雨に吸い取られるように
街から見上げると
あしもとの同心円は
忘れてしまう
私ではないあちこちを中心に
広がる波紋の重なりで
まちは夏の終わりに濡れて
遠い港の潮臭いしぶきまで
思い起 ....
{引用=
事実、失われたものたちが/こどもみたいなことを
眉間に集束して、にこやかに手を振っている/窓際に並べ合って、トランプしている
夏の蜃気楼に酔った、寂しさの群れが/失 ....
夕暮れのバス停で
鳥になるの、と
呟いたきみの背には
小さく
ほんの小さく、翼が生えていて
ぼくは思わず
溜め息を吐いてしまった
砂時計の砂を飲み込んで
時を止めようとしたことを ....
器の
壊し方を知っている
けれどもわたしは
外側にいない
器の
壊れ方をおぼえている
けれどもあなたは
内側にいない
朝と呼ばれるものや
愛と呼ばれるもの
....
070830
大きな声で
欠陥と叫んでみる
完全なものなんて
どこにある
ここにあるなら
見せてみろと
銀色の風船がヘリウムガスに載っかって ....
旅だとか
なんだとか
の前で
ぼくは無性にくすぐったくなる
ここは星がきれいだ
ただ、それだけでよかった
くちにする言葉なんて
くだらないことばかりで
ハンドルを切り損ねた ....
涼しくなった夜を迎えたら
わたしはもう 必要ないの
暑かったから 一緒にいられたの
強すぎる 日差し
ゆらゆら揺れる 街の熱
冷めない 熱帯夜
何も ....
蜃気楼を信じて
砂漠に打ち上げられた鯨
現実から逃げ出して
淡水の夢を見たけれど
安らぎは
もっとずっと
遠かった
求めたものと
与えられたものと
砂粒みたいに
隙 ....
やめたいと言うと
やめちゃいなと君は言う
そんなに簡単じゃ無いよって言うと
いつも簡単だよと返される
いつか君は僕をやめるのか
いつも簡単みたいだから
とても恐ろしい
一先ず君の胸に耳を ....
やさしみの
さかなが
しずかに
みなもをおよぐ
やわらかな
さざなみは
しあわせなきおくを
みたそうとする
やきつくされたあさ
さいれんがなりひびく
しきはまた ....
ナツノ星、
ナツノ空、
ナツノ海。
ナツノ、、、
すべて、ぬってしまいましょう、
貴方が眠りについた、
その後に。
貴方と私、
....
真下に拡がる海原は
厳しく削られた岩の入江を包み、
とうに半世紀を過ぎた
今しも汽笛の鳴る港へと
煌めく{ルビ漣=さざなみ}を寄せて
夏の賑わいが恋人達とともに
古い桟橋を大きく揺らし ....
さよなら、さよなら、
記憶を解き放って
遠ざかる夏の
四角く切り取られた 空
枠からはみだした場所では
かなしみによく似た顔の
ぼくたちが
今も、酸欠になっている
....
お見合いの場をとりもちて話題とす
梅雨の晴れ間の夏萩の色
方形のタイルに朝日照りかえり
台風去りて厨秋めく
無人駅に日ぐせとなりし雨に逢い
止むを待ちつつ夕顔に佇つ
想い出 ....
浴衣着た
乙女の数で
気がついた
今日は
びわ湖の花火大会
続々と
打ち上がる音
聞くだけで
私カタカタ
仕事終わらず
あの日見た
打 ....
Quartz
震えて
終わりと
始まりのないものを
区切っていく
切り刻んで
数をあてる
なにものとも
名づけられない筈の
私より薄くて
鉄も
昼夜をも含 ....
きみもいま
地球の重力のなかにいる
月を見てる
おなじ引力のなかにいる
もう二度と
積極的には会わないひと
さいごの約束を
ふたりで破ったのは
何年 ....
なんだろう こういうの
心がちょっと 痛む感じ
夏の景色は とても蒼くて
なぜか なぜだか 涙が出た
それはとても
ひどく懐かしくて
僕が帰るべき場所
....
少し前まで
座っていた席の下に
置き忘れた
飲みかけのペットボトルを
扉を閉めた電車は
線路のかなたへ運んでいった
きっと
作業着姿の誰かが
忘れたゴミを
無表情 ....
夏祭りが終わった
その次の日の朝
不思議な世界だったこの公園は
いつもの公園を
たた狭くしているだけの
小さな空間でしかなかった
組み立てられていた木材が
リズムよく折りたたまれてゆく
....
問い掛ける意味だけを
孕んでいた、真夏の空白に
小さく区切りを入れては
その隙間から
意味を取り出していく
握り締めたアスファルトに
肌が
焼けただれていくのを
私は知らないふり ....
「愛というハンバーガーはありますか」
マクドのバイト よわりスマイル
「君が好き」
それを言うのに
あといくつ
フィレオフィッシュを食べればいいか
あわよくばマッククルーに ....
かたいものは冷たい
ノートに走り書き
それから探しはじめる
かたいけれど、
冷たくないものを
かたいってどんくらい?
それを考えるのも
おもしろいかも知れない ....
足音の沈む
その、一瞬のあとに
居眠り運転の波は
名残を
綺麗に拐ってしまった
笑い声が響く
潮風の中に
私が産み落とした何かは
もう、息を潜めている
渇き始めた城 ....
窓の外を見ると
宇宙だった
宇宙船に乗った船員が
私の姿をして
窓ガラスに映っていた
どうしようもなく
地球が恋しくなった
この景色を君に見せたくて
写真付きメールを
ここから送るよ
今日かぎり歌わじと思う心にはなにものもなしさらさらと水
一行が零れてきそうな
静けさに
眠りなさい と
夜は耳元でささやく
白い羽を揺らす誘惑に
応えようとする肉体
沼地の底に落とされるかもしれない
そんな不安は
片顔隠した月が
煙草 ....
夏の夜
かなわない恋に
何を期待しているの
ゆかた姿のあなたが
花火の色に染まったとき
私が背伸びをしたって
届かないとわかった
打ち上げ花火のよ ....
あなたは陽のように
わたしの胸を
つつんでくれました
わたしは影となり
あなたの心で
生かされたいと願うばかりです
あなたは哀しみをまとい
それでも生きようとする姿に
光り ....
DIVA
響きのないところに唄は産まれ
伝えようとしている。
幾つかはこぼれ
すでに無くなったのだとして、
ひとつひとつ、
朝日に撫でられて ....
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