー」
「みん、みん、みん」
僕は蝉の言葉はわからなかったし
蝉は人の言葉がわからなかったから
とりあえずお互いのま ....
シュリルシュリルリシュリルリリ
僕らというこの現象は
溶けきれずにはみ出した
二酸化炭素の泡沫です
着色された青色の
歪められた電灯です
落ちることの許されない
小さき声の記号です
甘味料に騙されな ....
81
棚の上に置かれた卵の装飾から産まれたカッコウのひなは、早速、置き時計を下に落とした。
82
あなたは、私の中から一回り小さい私を取り出し、その中からまた一回り小さい私を取り出し、を繰り返した。 ....
カスピ海にも ヨーグルトにも 興味がないから
もっと ほかのことを語ろう
テレビショッピングの人魚
深夜 まばたきが追いつかなくなった深海魚
青白い光に照らされ 沈んでいた
カクテルグラスにヨー ....
古都に沈む日に対し
石壁の隙間は見事に
写し鏡の上下間違い
ピンホールカメラが
削り張り付けた人影
キャラバンのテント
広大な背後を恐れよ
砂にま ....
71
秒針が刻み続けてきた、時間の千切りは山のように盛られ、おかわり自由。
72
少年が教科書の偉人の顔に落書きをしていると、気づけば少年の顔にも髭が生えてきた。
73
ある科学者は永遠の命を求め ....
二機は、一晩中逃げ回っていた
飛行機は、蜘蛛の巣に引っかかっていた
「プレーンモビルって言うんだよ」
「ふーん」
夜、僕らの残骸が、露に濡れて光を放った
蜘蛛、手をつないだ僕と君
バランスをとって緩や ....
41
前向きな人として有名な彼は、後頭部にもう一つの顔を隠しているので、いつも前しか向けない。
42
彼は、彼女が、あなたはまるで風見鶏ね、と非難したのを聞いて、風に向かって立ついい男だろう、と自慢 ....
31
朝日は海の深いところに落ちている。
32
彼女は、彼の下駄箱に手紙が入っていたのを見て、代わりにポストに投函した。
33
彼がアルバムを整理していると、出会う前の写真に不自然なほど写り込む、 ....
21
恋人が血塗れの姿で、私の頭を凝視してくる。
22
砂を吐いていると、あさりがたくさん採れたね、とブルーの壁に区切られた丸い空から聞こえた。
23
科学者が妻に、ナスカの地上絵は飛んだのだ、と ....
11
お互いのしっぽを追いかけてスピードを上げていく二匹の犬がだんだんと子犬に戻っていく。
12
少女の肩には、今まで出会った男性の手の跡がびっしりと刻まれている。
13
彼は、彼女が、オレンジジ ....
どの花瓶になるだろう
竹のはなが生けるのは
月の国から降り立って
娘は、衣を置いていく
静か揺らめく白い羽衣
薬の燃えた、白い灰煙
糸のようにすっと伸び
あなたの元に ....
シャーロック・ホームズは、自らを猟犬と言う
時に住処を荒らす音楽をかけようか
イメージを膨らませたら
遠吠えを聞きなさい、愛すべき空白
ラジカセ持ってきてよ
掻き鳴らせギター、夜明けに雨に
さあ、波 ....
(シェフ:こちらの席へどうぞ)
1春と叙情物語の香草添え
男は、立ち尽くしているのでした。
私は、釣り人の肩を、自分の席としております。
今年も春がやってきましたね、おとうさん。
この花びらの ....
風には、小人が住んでいる
足下は悠々として、涼しそうである
公園で、自転車を漕ぐ
膝関節に続く曲線は、
数式で表せそうなほど美しい。
遠くに、雨が降っているのが見える
大粒で白く
僕は濡れずに立ってい ....
名前を知りません、
ごめんなさい、と言います。
花を花と言います。
しかし、君には、
きっと、それなりの名があるのでしょう。
僕は、君を表せません。
散歩をしていると、思うのです。
なんて少ない言葉で ....
木立には
そう、夕闇がたっている
じっとして
僕じゃないものが
僕よりも、もっと素晴らしい中身が。
小さく膝を抱えるのは、
積もりつもった、
過去視の、少年
くくるるどどう
小声で鳴いている
行儀良 ....
佐鳴湖公園を散歩する
背の高い街路樹がカーブを描く
一点透視で並んでいく
それは、メタセコイヤ
杉科の樹で化石にもなるほど昔から、
変わらぬ形をしているのだという
背は、20mほどになろう
何十本 ....
君に、言えずにいる言葉がある
と、僕は思っている思っているけれど、
言えずにいる言葉が何かを忘れている
ホチキスは、どこにあるのだろう
動物の名前だったような気がする
君が留めようとしている紙束 ....
ゆうえんちと呼ばれる公園で
片足だけ長靴でいるような、心細ささ
少年、と、声をかければ
それが、少年だったのかも曖昧になる
雨の夜、街灯の下、秒針のない時計
錆びついたトタン、くすぐりのような失敗 ....
最近ずっと夕焼けを見てない
柔らかな雨が頭に響いて痛い
稲光を何だか遠くの星の出来事のように聞いていた
知識の詰まった紙の束は
三枚の銀貨と交換された
片手におさまる一個の世 ....
1
救うという傲慢さで
正面から溶けてしまいそうな
邪魔くさい解釈を弄くって
弄んで、分解してくっつけて
ひっぱってひん曲げて
心臓の一番近くにぶら下がるブローチにしてやる
こっそりと火 ....
下り坂は
南を向いていて
西に緩やかなカーブを描く
早朝
陽の当たる坂道を
桜並木のある坂道を
幼い彼は箱を抱えて歩いていた
簡単な恋をしていた
簡単な悩みもあった
け ....
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