忘れられた歌が戸を叩く
風が酒乱の男みたいに木を嬲っていた

(何も知らない子どもがゲルニカを見ている

 あなたは映らない鏡
 恋している
 空白の輪郭の投影よ
 純粋すぎて
 愛 ....
きみのかあさんになりたい
お洋服を手縫いしたり
陽に透けるきれいなゼリーをつくったり
おひざにだっこして絵本を読んだりする
いつも子育てのことで
はらはらと気をもんでいる

きみのとうさ ....
道路が出来て分断されて
この木は孤独に真っすぐ伸びた
辺りの土地が分譲されて
真新しい家が茸みたいに生えてくると
繁り過ぎた木は切られることになった
ざわざわと全身の葉を震わせて
震わせて ....
雨の日のあくる日
学校のうらの公園に
みずたまり
ができていたよ
みずうみ
みたいだったよ

みずうみには
ケヤキの葉っぱが陽に射られてみどりに
きゃあきゃあと光っていたよ

女 ....
脳味噌、お花畑だね」
並んだスカートひらり
風に揺れる。

短い命が花の間だけなら、枯れた後の果実が青から赤に染まって甘くなるまで待って。

少女はケラケラ笑う。
「ポエム!」
「ポエ ....
「満たされぬ事は墜落の終わり

✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄

満たされる事は堕落の始まり」

群は個が乱立す ....
薔薇の散るかすかなざわめき
酸性雨はやみ
コンクリートは少し発熱している
大きな海で貝は風を宿し
小さな海では蟻が溺れる
波紋はいつだって
丸く
遠く
対岸で鳥はさえずり
ポストはチ ....
ごめんねとあなたにささやいて
いつも唾でやさしい嘘をなぞっていた
ほら、耳をふさいでしゃがみこんで
はねつけろよ

いつからわたしの舌は
こんなにも何枚もはえてこっそりと赤い棘で
みなを ....
ぽたり

心の壁の左下の
しみったれた蛇口は
しまりが悪くて
思い出したように
言葉が滴り落ちる

気紛れに
小さな器で受け止めて
液晶の畑に撒いてみるけれど
発芽するのは
 ....
流れ出た血が固まるように
女は動かない
動かない女の前で暫し時を忘れ
見つめれば やがて
そよ吹く風か 面持ちも緩み
――絵の向こう
高次な世界から
時の流れに移ろい漂う
一瞬の現象で ....
眩しい
なにもみえぬ夕暮れのなかに

鳥葬の塔

アーチ型の風雨にいたんでいる木製ドアを開けよう
耳に痛いちょうつがいの音がして少し赤錆がおちる
取っ手にはこれまでのすべての
怯えてい ....
通夜のさざなみ

鯛の骨がのどに刺さって
死んでしまうなんてね
或る死の理由が
人の口から口へとささやかれ



悲劇

重力がない世界では
シャボン玉も落ちてはこない
だか ....
考えてみたらあたりまえだけど
詩をかくひとにも
なにかしら毒のようなものをまとう
ひとがいた

目立ちたいひと
偉くなりたいひと
人を貶めたいひと

なんだか
スンと
さみしいき ....
ッポン ッポン スッポンポン

ちょっと不安な夜はね
お月様に弦をかけて
愉快にかきならして御息所を追い出すわ
獏 パクパク

かあさんてばアマテラスだったのよ
かっこつけすぎひねくれ ....
命がけで海の深みに潜り
古の眠れる宝を手に入れた男の話
錆びついた鍵を抉じ開けた
宝箱の中には
見覚えのある割れた手鏡ひとつ

結果より過程
得るよりも追求
流離うなら古代ギリシア
 ....
尿が漏れるのと
音が漏れるのは一緒なのかもしれないと
木田さんは考える
母と姉がストックホルムへ
旅立った後に
木田さんは哲学者
木田元になった
パブロフの犬みたいに
唾液も漏れる
 ....
今朝は青っ{ルビ白=ちろ}いぬっぺらぼうすっきりしない暑くなりそう
砂ぼこりに跳ねる光キラリ目の端っこで鰯の稚魚みたいに
きっとありゃガラスの欠片だれが割ったか知らないけれど
小学生の道徳を中学 ....
俺は今年サンタクロースになるつもりでいる
誰も止めんでくれ
いま
煙突という煙突をリサーチ中だ
まぁ
俺の配達範囲といったら
限られちゃーいるがな

配達?
サンタクロー ....
行間のしろいまぶたが
きんいろに開かれてゆくことがある、としたら
白百合を青い糸で綴じたのは余計な悪戯だったでしょう

木の陰に残された小人の足跡
そこにも宇宙にも
数え切れないほどの静寂 ....
雨粒の一つ一つが水の惑星として多くの生命を宿している
ちょうど今日のような日に
水は忍び寄る 音楽に紛れて
耳の奥の貝を発芽させるために

アンモナイトが石の生を得るずっと前
いい陽気の朝 ....
まぶしいのは
ずっと目を閉じていたから
そこは優しい闇に似た架空世界で
行こうとさえ思えば深海にも
宇宙にも
過去にだって行けた

あのスカートはどこにしまっただろう
青い水玉模様
 ....
ねぇ、おとうさん

なんで 戦争反対をするの / 次世代のこどもたちが徴兵されるからだ / なんで そんなふうに思うの / 新聞を、読んだからだ、たくさんの人にあって活動していたからだ / なんで ....
意識は一本のロウソク
辺りの闇を仄かに照らし
朧げにでも識別し得たもの
それが全て 世界の己の だが
寄り添い合えばより遠く闇は開け

意識は一本のロウソク
にわかな風に脅かされて
人 ....
to belong to
ということばのひびきはあこがれだ
(父のキングス・イングリッシュはほんとうにうつくしい)

遠い、遠い
名も知らぬ
国を想うように
to belong toをく ....
盃から溢れる涙のよう
漲る色香をその身に収め切れず
こぼした花弁 拾って風は 囁くほどの足取りで

月しか知らない子どものよう
蒼白いその身を五月の光に晒しながら
淡く 萌え出る想い そっ ....
黒焦げのトーストがいいマーガリンでいい
バターじゃなくていい
蜂蜜は国産 養蜂屋の小さな店先のがいい
種類にはこだわらないがシナ蜜なら尚いい

雨が降る前に用事を済ませたいが
用事の方がは ....
やがて宇宙が滅びることは数式に証明されちゃったらしい
終末のラッパはとっくにわたしの中に高らかに吹かれてた

人も言葉もすべては星の爆発の灰燼に帰すのかしら

いえ、きっと
書かれた人読ま ....
父母が買った墓を見に行く

高台にあるそこからは
海が見渡せ
なんのわずらいもない風が吹き渡り
小さな飛行機が雲間に光る

このお墓に入ったら
この景色を見て暮らす、という母に
いい ....
ひと粒のキャンディーが舌の上で溶けて無くなる前に
いつも噛み砕いてしまう男が馬乗りになって
犬には解らない母親譲りの言葉でトイプードルを撫でながら
時折その首を絞めていた女を殴っている
二人の ....
ねぇ おぼえている

この世におりてきたころのこと

あしたが待ち遠しかった日々のこと

まばたきするたび うつりかわって
桜の花びら
糸と針でネックレスにして
穴あけたところから
 ....
白島真さんのおすすめリスト(1354)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
それ以外に何が- ただのみ ...自由詩13*18-6-13
きみのとなりにユーレイのように- 田中修子自由詩18*18-6-10
ホトトギスの木- ただのみ ...自由詩7*18-6-6
初夏の奇跡- 田中修子自由詩8*18-6-3
【文学的波長】- 黒崎 水 ...自由詩218-6-3
[白い記号の終わり]- 黒崎 水 ...自由詩318-6-3
六月の朝はまどろむ- そらの珊 ...自由詩1618-6-2
空だまり- 田中修子自由詩7*18-6-1
蛇口- nonya自由詩17*18-6-1
静止性- ただのみ ...自由詩12*18-5-30
鳥葬- 田中修子自由詩3*18-5-30
ふたつつむじのゆくえ- そらの珊 ...自由詩19*18-5-26
こおり/朝の空/鏡- 田中修子自由詩12*18-5-20
下弦の恋- 田中修子自由詩4*18-5-18
名無しの快楽- ただのみ ...自由詩12*18-5-16
哲学者- 間村長自由詩7*18-5-13
きっと君はスカラベみたいな瞳で- ただのみ ...自由詩4*18-5-12
ブラックサンタクロース協会- 尾田和彦自由詩6*18-5-11
虚構- 渚鳥自由詩13*18-5-10
完全体のためのプロト- ただのみ ...自由詩5*18-5-9
燕よ- そらの珊 ...自由詩1518-5-9
滲む記憶- 田中修子自由詩9*18-5-8
蝋燭- ただのみ ...自由詩4*18-5-5
名も知らぬ国- 田中修子自由詩16*18-5-4
桜と白樺- ただのみ ...自由詩10*18-5-2
50階- ただのみ ...自由詩10*18-4-25
葉桜の数式- 田中修子自由詩10*18-4-23
トランジット- そらの珊 ...自由詩16*18-4-22
ままごとあそび- ただのみ ...自由詩5*18-4-14
卯月のゆめ- 田中修子自由詩9+*18-4-13

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