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眠れずの夜半の僕はといえば
ベランダに丸椅子出して店番す

陳列された星座の数々に反し
なかなか御客も来そうにないが
夜蜘蛛は一晩経つと朝蜘蛛に
こっそり生まれ変わってた

死なずとも生まれ変われる事を
こっそり僕に教えてくれた
まばゆい夏制服の午後をも
陽はゆっくりと、やがては暮れ

あれほどまでに心の通じた学友とも
いつの間にか、もう間に合わず
指に指の毛が生えていること
永いあいだ、すっかり忘れていた

まだ僕に夢も希望もあったころ
いつかの祖父らと田植えをしたのに
小指の腹から一滴
澄んだサイダーを下さい

また夏を生きられる歓び
その一滴に見いだしますから
命を失える幸せ

命あるもの、みな持っている

生まれたその瞬間から

心底の利き手に持っている

決して失うことのない幸せ

たったのひとつ、確かな幸せ

今日は悲しくて ....
日々に少しの余白を

どうか忘れないでいてね

なんにもしない日とか

空ばかり眺めていたりとか

そういう

一見すると無駄のような

切って捨ててしまいそうな

だ ....
昼間、干しておいた敷き布団

どこか小麦の香りかな

ひとまず、嗅ぐ

犬になる

犬になっている暇はない

はやく眠らねば

眠らねば、ならぬのに

やはり小麦の香り ....
夏の子孫になり損ねました

また置いてけぼりです

誰もが暑い坂を駆けてゆくのに

白い夏制服の誰もが

それなのに僕ときたら

汗のかき方さえ習得していません

父も祖父 ....
白鯨ゆく遥かな青天を

僕もゆけたなら

四肢の折り目を開き

やっと、やっとの夏の日を

僕もゆけたなら

平泳ぎの一掻き、一蹴り

果てしなく自由に

生まれたまま ....
革張りのソファーに夏肌を吸われ、少しスケベエな気持ちになったり。
しかしそれが合成皮革だと気付くと、少しスケベエな気持ちが萎えたり。
はてさて、みぎを選ぶべきか

はたまた、ひだりを選ぶべきか

どうにも悩み疲れたのなら

みだりを、ぜひ、どうぞ


みだりが何者かと申しますと

物腰の柔らかな気のいい奴で ....
君が教えてくれた勿忘草の花言葉を忘れない


ううん、そうじゃなくって、


勿忘草の花言葉を教えてくれた君を忘れない
そよかぜは、そよそよと吹いて

そして、いつからか、よそよそしい

「そよちゃん」と呼びかけたって

振り向きもせずに、通りすぎていく

かつてのように、またお話がしたいのに

 ....
変なTシャツで出掛けよう

誰にも彼にもクスクスと笑われよう

指をさされて馬鹿にされよう

とてつもなく白い目で見られよう

親の期待を裏切ってしまおう

一生の約束を破って ....
夕暮れは、いつも隣に座ってた

河川敷の土手に、いつも僕と座ってた

何を話すでもなかった

ただ何となく、二人で座ってた

夕暮れは、いつも時間になると帰ってった

泥だらけ ....
これでもかと歯石を取り尽くされ

すかすかすっからかんの帰り道です

もう何も持っていません

昨日までの悲しかった人生も

明日からの悲しいであろう人生も

もう何処にも無い ....
太陽が煮崩れてゆくよ

刻一刻と、取り返しがつかない程に

肉じゃがには男爵ではなくメークインだと

そう母は教えてくれたのに

きっと僕が買い間違えてしまったせいだ

だから ....
星屑も、パン屑も、人間の屑である僕も、みんな、いつかは許されて。
屑としての命、その日がくれば白粉となり、神の一吹きで翔んでゆく。
寒夜の洗面所に、固形石鹸は芯から冷え、それは無垢な恋人のよう。
悪事に染まった我が黒き掌でよければ、優しく包んであげましょう。
遥かな草原に立ち尽くす夏制服の、三限にて早退した僕の、幻影の。
四限のプールの、命の歓びの、それだけが心残りのような細き背の。
横断歩道の罫線を歩きながら、胸中であなたにお手紙を書きました。
青信号は行って良しの合図ですからね、少々大胆な愛のお手紙です。
人生を全うしたとき、命は何層のパイ生地に仕上がっているかな。
僕、死ぬのは怖いけど、棺の中で美しいパイに焼き上がりたいな。
古書店の角を折れると、そこには煙突の何とも可愛いベーカリー。
この界隈には酵母菌がふわりと漂っていて、よって古書も芳醇に。
旅のしおりを作るなら、最後の頁に、こう印字しておこうか。
〜旅のしおりを手放す時、僕らは本当の旅人になるのだろう〜
amazonの巨大倉庫内の片隅に、とある原石が眠っているのさ。
在庫は一点、入荷予定は無し、誰にも発掘されぬ、君は何と美しい。
歩くたび、古い廊下はミシミシと、僕に何かを伝えたがっている。
ミシガンだかミシシッピだか、おそらくアメリカに関する要件を。
男のくせに、大きなテディベアにもたれて眠る夜。
父親を裏切る夜とは、こういう夜を言うのだろう。
空の似顔絵を描くとね、どんなに下手でも似てしまうよね。
空には正解がないから、きっと間違えようがないんだよね。

目が覚めると、今日もプリンの一日です。
円グラフ、黄色で塗りつぶしちゃうのです。



夏の朝、粉ゼラチンを制鞄の底に隠し、隣町へ密輸の旅さ。
その町に住む不登校の友達に、プリ ....
朧月夜さんのクーヘンさんおすすめリスト(99)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
店番- クーヘン自由詩5*22-8-8
こっそり- クーヘン自由詩6*22-8-1
夏制服- クーヘン自由詩3*22-7-21
田植え- クーヘン自由詩10*22-7-7
一滴- クーヘン自由詩4*22-6-27
幸せ- クーヘン自由詩2*21-9-13
糊代- クーヘン自由詩5*21-8-25
犬になる- クーヘン自由詩6*21-7-29
夏の子孫- クーヘン自由詩6*21-7-23
ゆけたのなら- クーヘン自由詩6*21-6-21
スケベエ- クーヘン自由詩3*21-5-18
みだり- クーヘン自由詩4*21-4-23
忘れない- クーヘン自由詩4*21-4-18
そよちゃん- クーヘン自由詩4*21-4-12
変なTシャツ- クーヘン自由詩2*21-3-29
夕暮れは、いつも- クーヘン自由詩13*21-3-23
すかすかすっからかん- クーヘン自由詩7*21-3-17
太陽が煮崩れてゆくよ- クーヘン自由詩7*21-2-12
- クーヘン自由詩4*21-1-8
恋人- クーヘン自由詩8*20-12-22
早退- クーヘン自由詩9*20-12-17
罫線- クーヘン自由詩5*20-12-11
パイ- クーヘン自由詩4*20-11-30
ベーカリー- クーヘン自由詩3*20-11-23
旅人- クーヘン自由詩4*20-11-14
原石- クーヘン自由詩6*20-11-5
ミシミシ- クーヘン自由詩3*20-10-23
テディベア- クーヘン自由詩2*20-10-6
似顔絵- クーヘン自由詩3*20-10-3
プリンの一日- クーヘン自由詩4*20-8-30

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