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机の上に延びる
湯呑みの影が
お地蔵さんの姿に視える、夜

――もしや

目に映る風景の
あちらこちらに宿る
心というものか
今日もふらふら
音のない家へ帰る男の背中は
言葉にならない寂しさを{ルビ醸=かも}し出す  

〈人生はひまつぶし〉と嘆く男の一日は
二十四時間ではなく 
長さの計れぬ夜なのだ 

こ ....
この街には
音のない叫びが無数に隠れ
僕の頼りない手に、負えない 

渋谷・道玄坂の夜
場末の路地に
家のない男がふらり…ふらり
独りの娼婦の足音が、通り過ぎ 
酔いどれた僕の足音が、 ....
詩人の友の「活動二十周年」を祝う
朗読会に出演した  

それぞれの闇を越えて、再会を祝う
ステキな言葉の夜だった 

トリの朗読をした彼が
最後の詩を読んだ後
客席の後ろにいたほろ酔 ....
書かれたチョークの白い文字
「 孫が悟った、空の色 」
ずっこけて、転がって、這いつくばっては
立ち上がり(瞳はぎらりと、ぎらつかせ)
またずっこけて、膝擦りむいて、血糊を
なめ、それでもまだ夢を見て、今宵の夢
を見たくて ―この世界に恋がしたくて ....
日頃ぐうたらな僕が 
一念発起して 
庭の草をむしり始めた

夏の太陽はぎらぎら笑い
ぽたり、ぽたり
{ルビ滴=したた}る汗は目に沁みる

草のむしれる感触に
無心で熱中しながら、熱 ....
車内でマスクをするのは、賛成です  
ただ、忘れずにいたい 

思わず、くしゃみをした人へ
私の目線がささらぬように
ちょっとの 間 を置いてみる 

口と鼻は隠しても
〝まなざし〟だ ....
かれはすごい 
てんかんの発作で
鼻の骨が見えそうな傷を負っても 
支援学校の上級生に引っかかれ
ほおに血を流しても

夜、パパが家に帰り 
ドアを開くやいなや
百万ボルトにまさるほほ ....
目の前の
馬鈴薯と玉葱の炒めものは
たった一枚の皿であれ
時と所により
どれほどの幸いを、もたらすだろう
ある男は
大きな島の森の中で
明日を見据える
アマガエルを見つけた

ある男は
夜の無人のバッティングセンターで
白球を捉える
金属バットの音を響かせた

ある男は
絶望的な雨ふ ....
9さいの無垢な涙の一滴は
遠い空から
地上の友の頬に、おちる

9さいの君を想う友の涙の一滴は
遠い空へ
やがて 吸いこまれてゆく



 * 今夜行われた
   詩人のともちゃ ....
時は昭和三十三年のプロ野球
日本シリーズ
巨人に三連敗で
絶体絶命の西鉄ライオンズ
エース稲尾和久は残りの四試合全てに登板
チームを逆転優勝に導き
翌日の新聞には
「神様・仏様・稲尾様」 ....
やあ
十五年前の君
予想できるかい?
ひとつだけ、教えてあげよう

{ルビ面白=おもしろ}苦しい、面苦しい、日々の果てに
君は手にいれる
ひとつの温かい宝を

自由だとか、幸いだとか ....
暗い部屋で
{ルビ胡坐=あぐら}をかいている
私の上に

 ?


ひとつ
浮かんでいる

なぜ人間は
言葉を語り
言葉に悩み
言葉に{ルビ温=ぬく}もる
のか

た ....
小袋を開けて
柿の種を食べる
{ルビ掌=てのひら}にのせ
柿の種に混ざるピーナツを、数える
――この組み合わせは二度と無いだろう

夕刻 ダウン症児の息子の
小さな手をとり
川沿いを歩 ....
今日はわたしが生まれた日
まだ{ルビ仄暗=ほのぐら}い玄関の
ドアの隙間から
朝のひかりは射している

幸いを一つ、二つ・・・数えて
手帳の{ルビ暦=こよみ}を
ひと日ずつ埋めながら
 ....
三日前、一度だけ会った新聞記者が
病で世を去った
一年前、後輩の記者も
突然倒れて世を去っていた
彼の妻とは友達で
今朝、上野の珈琲店にいた僕は
スマートフォンでメッセージを、送信した
 ....
時には、夜のドアを開けて
静かな世界を照らす
月を眺める
秋の宵

――あなたのココロの目に視える
  月の満ち欠けは?

日々追い立てられる秒針の{ルビ音=ね}から逃れて
やってき ....
――誰もが探しているものは何?

ふり返ればずいぶん
{ルビ流離=さすら}ってきたけれど

――わたしが探しているものは何?

  青い光
  ヨコハマの
  青い光

それは観 ....
田中修子さんの服部 剛さんおすすめリスト(20)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ひと影- 服部 剛自由詩821-1-24
夜の信号- 服部 剛自由詩321-1-20
Slow_Boat- 服部 剛自由詩220-12-30
Avanti- 服部 剛自由詩4*20-11-7
某駅の伝言板に- 服部 剛自由詩220-9-28
詩人達の夜- 服部 剛自由詩720-9-20
麦茶の味_- 服部 剛自由詩620-8-31
コロナ詩篇4- 服部 剛自由詩220-6-2
電球のひと_――ダウン症児の息子に――- 服部 剛自由詩1120-4-8
昭和二十年、或る夏の夕餉- 服部 剛自由詩1020-1-28
即興詩2「ポエトリー四銃士」- 服部 剛自由詩119-12-4
世界の果てへ- 服部 剛自由詩519-11-2
息子への手紙- 服部 剛自由詩1019-7-13
十五年前の君へ- 服部 剛自由詩519-4-3
五十音の石- 服部 剛自由詩419-2-20
夕方の散歩- 服部 剛自由詩419-1-3
祝福の日に- 服部 剛自由詩318-10-31
光の欠片- 服部 剛自由詩1318-9-18
お月見の夜- 服部 剛自由詩618-9-1
言葉の船_―横浜詩人会六十周年に寄せて―- 服部 剛自由詩918-8-8

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