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胃が四つに分裂しています
健康診断の結果、そう言われた
どういうことなのか理解できずにいる私に
つまりは反芻するということです
医者はたたみかけるように言う

反芻とはウシがするあ ....
悲しみは忘れた頃にやってくる

悲しみの上にも三年

悲しみ盆に返らず

千里の道も悲しみから

咽喉元過ぎれば悲しみ忘れる

悲しみの悲しみによる悲しみのための悲しみ

 ....
自分の名前がついてるとも知らず
いわしは
雲を見ていた

自分の名前すら知らないままに
その赤く染まるのを
あの夜
たしかに家出は決行された

両親が寝静まるのを待ち
荷物は何も持たず
ズボンのポケットに
ありったけの小銭と札
そして中也の詩集をしのばせたあの夜
たしかに家出は決行された
 ....
父も母も老いた
しばらく会ってないきみの両親も
老いたことだろう

時々ふと、水洗いでかさかさになった
きみの手を握りしめたくなる
というのはかっこのつけすぎかもしれない

十年た ....
カーテンを開けると大雨だった

ひどく気が滅入る日曜日だ

さらに気が滅入ることに

カーテンを開けたのは彼女の方で

私は外で立ち尽くしていた
ある日突然
夜空に輝く星がすべて
音符になってしまった

街中の人々は目を凝らし
よく見たが
空にあったのは
2分だの、4分だの、8分だの
そんな音符たちばかり

テレビでの専門家 ....
回転寿司屋に入ると
寿司といっしょにジュースの缶が回っていた
しかもプルタブはあいていて
中身が入っていない

すいません、これ何ですか

ええっと、空き缶ですが

何の意味があ ....
銀座は今日も沢山の人で溢れかえっていた
中央通りの歩行者天国を歩いた
人民服を着た小柄な初老の男が弾く胡弓を聴いた
白人の大柄な大道芸人のピカピカと光る赤いつけ鼻を見た

人ごみを歩くのが苦 ....
牛乳を買ってきたつもりだったのに
袋に入っていたのは
それはそれは立派な
乳牛だった

妻は、こんなものどうするつもり、と怒りまくり
娘は、牛さんが来た、と大喜びをした

毎朝、新 ....
今日は見えないゴミの日だ
見えないゴミの収集車で
見えないおじさんたちが持っていく

見えないゴミのステーションで
隣の岡田さんに会ったけど
見えないので何を捨てているのかわからない
も ....
ネギを買いそびれて
僕たちはネギの話ばかりしていた
こんなに真剣にネギの話をしたのは
何年ぶりだろう、なんて

今でもネギを見ると
あの日のことを思い出す
だから僕は
ネギを食べなくな ....
妻と相談して
家にエレベーターを取りつけることにした
けれど、取りつけた後で
この家には二階も地下室も無いことに気が付いた

ボタンを押すと
チーン
と音がして扉が開く
上にまいりませ ....
普通の椅子だったのに
ある日、突然
わたしは人になった

初めて目でものを見た
初めて呼吸というものをした
初めて手でものを掴んで
初めて足で歩いたりもした

椅子に座らなければ ....
よんどころない事情があって
きりんはタクシーに乗ろうとするけれど
長い首がひっかかり
ああしたり、こうしたりしても
乗ることができない

もうどうしようもないから
きりんが運転手のお ....
バス停で
ネクタイをしていないことに気がついた
社会人としてあるまじき失敗
かといって家までネクタイを取りに帰る時間も無い
ネクタイに代わるものを探していると

あった
ベルトだ
 ....
ニュージーランドにいるキウィという鳥は
羽がすっかり退化してしまっていて
空を飛ぶことができない
夜行性のその鳥は
夜になると木の穴の中などから出てきて
えさを探す
もちろん飛ぶことが ....
「うみ」
と書けば
白い波が寄せて返し

「そら」
と書けば
どこもでも青く

「もり」
と書けば
木々が香り

「とり」
と書けば
それは翼をもって飛びまわり

「ま ....
人差し指に生えた翼が
大空に憧れるから
気がつくとわたしの左手は
空にまっすぐ伸びている
飛びたくても飛べない右手が
それにつかまって
わたしだけ一人
地面に足を生やしている
年老いた画家は絵の中の少女に羽を描いた
羽を得た少女は絵の中の空を楽しそうに飛び回った

画家は少女にもっと立派な羽をつけたくて描き直そうとしたが
羽をとられてしまった少女はうつむいている ....
たわしはもう
わたしのことなど忘れて
海に帰ってしまった

たわしのかわりに
いわしで風呂の掃除をすると
少し生臭かったけれど
自分も海に帰れたような気がして
そのような気がして

 ....
台所に落ちていたピーマンを
コロコロと転がす

窓の外
喪服を着た人が数人通り過ぎていく
誰かの死はいつも何気ない

昨日より少し蒸す部屋に
何の比喩にもなれない私がいる


 ....
虫歯が痛んだので歯医者に行った
虫歯を治してください
口をあんがあと開けたのはいいけれど
白衣を着たおじさんに
ここは目医者ですと言われてしまった

仕方なく
僕は自動車の整備工であ ....
二十数年前
大量の醤油を飲んで自らの命を絶った科学者がいる
それが私の父だ
いったいどれくらいの醤油を飲んだのか
警官が説明しようとすると
母はそれを遮り
私の手を引いて長い廊下を歩き ....
【透明人間の憂鬱】

透明人間の悩みは
最近、髪の毛が薄くなってきたこと
これでも若いころは
リーゼント、ヨロシクきめて
ハマのあたりでバリバリに透明だったぜ、ってなもんで
今ではバ ....
ボーリングの玉をひとつ持って
旅に出たことがある
あてのない旅だった
いつ終わるともわからない旅だった
右手に
疲れたら左手に
15ポンドの重量を感じる旅だった
旅路のはて
帰るこ ....
道端に膝が咲いていた
膝が咲いていた?
膝が咲いていたとはどういうことだろう
膝は、知りませんよ、とばかりに
風にゆれ、少し音を立てている
春も終わるころ
ぼくは何の確証も持たずに
 ....
(一)すべてのものは

日が翳っている
四月は末日
冷たい図書館の
その片隅で


ある日、男が生まれ
ある日、死んでいった


たった二行の
歴史書が
誰にも読まれること ....
tonpekepさんのたもつさんおすすめリスト(178)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
モー- たもつ自由詩903-12-16
悲しみ- たもつ自由詩1403-11-28
いわし雲- たもつ自由詩1603-11-19
あの夜- たもつ自由詩603-11-19
十年- たもつ自由詩1203-11-16
大雨- たもつ自由詩2603-11-13
ぱにっく☆は〜と♪- たもつ自由詩1203-11-13
空き缶- たもつ自由詩1003-11-9
銀座- たもつ自由詩303-11-9
一杯の牛乳のために- たもつ自由詩1903-11-2
見えない- たもつ自由詩803-11-2
ネギ- たもつ自由詩1603-10-30
世界エレベーター- たもつ自由詩3903-10-14
普通の椅子- たもつ自由詩903-10-3
きりんタクシー- たもつ自由詩1203-10-3
人生劇場- たもつ自由詩403-9-30
夜に走る- たもつ自由詩603-9-24
「___」に言葉を入れてみろ- たもつ自由詩3203-9-17
憧れ- たもつ自由詩303-9-8
一枚の絵- たもつ自由詩303-8-26
それからのたわし- たもつ自由詩803-8-11
梅雨入り- たもつ自由詩303-7-25
素敵なこと- たもつ自由詩1303-7-14
醤油- たもつ自由詩9203-7-9
透明人間と- たもつ自由詩4703-6-23
15ポンド- たもつ自由詩403-6-18
春も終わるころ- たもつ自由詩403-6-11
旅路- たもつ自由詩1003-4-20

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