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リビングで
回遊している銀の魚は
言い出せなかった言葉の群れ
怠惰な午後に
ゆらゆら
なんて美しいのかしら
この沈黙は
止まない雨のせいで
人の心が落ちてく
深い水底に
ひとり
またひとり
ゆっくり沈んでいく
かかる電話は悲しい知らせ
孤独と孤独を結ぶ線のはずなのに
聞けばもっと孤独にな ....
無限のフィールドに
ゴーストを飛ばして
戦ってる若者たち
コンビニで立ち読みしながら
あるいは駅で電車を待ちながら
無表情な彼らは
特徴のないただの通行人
肉体とは
完 ....
共感されがたい物の
領域に入っていく
狭い空間に
足を滑らせていく
だけど
なんという居心地の良さ
リアルを忘れる遊具は危険
まるで
断崖から
スローモーションで ....
ただ泳ぎたいだけ
ぷかぷか浮いてたいだけ
どこの海かは問題じゃなくて
夏の海こそが
帰りたい場所なんだ
泳げば忘れる
いいことも悪いことも
自分が生きてることすら
コトコト走る
1両編成の海鉄を見ていると
失われた何かに気づく
錆びたレールの上を
一面の田んぼの中を
むせかえる緑の中を
ゆっくり走る
その可愛らしい姿
もう二度と
見 ....
田舎の
海辺の町は
夏だけ賑わうことの証に
朽ちた郷愁を見せる
古びた町並みは
時代に忘れ去られ
潮風にさらされて
風化した屋根が
陽炎のように歪む
人も少ない真っ青 ....
蚊取り線香の匂いが好きだと
誰かが言った
すごく落ち着くんだって
わかる気がした
猫を抱いて
庭先で蚊取り線香を焚く
とても静かな夜
長い間忘れていたその匂いを
思い出そう ....
在るべきものは
在るがままに
移ろうものは
流れるままに
人がひとり
岸辺で時を掬っても
何も変わらないことを知った
たとえその胸に
抱えきれない想いがあったとて
....
現実から
逃げて
放置ばかりしているから
どうしようもないところで
現実につかまる
子供のころ遊んだ影鬼のよう
私が私の
影を踏む
手で
顔を覆って
神に祈りたくなる
Oh my God
私は二人いる
犯して
裁いて
気が狂いそうだ
生まれ持つサガは
誰にも消せない
自分でも消せない
気難しい龍は
死ぬまで気難しく
誰にも媚びないだろう
優しさに抵抗しては傷を増やし
癒す事も知らずに
暴れては傷 ....
実家に帰ろう
犬に触りたい
温かい毛並みに顔をうずめて
額をくっつけて
体をくしゃくしゃにかき撫でて
私のために尻尾を振ってくれる無邪気な魂に
何度も「ただいま」って言おう ....
大草原の中で
馬と暮らしたいな
森の中で
狼と暮らしたいな
暖炉の前で
猫と眠りたいな
わたし
疲れてるんだな
空を黄土色に染めたと思ったら
一度だけ雷鳴を響かせて
通り過ぎた冬の雨
なんて足の速い雷神様だと感心しながら
窓を開けてベランダに出てみる
後姿を見ようと身を乗り出したら
忘れ衣の ....
電車の中で
懐かしい訛りが聞こえる
聞き間違えることのないその方言は
故郷の海の匂いがした
夢の中では生きられない時が来ると
理解していた
現実につぶされそうになりながら
私は両手で囲って
頭の中の草原を守った
罵倒と泥の嵐の上に
私の女神が立っている
現実と戦う私 ....
夜は気が狂っていて
何もかもが支離滅裂になる
だけど
昼はもっと狂っていて
私は平静を装う
あたりが金色になって
まだ日が沈む前
ベランダから街を見下ろすと
視界が黄色くはじけて
色褪せた古い写真みたいに見える
どんなに時代が移り変わっても
この色だけは変わらないから
....
むかし
凍えて死にかけた野良猫を
お風呂で温めて助けた
その猫はそれから
私がお風呂に入ると
いつもお風呂場にやってきた
洗面器にお湯を入れてやると
自分からお湯に浸かり
静か ....
最後に故郷に帰った日
灯台に座って
風に舞うとんびを
いつまでも見ていた
神様の木のてっぺんに
命を抱えるとんびたちは
巣に近づくと魔法の笛を吹く
目が回るほど
螺旋に ....
古い温泉街の
しめやかな抜け道を思い出す
真上から照らされる焼けた道は
傾いた屋根の
濃い影ができている
つぶれかけのタバコ屋の角に
赤茶けた古いポストがあって
その手前を曲 ....
夜明けの港でラプラスを待った
単なるゲームだ
俺たちはアホだ
だけどここ何年かの間に
こんなに純粋な気持ちでアホになったことあったろうか
潮の匂いのする風に向かって
俺たちはま ....
考え事に埋め尽くされて
頭が体を超えて行くとき
私はスニーカーを履いて
ドアから飛び出す
目的地なんて関係ない
ただ走る為だ
町を抜けて
川沿いを疾走し
理由も無く走り続け ....
水と油が
分離するように
時折
私はゆらゆらと分裂する
それは
焦点がずれた映像のように
バスの窓から景色を見ている
光の帯が
賑やかな街に伸びて
ひとりの私を過去にして ....
海鳥が
どんな風に
人の指先から
餌を奪っていくか知っているか
死にたくなったら
船に乗れ
風を読み
風に乗り
風になり
幾度となく旋回する海鳥たち
飛行を極めた美しさ ....
足が痛くて歩けない母を
海に連れて行くと
楽しそうに泳ぎ出した
それは
細胞のすべてに刻まれた記憶
海辺の田舎町で育ったこの人は
町では暮らせない人魚なんだと知った
孤独を感じると
孤独に落ち着き
誰とも話したくなくなる
心底
慣れている、と感じる
寂しい人が多過ぎる
誰も彼もが寂しがって
みんな誰かに会いたがる
それぞれどこか
何か少しずつ足りなくて
いつも互いに求め合う
だけど見渡す言葉は荒野のようだ
人は求 ....
自分らしくもない文字を
せっせと並べる昨日今日
おい
爆弾岩
何とぼけてダンジョンに隠れてる
おまえ吹っ飛ばす気だろ
宝も記憶も 人格も
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