さよならというやまいを
君と生きよう
ふたりが
気付かない夕暮れを
公園の遊具は
動物の姿で
昨日もそこにあり
明日も
なんてゆるやかなさくらの空
さよならというやまいを ....
2007/04/02
また一日が過ぎた
杉田君、一日が
一日が空しく過ぎたのだ
君の性だ
どうしてくれる
損害は莫大だ
一日の糧を空しくして ....
花を摘んだ
小さな
嘘をついた
魚になりたい
そんなもの
月のない夜
寝返ると
水の底で
泡してる
パパも
ママも
いない
でんぐり返る
せかい
朝もやで
目 ....
機上の子供は
小さな窓から海を見ている
初めて触れる景色のような動悸を感じ
ひじ掛けにしがみついたまま
見えない何かに縋る目を
深い青から離さない
雲はビスクドールを彷彿させる程白 ....
「リスト」
僕の昔の恋人に
いつも左手首に包帯を巻いている子が居た
最初は自殺未遂かと思ったが
そうではないらしかった
理由は訊かなかった
彼女は毎日包帯を ....
ある
ありふれた
想い
という
呼び名の比喩が
争え
という
プログラムの元
生まれて初めての出航をし、
次の刹那
辿り着いた先が
温かい
実は
腹の上
だったと
結局
....
言葉をその形のまま
受け取れない僕は
苦しむことがない一方で
君と同じくらいには
生きにくさを感じていたりするんだよ
そういえばいつか
「医者は美味しい物ばかり取り上げていく」と
目 ....
折りたたまれてゆく季節は
いつか振り返れば
一瞬なのかもしれない
湧きいずる水におされて
いま
雲母のいちまいが
なめらかに遠ざかる
使いきれなかったノートの白さ
描ききれなか ....
1980年12月9日生まれの彼女は
もう一日早く生まれてればジョン・レノンの命日と同じ日だったのにって言う
スカートの裾を春風にはためかせながら
本当はべつに人は死んだら生まれ変わるとか
そん ....
白く鮮やかに咲きほこる、
一本のモクレンの木の孤独を、わたしは、
知ろうとしたことがあるだろうか。
たとえば、塞がれた左耳のなかを、
夥しいいのちが通り抜ける、
鎮まりゆく潜在の原野が、かた ....
空につるされた
大きなはねがまわる
からおとたてる
かいてんが どこか
はげ落ちたがいへきのさびしさ
人の形をしたうすいかげが
つめの先にあつまる
ことばを探している
おびえてかくれた ....
泥を かわして
かわして また 泥
すきだとか きらいだとか
そんな難しいことは あとからになさい
もっと ずっと あとからになさい
余裕がでるまで 待ちなさい
陽をあびて ....
喉が渇いたので
駅のホームのキオスクで買った
「苺ミルク」の蓋にストローを差し
口に{ルビ銜=くわ}えて吸っていると
隣に座る
野球帽にジャージ姿のおじさんが
じぃ〜っとこ ....
月がね
切った爪みたいでね
汚れた爪
置かれてた
夜空に貼り付いた枝の隙間に
どこまで歩いても
消えなかった
もうどこにいけばいいのか
わからないはるが白すぎて
どこから ....
{引用=まず、始めにこれを読んでくれるあなたが自分のこころに、またこれらの言葉に素直であることを願う。}
「冷静にじっくり考えれば解ることなのだけど全ての現象、原因は自分が作 ....
春になりましたねぇ
と叫んだら
おまえっていつもじゃん
と言われてしまった
それって何なの
グラデュエーション
今の季節
はっきりとした区切りのようなものを感じる
北の国よ ....
石鹸は邪悪な念を持ち始めた
毎日のように汚いものに接しているうちに
その心が侵されてしまったのだ
穢れがなければ自分の存在はない
穢れとともに生きてゆくことに
生きがいをもつようになった
....
表と裏は
本当は裏と表かも知れないって話を
当たり前の事だけど
生き物は羽だとか羽根だとか
落としたりはするけどいきなり生えたりはしないって話を
引力に掴まえられて
土に還 ....
足がつった
魚を釣った
痛さにのたうつ小指が
餌に見えたのか
少なくとも自分の足の小指くらいは
何をも傷つけないと思っていたのに
魚は同じようにのたうってる
口をこじ開け
引っ掛かって ....
ぽちむは家を出ました
モスクワに行きました
それで売春婦に会いました
自分もなろうと思いました
その売春婦にいくらって言えばいいのって聞きました
売春婦ははっきりしたことは何 ....
一
日々を連写して
間違い探しをする
遠浅の青に
いつもの魚が溺れている
鱗がまた一枚なくなったこと
それを除けば
昨日と今日の境界線はゆるい
魚は、な ....
行かないで、お願い
そう言って小さな女の子が俺の手を引いた
夕暮れ 海に落ちてゆく日は
どうしていつもあんなに決定的に
強烈に
美しいのか
海辺の教会から ....
影を踏むように
引き留めても
すり抜けて
肌に服にはりつき
ぬぐいきれない汚れのように
透明でいとおしい
たんぽぽが
そこにあった、ということ
ロゼッタの刻印を
....
ひかりが刺す
季節を切り取って
差し出す
ひかりがさす
まぶしいから
細めて
睫に燐光がいくつか
引っかき傷もいくつか
ついて
それできみの輪郭がようやくはっきりした
....
潔さにも限界がある
よく言う言葉があるっけ
「誰にも迷惑かけていないから」
例えば花
お前は誰にも迷惑はかけない
そう、
その其の侭が美しい
日々に疲れた私がいる
....
たとえば
水銀の
体温計の
危うさだよ
それは
けだるさの
端っこで
かすかに
午後の授業
先生
砂時計が
ぜんぶ
落ちたら
眠ります
少し
似ている
前髪 ....
暮れた水銀灯アーチを
潜っていた
ざらついた街
妖しい電飾の明滅
時計仕掛けの日々が
万華鏡の筒を
眼に視えぬものにする
きらびやかな銀彩は
濁った表情に果てて
追いかけた微 ....
長い年月を波に洗われて打ち上げられた
流木のように古びた椅子に座っている
おまえがいるだけだった
正午の青空のした 影もなく
呼吸さえ 受動で
降りかかる陽射しに ....
君は鳥が好きですか
僕はどちらでもないです
桜が咲くと嬉しいですか
僕は土手で寝転びます
今日は何か音楽を聴きましたか
僕は鈴木茂を二回かけました
夕ご飯は美味しかったですか
....
こえ、
ぼくを剥いてゆく
この
あかぐろい
にんげん、を
剥いてゆく
こえ、
きみの
こえ、
ふたしかな
やさしさ
ぼくの ....
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