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筆箱の上に夜が広がる 
父のてのひらは冷たいまま 
砂丘を触り続ける  
ゼリー状の月がのぼる
妊婦が口元を押さえて笑う
 
 
 
 
自転車のか細いペダルが
今日は博物館の
涼しい庭にまで届く
始まったばかりの夕暮れの中
まぶたの絵を描き終えて
少年は柔らかな繊維になる
 
 
 
 
兄さんが虹を見ている
祈るべき神を持たない僕らの祈りは
それでも決して無力ではないはずだ
兄さんの肩にオウムが止まる
救急車が静かに横切って行く
 
 
 
 
曖昧な朝の手元
行ったきり帰らない
水のブランコ
皮膚なの?ここは
過疎の村に、春
 
 
 
 
消しゴムを食べていると
母が気を利かせて
夏みかんのジャムを持ってきてくれた

消しゴムなど食べられるはずもないから
いらない、と断ると
代わりにコーヒーを入れてくれた

 ....
 
 
タンポポを一輪だけ摘む
何も知らない貨物列車とすれ違う
水のように冷たいものを売っている所はありませんか
と、男の人に聞かれ
あっち、と指差す
あっち、に何があるのか行ったことは ....
歯ブラシを持って
弟がどこまでも走っていく
小さいころから助走をつけないと
歯磨きのできない子だった
誰よりも美しい
世界で一番の助走だと思った
最近人の目を見て話ができるようになった ....
 
 
瞬きをすると虹が溢れてしまう目があるので
笑うと発音しないPを吐いてしまう口があるので
まだ誰にも褒められたことのない君が
冷蔵庫に自分の耳を並べている

僕は機関車と同じ匂いの ....
 
暑さがまだ
襟元にも残ってる
汗との少し
間違いがあって
葉をかきながら
歩くあなたの足元
側溝の蓋が
少女の口のように
開いて
ふとある日から
そのままの感じがする
ひき ....
コンビニのレジから
僕らのタクシーがあふれ出すから
春はまた息苦しい

行き先も告げずに乗ると
君の家を通過して
犬小屋の屋根を壊してしまう

料金を体温で支払う
少しのおつ ....
犬の耳が
ちょうちょになって
飛んで行ってしまった
音が出なくて済むように
静かな玩具を買い与えた
名前を呼んでも
もう振り返らない
それでも涼しい場所は
誰よりも知っていて
 ....
アオゾラ誤爆さんのたもつさんおすすめリスト(11)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
age23- たもつ自由詩312-3-16
age22- たもつ自由詩612-3-15
age18- たもつ自由詩312-3-11
age17- たもつ自由詩312-3-10
右利き- たもつ自由詩611-4-16
首筋- たもつ自由詩1509-7-21
助走- たもつ自由詩907-12-23
機関車とくじら- たもつ自由詩1307-12-16
残暑- たもつ自由詩407-9-28
制度(タクシー)- たもつ自由詩1907-1-12
風鈴- たもつ自由詩1306-8-30

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