少年は秘密を閉じ込める
美しい叔母のブローチをこっそり隠すように
部屋に鍵をかけ 歩哨さながら見張っていたが
閉ざせば閉ざすほど膨らんで行く 妄想は
秘密を太らせるのにはもってこいの餌だった
 ....
真夜中に目を覚ますと
キッチンのテーブルに誰か座っている
見れば自分ではないか
寝ないのか、と問うと、寝るのか、と答える
最近どう、と問うと、知ってるくせに、と答える
仕方がないので向かい側 ....
この石の中では
絶えず雨が降っている

そう言って一粒の小石を
娘の手のひらに載せた
その人は叔父だった
いつでも青いマントを着ていた

血の繋がりはないけれど
とある出来事があって ....
きみたちがやってくる前の僕は
頭に核弾頭をのっけて
いい気になってた

頭に核弾頭をのっけて
街をうろついて
いい気になってた

いつでも
なんでも
壊滅的に破壊できると
思って ....
部屋一面 起き抜けの尿の色だ
永い永い言い訳のような廊下を
既に冷たい素足が横行し続けている

いけない事だ
あぁ 本当にいけない事だ
元気でね、と祈られることは
もう元気でないことが悟 ....
母が母でなくなる時 母の手はふるえる
乗り合わせのバスは無言劇
親切だったおばさんは 母の乗車後には夢になる
向かう先はお山の真上の病院で薬をもらえば
また手が ふるえる、ふるえる、大量の薬を ....
そのバスは込んでいた
しかし、その女性は
隣の空席に紙袋を置いて
占領したままだ
バスが大きく揺れた後
初老の男性が無言のまま
その女性の紙袋を
通路に降ろして席に座った

その女性 ....
気にしないでいいからと

そんな優しい嘘を

ぼくみたいについてくれ


閉店まぎわのパン屋にはいつも

じぶんの好きなパンをとって隠す

アルバイトの女の子がいるから


 ....
食パンを食べてる時

最後に流し込むコーヒーが
妙に旨い

しばらくして

遠い昔の
朝の味だなって気づいた

冷え切った夜の部屋で
山間の、とある峠の一角に巨大な岩が奉られている
近くに湧き水が流れ、森の陰影のくぼみにそっと佇んでいる
神が宿るといわれてきた、大岩
峠道を歴史の人々が歩き、腰を下ろした
見つめた大岩に合掌し ....
詩を紡ぐということは
裸にならなくてはいけない
恥ずかしがっていては
心の襞は描けない

素っ裸にはなれない
野暮な言葉を並べたくはない

ええかっこしいが邪魔をする
綺麗な言葉を並 ....
気付いたら
電車に乗っていた
コトコト音をたてて
何事もなかったかのように
海沿いを走っている

おかしい
私は亡くなったはずなのに
病室でたしかに息をひきとって
この世界から離れた ....
毒にしかならないのなら
いまは埋めてしまうのだ
毒じゃなくなるその時まで
独り言をいうふりをして
私が歩いてきた道に
ぽとぽと
言葉を落としてみたけれど
もしもし
これ落としましたよ
なんて
颯爽と現れて
落し物を拾ってくれるような人は
いないことくらい知 ....
金魚のいない金魚鉢
ぱらぱらと餌を落として
水が揺らぐのを眺めている
ここにいた子は
なんという名前だったっけ
ぼんやりとした色や大きさは
思い出せるけれど
明確な形や模様は思い出せな ....
薪ストーブが煌々と燃えている
その上に遥かな時を巡った鋳物の鍋
穀物と野の草と獣の骨肉を煮込んだもの
それが飴色に溶け込んで
ぷすりとぷすりと
ヤジのような泡を吹かせている
端の欠けた椀を ....
初冬の初雪の舞う中
風が木立ちの間を勢いよくすり抜ける
山の頂きから頂きに掛けて 
送電線の唸る音が聞こえる
人造湖は波打っている
一瞬ふわっとしたかと思うと
空は洗われ 雑木林は明る ....
フライパンの柄に手首が付いている。 空の向こうにあったのは
白く微かな夢だった
小さな泡になって
眼を覚ますまで君を見つめていた

心の隅に座り込んだまま
はぐれたぼくたちは
アキアカネを追って
真っ逆さまに空へ落ちてゆ ....
いくつかのブラックホールを超えて
僕の船は宇宙を漂っている
星はきらっと輝いたかと思えば
それは一瞬のきらめきであり
あとは黄銅色の鉱石が漂う空間だった
宇宙に風はないというが
少しだけ風 ....
九月二十四日、山岳作業は終わりをむかえた
時折吹く風が心地よいのは、達成感などではなく
虚無感が体中を支配していたからだ
疲労はすでに枯れている

八月二十七日、すでに廃道化した林道を刈 ....
塞がれた傷なら
新しいほど
ほの明るい

命と呼ぶには薄すぎる
生まれたばかりの緑の雲母は
はかなげに震える風の欠片

アスファルトに跳ね返る
光の刃が
明日には切り刻むだろう
 ....
ふたりが離れてゆくときは
理由はなにも言わなくていい

ただ一冊の青い本を
ふたりの間に置けばいい

ページをめくれば顔を出すだろう
散歩していた黒猫や
わずかな値段で売られたスズメ
 ....
なにかことばが書けるとしたら
私はここになにを書こうかたと
えば当たり前かもしれないけれ
ど詩人は嘘つきでその嘘は多分
真実と嘘の合の子でどこからど
こまでが本当でどこからどこま
でが嘘な ....
サキソフォンが夜の道を歩いていた
あたり一帯高級な黒の絵の具を塗りたくったようで
サキソフォンだけが金色に輝いていた
暗闇は光を理解しなかった
途方に暮れかけたころ
黒くて大きな人がどこから ....
   「字源」


ある日テレビを見ていると
アスペルガーと思わしきとある女性タレントが映っていて
こんなことを言っていた
「人」という字について
こんなことを言っていた
「人」という ....
今年もサマソニの入り口を私はくぐった
ベテランバンドだとか古参のバンドばかりが出ていたサマソニ
新しい世代のバンドも元気な声を上げていた
私の世代の文化はもうすでにない
夜 スタジアムに向 ....
仕事をさぼって美術館
展示室をうろついていると
赤いワンピースの女がついて来る
立ち止り絵を眺める横で
ぼそぼそと蘊蓄を語るのだ
頼んでもいないのに不躾な
学芸員にしてはずいぶん
粗野で ....
私の欲望にふれてみた
とても冷たかった
まるで氷のように
冷たかった
そこには愛はなかった
ひとかけらもなかった
とても悲しかった
欲望は私のうしろに
ずっとついてきた
まるで影のよ ....
大時計の針の上で寝そべる
空の瑠璃色を映す
湖の波紋が 夜の膜のように拡がってゆく
その浅い水の褥のうえには
夏に日焼けした物憂げな表情が
よりいっそうに青く映り込んでいる
その細ながい胴 ....
若原光彦さんのおすすめリスト(350)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
秘密- ただのみ ...自由詩8*17-12-20
自分ばかり- やまうち ...自由詩417-12-16
アメジスト- やまうち ...自由詩517-12-4
頭に核弾頭をのっけて- 片根伊六自由詩117-11-29
私の家族- 冷水自由詩317-11-20
ふるえる手- 為平 澪自由詩1017-11-19
座席の荷物は社会のお荷物- イオン自由詩3*17-11-19
優しい嘘を- 吉岡ペペ ...自由詩617-11-18
オーパーツ- ガト自由詩8*17-11-4
- 山人自由詩5*17-11-3
裸になれない- 星丘涙自由詩12*17-11-2
今日産まれたばかりの私- ネコヤナ ...自由詩417-10-31
解毒- ネコヤナ ...自由詩417-10-30
独り言- ネコヤナ ...自由詩317-10-29
金魚のいない金魚鉢- ネコヤナ ...自由詩317-10-28
- 山人自由詩8*17-10-28
風のためいき- 山人自由詩3*17-10-23
生活- 空丸ゆら ...自由詩1017-10-21
トンボ- うみこ自由詩317-10-21
僕の船- 山人自由詩5*17-10-1
二〇一七山岳作業記録- 山人自由詩3*17-9-28
草蜻蛉に- Lucy自由詩13*17-9-15
青い本- やまうち ...自由詩6*17-9-2
カメレオン- あおい満 ...自由詩317-8-27
サキソフォンが夜の道を歩いていた- やまうち ...自由詩4*17-8-26
短詩八編- 本田憲嵩自由詩717-8-23
透明人間- 番田 自由詩117-8-22
絵心- やまうち ...自由詩7*17-8-21
冷たい欲望- 星丘涙自由詩5*17-8-21
瑠璃木- 本田憲嵩自由詩717-8-21

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