すべてのおすすめ
自宅でお留守番するウサギは
あちこち破れたからだを丁寧に縫い繕われた
ぬいぐるみ
社員食堂で晩ご飯を済ませ帰宅する暗い空間
蛍光灯が点くとよろこぶウサギに
ただいま を言 ....
にこやかに前を歩く私の後ろから着いてきてくれる
あなたの足取りはまるで
デパートの屋上へ遊具目当てにやって来る幼児の父親
やっぱり、ここからが一番綺麗なのよ!
自慢げに私がそう言 ....
湖のほとりで 歓送迎会が宴たけなわ
大広間のステージ台へ背もたれ向け座る
センターから外れる円卓、
あなたが 椅子に割り込んできた
別の課へ異動していくあなたとは
正式 ....
高架橋の手前で母子とすれ違う
歩道へ吹き出してくる走行車の反響音
二車線道路が湖岸の県道まで下っていた
すれ違った時
赤子はカラフルな膝掛けに包まれていた
ちょこっとだけ小首 ....
会社の敷地内にある
貯水池
アシかマコモか
つんつんと緑、日ごと明るさ増して
今朝も彼は来ている
渋い濃度ある黄金色の水面で
伸びてきた若草は
彼の青灰色した全 ....
季節風が未練がましく吹きつのり
北野天満宮の梅苑に白梅が咲き始めた
春が来るのか
昨日よりは
今日よりは
明日よりは
理想の 胸に馳せめぐり浄らかな人生を
描いて ....
先週は半袖でいられたのに急に
風の冷たくなって
靴下も履いていない あの子は
三ヶ月くらいだろう
膝でリズム取る
まだ若い男
の揺かごに ぷらんぷらん
あの子のあんよ ....
こんな話、どこかで誰かにもしてみたい
心臓の鼓動と
もう一つ
人には心に脈拍があるのです
意識していないとき
心臓がそうであるように
いつも揺れているメトロノームの振 ....
日傾いた小運動場で
ノンちゃん
フー子
ユウちゃん
なよ風に赤いランドセルが笑い
さざめき合っていた
あんた今日も、先生に怒られてたやん授業中
ちがうねんフー子、あれ ....
花を生けずに
花瓶に水をはる
絵を入れずに
額ぶちを吊る
そうして
北向きの六畳間の窓を開け
風だけを 入れる
雪光る 比良の山稜と
湖の流波に
....
晩の嵐の止んだ朝
どっぷり濡れた
舗装道路を進み行く
街路樹の折れた枝が煉瓦の上に
太さのちがう枝を見る
散り落ちた若葉が煉瓦の上に
柔らかな緑は目に強く
レンガ色と ....
肌を刺す 比叡おろしの朝の道
猫と会釈し駅はもうすぐ
僕の瞳にはオレンジだけど
君の目には何色なのか
そよぐオレンジの群れに
君はお尻を向けて移動中
ちょうど僕の胸の高さに居て
翅を広げる
胸部と腹部の背中がはっきり
見 ....
うずくまる白い象かな 伊吹山
夕日背にして息吹く山肌
線路沿いの路肩に這う茂みは朝顔らしき
蔓と葉に花を二輪つけていた
花は控えめでいて澄んだ紫陽花色
歩み寄る私の指先に
四枚羽の片側二枚つままれて
運ばれてきたトンボ
....
巨大な鳥の白い胸と足が見えた一瞬だった
幻の富士山トンネルが掘られている
南西斜面は陥没
土砂崩れで山頂までが崩落した
山はもう不二と表現される元の形を
とどめない
....
危な気で 振り返り見たベビーカー
パパ急ぎ行く雪道の朝
ラッシュアワーを過ぎて車輌には
まばらな乗客
停車したその駅では誰も席を立たない
低い土手が迫る人影ないホーム
竹の混ざった雑木が金網で仕切られていて
絶え間無し 葉を落とし ....
京福電鉄嵐山本線が近くを走る
右京区の街の中
名前も知らない小道を二人で歩く昼下がり
小道には金網の張ってある敷地に沿って
大型プランターが路端に並び
主枝を伸ばし茂る葉と
....
暖簾のむこうに彼がいて
いつも私を待っててくれた
あの頃
石鹸の匂いするあなた
寄り添って
絡める腕のまだ熱る
そうやって
歩いた夜道の風を覚えてる
洗い髪 ....
入場券だけ一枚買って
立ち入ってみたプラットホーム
あなたが好きな場所だと
教えてくれた
京都駅の新幹線のプラットホーム
鉄道駅でもここにいる
人たちの雰囲気、
....
1 2 3