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〈生え際で息吹き感じる春とはね 涙次〉


【ⅰ】

 珍しく故買屋の方から、聲を掛けてきた。リクエストつて奴。もぐら國王、
「珍しい事もあるもんだな、あんたがおねだりとは-」「いやね、或 ....
「カンテラは、俺の全てなのです」作者談。2021年からだつたかな、アメブロに、tsuyutsuyuseigetsuと云ふ名義で、『カンテラの1ダース』(これが第一ピリオド)ぽつぽつと掲載し始めて、早4 .... 〈飢カツゑたる我が心かな雪解水〉


【ⅰ】

 東北の寒村に突如その威容を現す「秘寶館」。まあ國王、もぐら國王こと杉下要藏には取り立てゝ用がなく、つひ見過ごしてしまふのだが、葛飾北斎の眞筆 ....
〈いかのぼり空に見付けたあり處 涙次〉


【ⅰ】

 テオはテレパスである。彼が人間の言葉を話すのは、人の心にダイレクトに語りかけるのであつて、彼が人間と同じ聲帯を持つてゐる譯ではない。そ ....
〈春寒し瞬間を生き息を吐く 涙次〉


【ⅰ】

 押越亨オシゴエ・トホル。獸醫師である。一應、テオの主治醫、と云ふ事になつてゐる彼は、大黑屋の「角打ち會」にも、たまに顔を出す。
 彼に ....
【ⅴ】

 じろさん、泣いてゐたやうだ。自分は、悦美の為に涙一つ零せない。カンテラは憂愁に浸りつゝ、ランタンの中に籠もり、細い火を燈してゐた。と、

「お邪魔します」テオが猫用の出入り口から入 ....
〈竹秋や奈落大好きなる女 涙次〉


【ⅰ】

 じろさんは蒼白な顔をしてゐる。「悦美が…壊れていつてしまふ」
 そんな焦燥を、カンテラはまともに受け止めたくはなかつた。「今、もぐら國王が ....
〈くちなはの目醒め貴方の懐に大穴があるそこから這ひ出し 平手みき〉


【ⅰ】

 朱那アケナは明らかに泥酔してゐた。「うー、水、水」
 國王が水を汲んでやると、それをぐびぐび飲み、「うー ....
【ⅳ】

 町會長である松本さんが、封筒を持つて事務所にやつて來た。「粗茶ですが」悦美が茶など出す。松本さんは、おづおづと封筒をカンテラに差し出した。「あの、これ」「は?」「トイレの魔物を退治して ....
〈早蕨や婆サの澁の味がする 涙次〉


【ⅰ】

 テオが安保氏に「ボンド・スクーター(作者註)」の改造圖面を、メールで送つたちやうどその時だつた。「きやあああ」悦美の聲である。だうやらトイ ....
〈靑ぬたを食ひたし我が心乾く 涙次〉


【ⅰ】

 珍しく仲本の方からコンタクトを取つてきた。
「頼みがある。『もぐら國王』(作者註)を捕らへて慾しい」「單刀直入だな、」とじろさん。「『 ....
【ⅷ】

 翌朝、中野區役所の下では、人々のざわめきが起こつてゐた。男が一人、屋上からロープで吊り下げられている。白川であつた。
 垂れ幕「この男、『倖せ教』前田聖心と騙らい、世に惡事を成した事 ....
【ⅳ】

 テオ「あのジムニーの前の持ち主、割れました。白川と云ふ人です。佐武ちやんの顧客名簿に、ちやんと載つてゐましたよ。事故車のリストを、佐武ちやん作つてたんですよ」カン「佐武ちやんにも困つた ....
〈永き日の向かう三軒両隣 涙次〉


【ⅰ】

 杵塚の撮つた、カンテラたちのヴィディオが大分溜まつた。それで、テレビ・コマーシャルを制作しやうと云ふ話が持ち上がつた。カン「テレビ界には、い ....
【ⅶ】

 駐車場でカンテラ(と、じろさん、テオ。彼らは身を潜めてゐた)が待つてゐると、一台の無蓋トラックが、恐らく改造人間たちであらう、男どもを満載し、滑り込んできた。
 天神は、もしかすると ....
【ⅳ】の續き。

 テオ「天神一享テンジン・イツキョウと云ふ男 -この男、一種のマッド・サイエンティストなんですが- がをりまして、侍らし得る限りの、勞務者、家なしの男らを集め、サイボーグに改造 ....
〈梅が枝を車窓に挿せばラジオ和す 涙次〉


【ⅰ】

 杵塚は下手くそな俳句を詠んだ。〈コンビニのコーヒー沁みる春寒し〉
 苦笑しながらコンビニを後にして、彼は愛機・カワサキZ-250に ....
【ⅶ】

 テオはPCを見て云つた。「兄貴、例の藤弁護士が、面會を求めて來てゐますが」カ「さて、だうしたものか」テ「だうせ恐喝の類ひでせう」カ「それも併呑して、この問題を一氣に片付けてやるさ」テ「 ....
【ⅳ】

 明日は倖世の遺族、色川家の人びとゝの面談の日であつた。倖世の供養を終へた色川の母は、だうしてもカンテラに、一言禮が云ひたいと、申し出てきたのである。倖世の魂が迷はず成佛出來たのも、何も ....
〈春一を待てば泡立つ心哉 涙次〉


【ⅰ】

 カンテラは外殻(ランタン=カンテラ。カンテラはそこに巣食ふ火焔のスピリットである)を、安保さんの許に、オーヴァホールに出してゐた。たまに點検 ....
【ⅷ】

 カンテラは護摩を焚いて、その中に坂本のケータイを投げ込んだ。眞言密教の秘術、「修法」。「決戦の時、近し!」

 そこは魔界ともこの世ともつかぬ、謂はゞ煉獄のやうな場所であつた。
 ....
【ⅳ】

 カンテラとの入浴、それは悦美にとつては、神聖な儀式のやうなものだつた。
 カンテラの躰には精嚢と云ふ、【魔】退治には関係のない、無駄なパーツは一切付いてゐなかつた。従つて、性慾と云ふ ....
〈春雨や濡れて參らう傘一つ 涙次〉


【ⅰ】

 坂本鈴之助が、ふらり「カンテラ一燈齋事務所」を訪ねてきた。折詰一つ提げて。カンテラは外殻の中で、惰眠を貪つてゐる。どの道、俺に用だらう、久 ....
【ⅶ】

 駆けつけたカンテラ・じろさんコンビ、緑色の液体、を見て「消されたか…」
「次、ベルゼブブが現れさうなところ、と云つたら- 二人顔を見合はせ
「區役所!」

 二人は取り急ぎ驛方 ....
【ⅳ】

 梅林で呑めや歌えや、はカッちやんの大袈裟であつた。たゞ梅咲き誇る早春を樂しむ、しめやかな會、となつた。酒はカッちやんの調達なので確かな品、である。お重は悦美が澄江さんにアドヴァイスされ ....
〈水然り空氣も然り春立ちぬ 涙次〉


【ⅰ】

 安保宙輔は今度の株式総会で、株式会社貝原製作所の代表取締役・社長の坐に就任が決まつた。安保さんとしては、氣が重いのである。彼は一箇の職業人 ....
関東平野には一月現在
何か欠けてゐるものがある
僕は髙校入試の合格發表の日
初春だと云ふのに
いや春だからこそのどか雪に
足を取られた事を思ひ出す
さう、雪
雪がまだなのだ
その日僕は ....
僕は何くれとなく世話してくれる
女人ニヨニンを探してゐるのです
稲垣足穂の奥さんとなつた人は
他の作家の使用濟みの原稿用紙を集め
その裏に足穂の文を
書かせたと云ひます

貴女と僕とでは ....
時には母のない子のやうに
一箇のカレーパンを貪る
時には子のない母のやうに
花と云ふ花に名前を付ける

僕を踏み台に出來たなら
それは彼女らの優しさだつたらう
嗚呼そんな戀心だつた
僕 ....
日本海沖に暖流があり
それに彼は潜ると云ふ
二つの世界
鈍色と
原色
僕が不屈の詩人である為に
彼を取り込む
僕の胎内
母となり、僕は二つの世界を
持つ‐
鈍色
原色
彼の荒野 ....
田中宏輔さんの髙任勇梓 Takatoh Yujiさんおすすめリスト(65)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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NWSF怪畸幻想譚_斬魔屋カンテラ!!『倖せの黄色いジムニー ...- 髙任勇梓 ...散文(批評 ...325-2-8
NWSF怪畸幻想ロマン_斬魔屋カンテラ!!『子を連れて』③- 髙任勇梓 ...自由詩225-2-7
NWSF怪畸幻想ロマン_斬魔屋カンテラ!!『子を連れて』②- 髙任勇梓 ...散文(批評 ...225-2-7
NWSF怪畸幻想ロマン_斬魔屋カンテラ!!『子を連れて』①- 髙任勇梓 ...散文(批評 ...425-2-7
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NWSF怪畸ロマン_斬魔屋カンテラ!!『水と空氣と花と』③- 髙任勇梓 ...散文(批評 ...325-2-3
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