叫びのない窓が額装されるまでに
 まずは県民会館で
 エッチングとして公表された
 田舎者たちにかこまれ、
 曝された色彩が
 夜ごとかれらのなかで這入って
 やがて追放された

 ....
流線型のトースターから
褐色の食パンが飛び出した
珈琲と目玉焼きとシーザーサラダ、
トーストには人造バターを塗る

今日からはボクも宇宙人
立派な宇宙人として社会に貢献したい
家を出ると ....
何の行列でしょう
いつからやってるのでしょうか
こんな時間だというのに

ずっと通りの向こうまで
途切れることなく
行列が続いていて

手に手に灯りを下げて
歌を歌ったり
泣いたり ....
ほどよく温んだ風が
みみたぶを掠めたら
あなたの好きな
「は」で始まる季節

生垣の横の
赤い自転車が
見当たらない

2ブロック先の十字路が
ふんわりとしたら
あなたの好き ....
僕らをつなぐものは
あの哀しみの聖地だけ
もう今はたやすく訪れることもできない
あの場所の記憶だけ

今頃はまた あの場所をふちどるように
菫が咲いているんだろう ちいさな光を纏って

 ....
君がポケットから取り出した青空は
 ひたすらに美しかった

珈琲で手を洗う
 これが別れの挨拶だ

僕の落とした心臓を
 蟻たちが咬みくわえて引きずっていく
  それを鳩が涼しい顔で奪 ....
またお前が溌剌として空間を行き来する季節が来るよ
まだ蜜はまばゆい重みを湛えるまで熟してはいないが
やがてあらゆる明雪を終わらせる風の便りに指を開き
柔らかな触角で時が経てる悦びを弛まなく識るだ ....
 だれのものでもない両手で
 だれかを傷つける
 呼び鈴がおれの耳に
 爆発している
 やり過ごすことのできない咎に身をふるわせて
 やはりだれも
 おれを諒解しないというところで
 ....
今年の冬はみなさんにとって
どんな冬になっただろう

凍りつくような朝や
クリスマスはどう過ごしただろう


スマホにて
毎日毎日記事は生まれ
連なる見出しの文句に世界の広さを知る
 ....


まだ寒いのに
もう立ってしまうのか
立って 先に
行こうとするのか

その後ろ姿を見つめて
僕たちは
ずっと後から
暖かくなろうとするのだが

まだ寒いのだ
もうこんな ....

にもうすぐ会えるところまで来た角で、
 呼びとめたのは、

だったから、
 ふり返って思わず

をだしてしまった
 平熱からの逸脱線、
超え
たのはいつだったのかと、
  ....
あ  愛するきみよ
い  いつまでも一緒に歩いて行こう
う  後ろは振り向かないで
え  駅の改札を出たら
お  大きな山々が迎えてくれた
か  必ず幸せになれると… 
き  昨日までの想 ....
ぽっとでの自由は、老いたる自由にむかってスリッパでもつっかけるように言った
「おじいさん、あなたはすっかり、不自由なご様子じゃありませんか?」
巨匠とよばれて久しい年配の自由は、寝椅子のなかで遠く ....
夜行性の葬列は
闇へと深まってゆき
闇の音は門をたたくと
葬列はちりぢりと解(ほど)けて
天の星々となった



何かを求め続けるのは
命が原初から欠けているからだ
けれど
足 ....
数え切れない唄を歌って
僕は月を目指す
憧れを抱いたままの日々に
許されながら

逃げる場所を探しに来たんだ
春の匂いの中
自分の本音より明るくて
羨ましくて

空が暗くなる頃
 ....
帆布を揚げて
ヨーソロー!
船長は高らかに叫んだ

目指す宝の島は
オレの背中の地図に描かれている
酔えば赤く浮き出て航路を示す

ラム酒を飲み放題という条件で
航海に行く契約書を交 ....
セピア色に閉じ込められた表情は
硬く結ばれた口元と
こわばる頬
眼差しだけが生きている
たった一枚の写真

逢った事のない親族の表情は
戦闘に出る伯父を中心に
こちらの世界を見ていた
 ....
何かのふりをして歩いていると、詩を書くこころが僕
のなかからふらふらと彷徨い出て来た。そいつはゆら
ゆらと漂うように移動して、道行く人たちをとおくを
見るようなぼんやりとした眼差しで見たり、空を ....
久しぶりに洗車する
マスカラが涙で落ちたような数本の薄汚れが
泡とともにコンクリートへ流れていった
この数日
見て見ぬふりをしていたものに決着をつけてほっとする
助手席に乗せた犬は真顔で少し ....
雨が降る、十二時の長針の上
赤い流星と黄色の音符
ふたつの意思が結婚式を挙げる
白い祝日は
透き通る幽霊たちの歌で始まる

今日はウツボカズラの休日
塞がっていた穴の開く朝
べこべこな ....
うちのたまは五百円玉が大好きで
お腹いっぱいになるのは十五万円
過日お腹が痛いというので
たま専用の銀行ATMでうんちをさせた
もうそろそろ
またお腹が痛いというだろう
たまは食いしん坊で ....
関西風のだしがおいしかったうどんの店は
コロナが始まってすぐのころ店を閉じた
よくお世話になってたのになあ
売り上げが落ちてかどうかは知らないよ
四月にはなくなってたから
それで、ちょっとし ....
犬は臭い
お隣の犬は知らないけど
少なくてもうちの犬は臭い
フランス製のシャンプーを買ってきて
風呂場で洗うが
ひと月もたつと臭い
犬は臭くて当たり前だけど
どうしても我慢できないのは
 ....
 「苦役列車」は映画と文庫本で。「やまいだれの歌」は文庫本で。それぞれ読み、鑑賞した。
 西村賢太(以下西村氏)の略歴は中学校卒業であり、ずっと日雇い人夫などをし生計を立てていたようである。小説を読 ....
おれたちを殺してくるものすべてをこの手で排除するなら
おれたちにいったい何がのこるというのだろう
シールのはげた醤油差し
ドラグストアに並ぶシャンプーの群れ
大根の花
そういうものにおれたち ....
自殺しちゃったけど
このあたりに井戸掘り名人がいて
地下のことにとても詳しかった
金持ちで人に時計をやったり
飯を食わせたりしていたよ
上着をこの枝に掛けて
煙草を一服するのが好きだった
 ....
亡くなった犬が鏡の中から
わたしを見ている
わたしの手のひらに隠している
おいしいものを知っているのだろうか

名前を呼ぶと返事のように尻尾を揺らす
黒い鼻はしっとりと濡れ
いかにも健康 ....
神奈川県立音楽堂の夕暮れ
信濃路のナス天そば
朝の水風呂
鈍行列車の窓
影を踏まれないように生きる
夫婦に理屈はない
何を許して 何を許さないのか
クローバーの冬限定牡蠣カレー
6 ....
(だれが呼んでも
(きこえないよ
(きみが、いちばん!
羽根のない子どもは月に擬態する
集団下校の輪の中に居たはずなのに
だれも名まえを思い出せない
古い友だちの口笛は
(風が散ったから ....
 テイクアウトのピザを
 たらふく食べ
 飲みすぎた赤ワイン

 炬燵で寝落ちし
 ふと目覚める 耳の底の音だけしかない
 深夜

 空ビン洗って
 ベランダの収納ボックスへ入れる音 ....
松岡宮さんのおすすめリスト(1292)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
窓のある風景- 中田満帆自由詩624-4-13
スタート- atsuchan69自由詩14*24-4-11
パレード- ヒロセマ ...自由詩10+*24-4-8
「__」- 夏井椋也自由詩624-4-4
哀しみの聖地- 塔野夏子自由詩4*24-3-29
Contradictory_equilibrium- 鳥星自由詩5*24-3-26
ミツバチ- soft_machine自由詩10*24-3-23
surely- 中田満帆自由詩4*24-3-18
せいせいるてん- 自由詩124-3-14
立春_二篇- 岡部淳太 ...自由詩9*24-3-7
頭が煮つまったときにこころみる詩薬- 菊西 夕 ...自由詩5*24-3-2
北アルプス紀行- レタス自由詩10*24-2-26
証券死場- 菊西 夕 ...自由詩524-2-23
※五行歌_六首「今につながっている」- こしごえ自由詩3*24-2-22
ムーンライダー- ミナト ...自由詩324-2-19
酔いどれ船- レタス自由詩5*24-2-18
梨の花- レタス自由詩4*24-2-15
詩を書くこころ- 岡部淳太 ...自由詩824-2-15
助手席に犬を乗せる- そらの珊 ...自由詩10*24-2-10
二重線- トビラ自由詩4*24-2-7
たま- レタス自由詩14*24-1-31
繁忙期の放心と、周縁の人々、一部に含まれること- うめバア自由詩424-1-28
犬を洗う- たま自由詩524-1-21
作家_西村賢太- 山人散文(批評 ...5*24-1-18
おれたちは雑貨にすぎない- 長束静樹自由詩524-1-16
椿- 春日線香自由詩324-1-7
鏡よ、鏡- そらの珊 ...自由詩15*24-1-2
年の瀬2023- はだいろ自由詩323-12-31
古い光- ちぇりこ ...自由詩14*23-12-29
深酒- リリー自由詩13*23-12-27

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