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 あんなところまで
 かけあがってゆく脚力があった
 なんて、知らなかった
 あれが
 かけのぼってゆく波のペニスだったなんて

 美しい波形
 コバルトブルー
 夏の日に ....
 だれとも一言もしゃべらない
 この日の
 この状況を客観的に
 死と捉えるのであれば
 きょう一日は
 死んでいたのも同然だったかもしれない

 めざめたら小人の国というのは映 ....
 すでに川は
 平坦な静けさの原野にひとを集めて橋をつくり
 横たわる大蛇の骸であったから

 サンタクルス
 ナザレ海岸の大西洋の落日を眼鏡に映して
 修羅のあゆみはヨーロッ ....
{引用=
海面からみあげるとこんもりとした森が公園である
ブランコと藤棚のフジ
それからベンチ
蛇行しながら遊歩道の鎌首をもたげる
ぼんやりした外灯がともる
雨ざらしの石段をの ....
 野に咲いていた
 赤い花を
 むしんにむしっていた娘に
 わたしは言った

 かわいそう
 花さん、いたいいたい
 白い花さん、いたいいたい
 赤い花さんも、いたいいたい
 ....
 埠頭から埠頭へとコンクリートと鋼鉄の道を手わたす
 橋の下で
 アキ缶を叩きつぶしながら
 男たちがラアラア話をしていた
 母音/子音
 混ぜあわせたコトバが
 まったく意味 ....
 胴体に日の丸をつけた飛行機が
 滑走路から飛び立ってゆくのを見送っていた
 まるでデジャヴュでもあるかのように

 ものを書き
 考えることをしてきた
 だのに、なにも残って ....
 川面で光の魚がはねている
 春と霞を点描で描くのはぼくではない

 土手の並木の樹勢のなかを
 グングンふくらみ育ってゆくもの
 ふくらみみもだえて勢いを増してゆくもの
 樹 ....
 棚が倒れて割れた窓ガラスや試験管
 フラスコやビーカーが床に散乱している
 海水に浸された真綿が入るシャーレが傾いて静まっている
 実験室の椅子にすわるかれの顔をおぼえていない
 ....
 こわれてゆく街のなかで
 こわれてゆく耳になって
 ぼくは
 通りすぎてゆく乾いた硬い音をきいていた
 ビル風に
 靴とアスファルトの
 靴とデパート通路のリノリュームの
 靴 ....
 ほら横なぐりの
 ぼたん雪のなかを
 回送バスがはしってゆく

 窓を曇らせ
 満員にひしめいた乗客の気配だけを乗せて
 がらんと無人の灯りを点して
 回送バスがはしってゆ ....
 うらぎりの雲がうかぶ
 青空のした
 ぼくは
 ぼくを問いただしていた
 オマエハ ナニヲ シテイルノカ
 と。

 おおきな地異が
 おおきな波が
 きみから
 大 ....
             ―――『となりのカフカ』池内 紀 (光文社新書)を読んで

 カフカといえばあの、「悪い夢に出てきそう」な、虫になる男の「悪魔じみ」た「小説」、『変身』を思いおこす読者が ....
 荒川洋治が書き記す、詩についての文章は、批評家や評論家のそれとは違う。意図的であるのかどうかはわからないが、エッセイ的であることをやめようとしない。しかし、カン所はいつも的確に押さえられており、透徹 ....  終戦(敗戦)記念日であった8月15日の西日本新聞朝刊1面の「春秋」欄に、まど・みちおの戦争協力詩の話題が書いてあった。テレビのドキュメンタリー番組を観ての感想みたいだから、観られた方もいるかもしれな ....   長野県信濃町の
  町立一茶記念館に
  猫の館長さんがいるという


  名を
  杉山ソラという


  ソラは
  館内を巡回し
  館長席のあたりで昼寝をするので ....
 前号の「どんな本読んだ?」に、わたしは辻征夫の『貨物船句集』をとりあげ、詩のフィールド・ワークの領域拡大に寄与する俳句表現という捉え方で一文を書いた。しかし、辻征夫の試論という視点で書く時、その延長 ....  吉原幸子が亡くなってもう何年になるだろう。その吉原と近しい間柄だった石原吉郎が亡くなってからでもすでに三十年が過ぎた。一年がとても早く、時代の移ろいのスピードが加速度的に年々増してきている気がする。 ....  富永太郎という詩人を知ったのは、わたしが詩を書き始め、相前後して中原中也を知った時期とパラレルな関係にある。実際、中也がその生地に記念館ができるほど人口に膾炙されることがなかったなら富永は、おそらく ....  仏間に坐って
 うなだれ
 首を
 さしだしていたことがある


 白刃の前に


 ながれる水音に
 耳を澄ませていたことがある


 客観的なまでに静まった ....
 草のなかにレールをみつけた
 錆びた鉄の平行な二本線が
 弓なりに
 ここから延びていた
 または
 この草のなかで
 すっぱりと裁断されて尽きていた

 あおぐらい記憶 ....
 猫のようなKといると
 ぼくの言葉の文脈は乱れふあんな小波が打ちよせてきて
 とても平叙文ではいられなかった

 煎じつめれば
 煎じつめなくても
 Kは妻で
 Kは猫だっ ....
 ゆうべはねむれないまま舟を漕いだ
 ねむれないまま舟を操り蘆を払って湖沼をすすんだ

 朦朧とねむれないままもとの舟着場にもどる
 と、先がみえない霧のなかを漂流していたことがわ ....
 農業をする蟻ハキリアリをみていた
 福山雅治が
 素っ頓狂な声をあげた
 列をなして葉っぱを運んでいる
 きりとった葉っぱをミドリの帆にして巣穴に運んでいる


 蟻の道が ....
{引用=



真夜中に犬の声がかけてゆく


やっと帰宅した息子と
息子の帰宅を待っていた家内が
ダイニング・テーブルではなしをしている
声が
ボソボソきこえる

テレビの ....
 なにが有効な手なのか
 わからないままに
 かれは
 もう、とっくに
 地図に表記されていない場所にきていた

 音がない
 姿がない
 赤い血が
 ながれることのない ....
 しわくちゃなので静かな紙面に舟を浮かべると
 宙の上で均衡がとれるように
 その点において
 静置する

 対になるその
 たゆたう舟の影も
 水底でしわをつくって静置する ....
 天上からもち帰った
 大切な荷物のように

 わが身に替えてもと
 あんなふうに胸ふかく抱いていた
 母がいた
 から、きみがいた

 母がたったひとつの宝物と
 わが ....
 トカゲの尻尾じゃないんだから切った脚は生えてこないよ
 ママがそう言うの、どうしようって泣いちゃった


 夢をみていた


 ちいさな娘がぼくに言う
 どうして脚を切ったんかと ....
{引用=



 まもるもののない空から
 かれの顔や肩に雨がおちてきて
 夕ぐれが
 せまっていた

 きょう
 という日は
 くぐりぬけねばならない試練のような
 分厚い曇 ....
乱太郎さんの石川敬大さんおすすめリスト(89)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
地勢が、波の舌、波の騎馬で…- 石川敬大自由詩18*11-5-14
非ガリバァー旅行記- 石川敬大自由詩9*11-5-7
修羅の影ではなくて- 石川敬大自由詩11*11-5-3
書き記さなければなにも残らないノートに- 石川敬大自由詩13*11-4-28
つくりものめいた、花- 石川敬大自由詩15*11-4-26
橋は、スイッチである- 石川敬大自由詩10*11-4-23
終末論の週末にくるものは- 石川敬大自由詩15*11-4-20
春に酔う- 石川敬大自由詩22*11-4-13
廃校に立つ未来の子どもたちに- 石川敬大自由詩19*11-4-2
女性性に関する一考察- 石川敬大自由詩17*11-3-26
それでも回送バスははしってゆく- 石川敬大自由詩16*11-3-19
きみに寄り添う- 石川敬大自由詩11*11-3-17
【批評祭参加作品】「へんてこな作家」という親愛の情- 石川敬大散文(批評 ...7*11-3-8
【批評祭参加作品】文法に果敢に肉薄する文学- 石川敬大散文(批評 ...5*11-3-7
【批評祭参加作品】まど・みちおの戦争協力詩- 石川敬大散文(批評 ...6+*11-3-7
猫の館長さん- 石川敬大自由詩9*11-3-6
【批評祭参加作品】遊びごころという本気_ー辻征夫試論ー- 石川敬大散文(批評 ...5*11-3-5
【批評祭参加作品】石原吉郎の可能性_ー石原吉郎試論ー- 石川敬大散文(批評 ...6*11-3-5
【批評祭参加作品】近代詩へのリンク_ー富永太郎試論ー- 石川敬大散文(批評 ...7*11-3-5
タタミのうえの椿ふたつ- 石川敬大自由詩23*11-2-28
ノスタルジックな軽便鉄道の駅頭にて- 石川敬大自由詩20*11-2-23
横須賀の港でぼくは猫にうんざりしていた- 石川敬大自由詩17*11-2-19
舟を漕ぎおわって陸地にたつと- 石川敬大自由詩18*11-2-11
ハキリアリにおもう- 石川敬大自由詩24*11-2-6
浮遊するレジ袋と真夜中に棲むものの声- 石川敬大自由詩14*11-2-3
パカッと割れた苦悩なんかない- 石川敬大自由詩17*11-1-28
火山島、炎の魚/対の影- 石川敬大自由詩21*11-1-15
黄金色の目のカラス- 石川敬大自由詩6*11-1-15
サルの尻尾を生やして- 石川敬大自由詩6*11-1-14
天の鏡に映った暗鬱な旅人- 石川敬大自由詩18*11-1-9

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