傷つきやすい
ということは
他人を傷つけやすい
というのと同じこと
地雷原のど真ん中で
諸刃の剣を振り回す
全裸の子ども
彼(あるいは彼女)が地雷を踏む可能性
踏んだ地雷が爆発 ....
雨の音が聴こえるので
ベランダに出てみたら
一面の星空で
雨なんか
一滴も降っていない
稲妻のように
乾いた荒野のイメージが
瞼の裏側に投影されて
見たことのない色で光る太陽が
....
投げ捨てたものを
拾い上げてみて
鳥肌が立って吐き気がして
また投げ捨てる
生きるってことは
そういう愚かさを
飽きもせずに
反復することかもしれない
継続は
血から成り
....
パンに トマト ぬるぜ
カタルーニャ式 だぜ これ
オリーブオイル かける よ
バージン エクストラ です よ
たまご も 焼いちゃう
べーこん イベリコ豚 だよ
....
あれは忘れもしない
一年前の8月6日
仕事を終えて
家に帰ると
あなたは待っていた
フリルのお母さんエプロンを
ひらひらさせて
おかえりなさい
待ってたよ
ばんごはんの支度が ....
毎晩のように夢を見ます
オオアリクイの夢を
粘々とした長い舌
鋭い前肢の鉤爪
ふさふさした長い尾
毎晩のように夢の中で
わたしの主人は
オオアリクイに殺されるのです
そ ....
彼は混ぜるな危険と言う注意書きを無視して
オレンジジュースと牛乳を混ぜた結果
真夜中にオオアリクイがやってきて
耳の穴から脳みそブチュルブチュルされて
あっと言う間に死んじゃいました
粉 ....
肩のあたりを噛んでほしいのです
思いっきり歯形がつくまで
血が滲むぐらいに
/
今日は抜糸です
と
彼女がメールを送ってきました
八針も縫った傷痕は
一生消えずに残るのでしょう ....
あなた、むかし、ひとがいました
ひとは足で歩いてました
あなた、でもそれは、あなたではない
足の、裏の、歩くの、速さの、
それらすべては、あなたではない
あなたはまだひとではないから ....
赤ちゃんが乗っています
世間でステッカーがはやりはじめると
和泉町3丁目にある零細ステッカー会社の社長はへそまがりだから
赤ちゃんだけ特別扱いするのはおかしい と言い出し
次のような亜種をどん ....
死ぬときはひとりでいたい
本当にひとりで
見守るものもなく
見捨てるものもなく
星が
星の瞬きが
気づかれないうちに黒く
黒く輝くように
かなしいとか
なみだとか
そんなも ....
ポチが走ってくる
ポチが尻尾を振りながら走ってくる
ポチが全速力で尻尾を振りながら走ってくる
ポチがよだれを垂らしながら全速力で尻尾を振りながら走ってくる
ポチが乳母車を弾き飛 ....
ねえ 凜
前にも話したかもしれないけれど
きみが生まれる前に
きみのために考えていた名前が
ほんとうは ふたつあったんだよ
どちらかといえば
ぼくはもうひとつの方が
ほんの少しばかり ....
私小説というものがほぼ死に絶え、小説はエンタテイメントとして書かれ・読まれ・消費されるものになって久しい。それに対して、詩というものは、未だに“私詩”とでも呼ぶべきものが大半を占めているように思える。 ....
甘栗むいちゃいました
三点倒立で甘栗むいちゃいました
航空ショーで甘栗むいちゃいました
筋肉ミュージカルで甘栗むいちゃいました
死海で浮かびながら甘栗むいちゃいました
女性専用車両で甘栗むい ....
終わりの時には
しっかりと眼を開けていたい
そこに見えるすべてを
記憶に焼き付けて行きたいから
おとといの午後
娘と二人で近所のスーパーに行って
お菓子売り場でかれこれ30分近く
ハ ....
言葉で武装してはならない
言葉を武器にしてはならない
争いは銃からではなく
言葉から始まることを知らなくてはならない
言葉で武装してはならない
言葉を武器にしてはならない
言葉の扱いが ....
特別な色のない 夜が
麗らかに 舞っている
二つの 肺は
非対称を 否定するように
静かに 揺らぐ
これは流線形の パラドックス
恥じらいは 甘い息
幾 ....
美しい花が咲くよ
飲み込めないものを置き去りにして
美しい花が美しく咲くよ
思い出を糧に
忘れられた形を残して
美しい花が咲く美しい夜に
僕たちの魂は震えているよ
僕たちの魂は淡雪のよう ....
ミルクが欲しい1歳は
男が欲しい21歳に
あっけなく捨て去られる
新しいゲームソフトが欲しい12歳が
プラダが欲しい32歳の
財布から金を抜き取る
夢が欲しい33歳は
安定が欲し ....
若く情熱があり頭の回転の早い人たちは、はやく自分が何者であるかを定義したがる
早く世界に出て自分の態度を説明しようとする
どれだけ自分が一人前であるのかを社会に認めてもらおうとしている
分かる、 ....
ドラッグは要らない
タバコとビールで十分だよ
セックスもほどほどでいい
だけどさ
ロックなんだ
誰が何といおうと
これはロックだ
おれのロックだ
たとえありふれた言葉でも
どんなに使 ....
国外の女が
盈月ホロホロに杯めく山々を隔して
抱きしめてくれたんです
金髪でした
雪をかぶった斜面に泣き、泣き、泣き
左手に見下ろす官舎から
笑顔で見送る仲間たちが小さくなっていきます ....
今朝、あつ子は眼鏡だった
俺はあつ子をかけて新聞を読んだ
悲しい記事をであつ子は泣き
楽しい記事をであつ子は笑う
俺のあつ子、眼鏡は泣きも笑いもしないのだよ
そう言うとあつ子は黙って ....
今日も行くわよドラッグストア!
新製品が目白押し
入り口近くでドリンク剤が
横目で誘惑してくるよ
エステティックはT○C!
そうは言ってもエステは高い
ローン組んだらつぶれたなんて
よく ....
眠るのが恐くなりました
夢を見なくなったからです
夢のない眠りほど
恐ろしいものはありません
眠っても
眠っても
一向に夢を見る気配が無いので
仕方無く眠ることを諦めました
あ ....
おそらく兄だ
拳銃がかくしてあった
モデルガンじゃない
重み 鈍色
ライラックピンクのスカートに押し込んだ
まずは倉庫だ
こんな時は倉庫
死ぬのか
あほか
こんなときに ....
キャンディグリーンのミニカー
メイド・イン・ベルギーのミント菓子
ずいぶん磨り減った消しゴム
片方だけの水色の手袋
そういう
何の価値もないものを
何の価値もないものだけをかき ....
砂場ではいつも
大きな壁が作られようとしてる
水をかければ崩れてしまうのに
待ち合わせの時間まで
僕は地下街の書店で時間を潰すことにした
詩集のコーナーで数少ない詩集を二、三冊めくってみたが
どれもこれもピンとこなくて他のコーナーにある書籍も
黙りこくったまま ....
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