雨上がりの水たまり
泥水も尊いいのち
綺麗な花が
尊いいのちなら
枯れた花も
尊いいのち
忘れないよ
ここにいたのは
尊いいのち
犬が
ぴちょん、と
鼻をつけ ....
朝霧の蒸発してゆく速さに
子供たちは
緑色の鼻先をあつめて
ただしい季節を嗅ぎわける
くったり眠っている
お父さんのバルブを
こっそりひらいて
空色を注入する
うん、うんとうな ....
手を引いて
歩く指先は、きっと
温かかったような
そんな気が
している
お母さん、と
間違えて呼んだ私の
頭を撫でては
大丈夫と
微笑んでいたから
髪を結う仕草の ....
食べるのならあげるけど
おそるおそる声をかけられた
手に持っていたのは 漬物のようなお菓子
中国の方から戴いたものだという
仕事がらみのおみやげで
自腹でせっかく持ってきてくれたものだけ ....
夜はせばまり
夜はひろがる
粒と浮かぶかたちと唱と
妨げを泳ぐ轟きと尾と
波の終わりとはじまりに
砂の言葉と花火があがる
水からひろいあつめた羽と
貝のかたさの音のつ ....
21
カレンダーを見ると
夏の途中だった
日付は海で満たされていた
子供だろうか
小さな鮫が落ちて
少し跳ねた
恐くないように
拾って元に戻した
22
フライパ ....
何かに追われて
自分が見えなくなって
約束すら忘れて
遠い遠い道のりの途中で
出会いがあった
運命と呼ぶには
少し大袈裟な
そんな出会い
他人は他人
自分は自分
....
思うところがあり木の節をじいーっと眺めていたら
目が節穴になってしまった
オロオロと手と足を同時に動かして慌てていると
青リンゴの香りのする見知らぬ誰かさんが
あっちのほうにその辺の事情に詳し ....
あるく
ただ、それだけ。
きみのこころをあるく
わたしにできるのはそれだけ
笑顔が欲しかった
できれば言葉も欲しかったし
ごめんも、いいたかった
ただ、それだけ
+落葉の日には
赤い色、青い色
残りの空を数えている
穏やかな日々、頬は
青く紅葉として
時間は等しく流れていく
境目に乗って遊ぶ
あなたの身体に耳を置く
....
田舎暮らしに馴れきってしまい
地下街が怖くて僕は
東梅田のビルの隙間
歩道をとぼとぼ駅に向かう
汗がにじむのは
気温のせいじゃなく
コンクリートに染みついた
あの夏の影の照り返し
不快 ....
アイタイキモチを結句に
歌えるようになったとき
恋が始まるのだと誰が言ったのだろう
2002年5月8日
あなたは今、幸せですか
リフレインしてやまない君の問いかけに
若 ....
強く握れば
つないだ手が
痛く、切なく軋む
でも、離さない
どこまでも
一緒に行きたい
あなたは私を見抜いてるでしょ?でも私は気にしない。
自転車で並んで走るっていうのはいい。歩道を並んで走るととっても迷惑でごめんなさいって思う。
自転車で並んで走ると手をつなぎたいって思って ....
校長先生のお話は
いつもとても長く
生徒が一人、二人と崩れてゆく
背筋を真っ直ぐ伸ばしたまま
音もなく倒れ
そのまま影となる
「これで、校長先生のお話を終わります」
その瞬間
....
茜色の空
毎日眺めているのに
私はまだ出逢ったことがない
からからと笑う時も
ざぁざぁと泣く時も
それはいつも
いつも いつも
猫背な君に呆れて
電線で遊んでみ ....
明日の夜 君はきっと 僕に似た女の子とキスをする
月の光りに照らされて 綺麗な影が伸びるだろう
僕が嘘をついて 君が嘘をついて
ふたりがうまくいくのなら
良いんじゃないか
....
七月になりたい
すべてを消しつくす激しい雨と
すべてを輝かせるいちばん眩しい陽射しと
{引用=個人詩集「透明塔より」掲載}
青い血で書かれた水曜性は、
{ルビ万年青=おもと}の実となって赤く結ばれる。
ある、いは、いつになく遠く静かな空で、ある。
店員が しきりにすすめてくる
玄関先に どうかしら
と自分に問 ....
ひとりで食べる夕食は
いつものように
電子レンジでチンして3分
たった3分
それでも3分
どうにも待ちきれなくて
電子レンジの前で腕組みしながら
ながめるタイマーは
永遠にカウ ....
飛行機を知らない人と轍を踏む
想像よりも柔らかい轍だった
この先に飛行機があるんだよ
そう言うと向こうは深く頷いた
生まれたときから教えられた通り
正しく騙せば
一族は末永く恵まれる
....
手作りの街並みは
連続的な曲率を忘れてしまっている
その中に欲しいものはなく
わたしは
資格参考書と
一握りの雨粒と
友人にお裾分けしてもらった溜め息の入った
鞄を提げて
求めたい ....
手の内ではじける
しゃぼんだまに似た空に
遠い影を投影しては
また、見上げている
影送りだなんて
とうに忘れ去られた遊びを
何度も、何度も
繰り返して
空を横切る
....
かぶとの木と呼ばれていた
通学路沿いの
道から少し滑り降りて入る草薮の中の
真ん中がくり抜いたようなくぼみのある木
樹液が蜜のようで 夏にもなると
かぶと虫や ....
大人になんてなりたくないと
思った時から
ずっと星を探していた
将来への自信と
可能性への期待に満ち溢れて
星は必ず見つかるものと
全ての人に全ての星があると
それが当然だと思っていた
....
夏の朝
白いテラスで
ラジオが唸ってる
はるか頭上の風は
あまり動いてない
雲も眠ってる
テーブルクロスも
キッチンから
また君がドーナツを揚げる音と匂い
揚げたては好きだけ ....
あさ
ゆうやけ色のやさいたちを
こわしてゆくときに
ふと香る 昨夜の
ねむりにおちてゆく、
やわらかい
眩暈
きょうはいつも きのうの続きだから
きのうの夜も
まくらにほ ....
ぼくのこの手に
あのあたたかい
陽だまりを拾うことができるなら
あなたのもとに持ってゆくよ
いのりが
ああ、
きこえない
キズだらけのあな ....
11
ジャングルジムの上で
傘の脱皮を手伝う
またやってくる
次、のために
海水浴の帰り道
人の肌が一様に湿っている
12
ピアノを弾くと
鍵盤がしっとり ....
綿毛に乗せた
ことばの行方を
わたしは知らない
それは
さほど深刻ではない心当たりで
暖かすぎる夏の日に
ときどきそっと
距離を置く
まっ白な
姿かたちは
どこ ....
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