1
ここに文章がおかれる事により
おこる作用
について考えなさい
2
コミュニケーション
というものによりそう脚力を我々は失いつつある
この問いに対する答えを
丸かバツで表示せ ....
夜を乗り越える呪文
古いノートの落書きから思い出す
詠み方を忘れた大人には
雑踏に落ちている足音に似て
あどけなく残酷な
季節を乗り越える呪文
変色した写真の束から探し出す
今日しか ....
せかい、というビンのなかに雨がふります。
あおくとうめいな悲しみが、
ガラスの内がわにすいてきとなって、
したたっていきます。
ビンのなかでも、
そらは、どこまでもはてがないようで、
....
夏の
体の
着衣のまわりくどさを
一枚、一枚、可愛がるように
指でしか剥ぎ取れぬ熱を
一枚ずつ剥ぎ取ってきました
あ、
そういえば、
非常階 ....
(でっかいのが、死んだ。)
風殺すようないかり肩に丸刈りの白髪頭乗せて来るのは あれは
ロブス 漁師で 工房の隣の教会の管理人だ
逆光でも分かる お調子者の いつものいたずら ....
明けてゆく
夜の濁りが沈んで
上澄みみたいな
透明な青に
鳥のかたちの
見慣れぬ生き物が
一羽
滑空して
かき消すように
蒸発する
黒い河のほとりで
まつ毛の先
震わせながら
....
冴える。
こめかみから鋭くなる。
加速していく思考の連打、逸脱する前進。
眉間を貫く鈍い痛みが
異常と知らせるけれど、
スピードは止まらない。
私はどうなるのだ?
どこへ向かうのだ? ....
は、真空の一点で凝縮し続ける無言する{ルビ性=さが}である。
仄暗い
道を歩いていると
星雲を繁茂する
一角で
ぽっかりとあいた
湿っている暗闇が
{ルビ濃紫=こむらさき} ....
キリンが疾走する
大都会 夜の東京
一頭の巨大なキリンが
闇雲に
走る
走る
第一京浜 渋滞中
銀座和光の時計を見上げ
レインボーブリッヂ 観覧車を横目に
紅い車列を
蹴散らし ....
この眠れない夜
少し開いた窓の隙間から
カーテンの裾を揺らすのは
頬を掠めるひやりとした夜風
紛れ込んできた露の雨音に
畳の匂いが、一層、濃くなる
月があるわけでもないのに
外は仄か ....
戯れる森の雫が、
ひとびとの拍手のなかで、静かに横たわる。
あなたの流れる姿が、
森の節目に、厳かに薫り立つ。
標高をあげている森は、
巧みに感度を敷きつめて、
わずかに彩色を動かしな ....
どんな蝶でも蜜を求める花に
好き嫌いがあるように
あなたの望む花と
わたしのなりたい花には
どうしても相容れないものが
あるのかも知れない
たとえば地味目なおんなのひとがいて
百人のおと ....
夕立が来る
きっと
空を見る 私に
空気の重さがからみつく
言いたいことがあれば
言えばいいのに
って
あなたは言うけど
だけどね
言えば
壊れていくことくらい
....
暗い夜から
桜の木へ
落ちていく途中
わたしは足から
落ちようとしていた
美容院は何軒行っても
満足できないし
恥かしいくらい何度も何度も
求めたくなるし
ねえどうかしちゃっ ....
幾たびも、ひたむきに萌え上がる、
いにしえの稲穂の原景が、
小走りに薫りたって
遠き草創のまほろばの底流は
大和から飛鳥に、涼やかに下ってゆく。
万葉のけむりを煽り、
壬申の衛士の錐立 ....
肩のあたりを噛んでほしいのです
思いっきり歯形がつくまで
血が滲むぐらいに
/
今日は抜糸です
と
彼女がメールを送ってきました
八針も縫った傷痕は
一生消えずに残るのでしょう ....
N・Kに
魚がいる
魚についばまれている
ちいさな
魚たちに
僕は部屋 ....
愛なんていらねぇからさ、温泉で混浴チョメチョメしてぇのよ、夏。
君が持つ花火の描く曲線が僕らの絆の擦過傷です
都合よく凸(でこ)と凹(ぼこ)とがあるのに僕ら蚊帳を隔てて交わりもせず
....
☆ おへそにピアス
おへそにピアスしています
ローライズのずっと上
チューブトップのちょっと下
夏の視線がやたら眩しくて
わたしのまんなか
おへそにピアス
わたしがまだ
あのひ ....
崩れてゆく
驚くほどの速度で
花びらで描かれた美しい絵が
ぼくたちの目の前で
風に吹かれて今
埃っぽい川岸の
薄い黄緑の草むらを踏み分けて
ぼくたちはどんどん歩いてゆく
心の中で詩 ....
セルリアンブルーの本から
零れ落ちる音符のような
啓示
に搏たれつづける心が
1068番目の奇跡を通じて
うつくしく褶曲する地層のような
洞察
へと繋がるのならばと
今夜は違う窓に向か ....
洗面台に両手をついて
鏡面にうつる
わたし自身の姿に
すまし顔のわたしを脱ぎ捨て
背後から
すべてを包んでくれる
あなたの胸元にすがりついてしまう
ひとは誰もそうするように
突きつけら ....
?.
ああ
オルテンシアがほんと楽しそうだ
あんなの日本語だとね、てんこ盛りって言うんだよ。
ひひ、てんこ盛りだって、おかしいね。
まあ、要するに、昨日の俺たちのパスタだ。あれが ....
あさがくる。
わたしはかがんだ姿勢で、静かに息をのむ。
空からおとされた、その夢から覚めきらず、
湖の底から、
裂けた形をした空を見上げる。
藻にからまり、
わたしは力なく、湖面をあお ....
けものや神や人間どものおっぱいにはさまざまな工夫があり
それらはいろいろな道具として使われる事もあったが
大抵は武器として利用された
どう
やわらかいでしょう
うふふ
の「うふふ」部分はす ....
なまぬるく
なまめかしい
春の夜風の底 へ
わたしは
指を溜める
纏わりつくのは
すこしはなれたところでざわめく
緑と水の匂い
だろうか
やがて下弦の月がのぼって
ちいさな ....
あなたは掃除用具入れの夢を見ましたか
階段の下にあって
窓が無い
私は車を押して砂浜の縁を進む夢を見ました
どちらにしろ救いはありません
ドアを閉めて
速やかにここから脱出せしめましょう
....
高らかに終わりを告げて、終わりに印をつけます。(何故なら、あなた)
そう。足は上げられます、中身は、今見せられて潤み始めます。
ひっくり返され、 あなたの裏側をを示して、今赤い割れ目を開拓 ....
それでも朝は来るので
わたしはまた生まれてしまう
約束されていないことなので
途方に暮れている
わたしは手を持たないので
仕方なく
眺めている
ふりをしてみる
鳥の不思議な動きを少 ....
揺れている。揺れている船の上、喉が渇くので、ペットボトルの口を開ける。ミネラルウォーターを飲む。
(ひたすら漂いたい気分だ)
わたしは退院後、船で島に向かっていた。誰もいないところに行ってみ ....
1 2