花びらを一枚一枚数えながら
足元に広がる優しい世界に落としていく
そこにどんな想いが込められているのか
知りたくて集めようとしたけれど
僕のプライドがそれを許さないんだ
カラフルだと思っ ....
息を止めたい
男は私を笑っているのか
女は私を笑っているのか
どこを掘れば、どこをさらえば、どこをのぞけば
美しさはそのぎらぎらとした光を跳ね返して私の目を眩ませてくれるのか
....
今日も窓辺にやってくる
懐かしいあの人
雨は今も僕の恋人
悲しい音の持ち主
五月雨は憂鬱
それ以上泣かないで
五月晴れは恋しい
君よどこへ行った
梅雨の長引く六月の花嫁
....
正しくありたい
そのときどきに
間違いなら間違いの中で
正しくありたい
他と違う
そんな風でなく
まったくおなじように
正しくありたい
いつでも
違っているから
自分が だ ....
光の子供たちが浮遊する緑野に
きっとこころの種もあるのでしょう
跳ねてはしゃいだり転げたり
悪さをして群れている子供たちに混じって
金色の繊毛におおわれてふわりと浮かんでいたり
葉に ....
かなしみでなけるといいな
このままずっと
さいごにわらわないで
みんなにさよならなんて
いわないから
乾杯してはしった
はしった
このことを
おもいださないで
どうか
....
悲しみよ
世界に降り続ける悲しみよ
お前は可愛そうなヤツだな
みなに嫌われ憎まれてる
必要ないと言われる
居なかった方が良かったのにと言われる
ゴミ以下だと言われる
ずっと側にはいられ ....
かつて 営業時代に
一度だけ 映画を観に行ったコトが 有った
何処から サボリなのか
何処までが マジメなのか
線引きをしたかった お年頃
あの頃は 若かった なんて
十年 ....
花柚子を貰った
実家のお向かいの家で
段ボール箱3箱も採れた内
実家でいただき、
そこから、
わたしも鍋いっぱい分けて貰った
柚子は好き
柚子胡椒も好き
柚 ....
夜を抱いて眠っている
布団の中が宇宙だ
せっかちな朝が起こしに来ても
夜が放してくれないのだから
おれのせいじゃない そもそも
三百六十五日ごとにリセットされる
そんな人生を歩いては来 ....
まぶたをおろし、からだをまるめ
柔らかな布団にくるまり
暗くて寒い夜だとしても
夢に落ちれば孤独さえ感じることはない
喧噪から離脱したひとびとは
みな子宮の思い出に還る 夜の間だけ
種は零れる
つゆの光る朝に
手紙を黙読する
ゆき場のない言葉を
ほほに風そう庭のお墓に埋めた
涙に黙礼をする
血筋を経た
自分が今ここにいることを
みつめれば
温 ....
花のように生きることが夢だったのに
こんなに老いてしまった
何もかも失くした私には
魔法が残った
沢山の花を枯らせる魔法
心に咲くどんな花も
枯らせてしまう
私は魔女ねと
窓辺 ....
「今」という車窓から 地球を覗き込むと、中心は相変わらず たぎっている
「まいど」という だれかの声は きっと
腕時計型端末を耳に当てて
最新の黄昏方をしている
黄砂も ....
私は人魚になりたかった
折り紙で作った貝のブラジャー
母の真珠のネックレス
油性ペンで足に描いたウロコ
市民プールではドルフィンキックばかり鍛えた
私は海に帰りたい
ひしめきあう社会の ....
ね、といって目を閉じた
静かにその翼を閉じるように
ね、あなたの見る夢のなかに
白い鳥、翼をひろげて飛んでいった
その羽ばたきがかすか、耳もとにくちづける
ね、あなたは今も孤独なのだ ....
言葉って ドミノに似ている
並べ方は無限
どんなに時間をかけて並べられた大作も
たった1ピースで壊滅
うまくいくかどうかなんて
最後はほとんど 運を天にまかせるレベル
言葉って プ ....
遠い星までの距離を
なにをもって測ろうか
言葉でそれとも
夜の波の響きで
それともきみの血流の速さで
こころの深さはなにで測るの
ざわめく風のおとでそれとも
過ぎた日の木漏れ日の ....
気が向いた時にだけ
分け与えられるビスケットは
とりわけ甘いことを知っているからか
三文小説のような歯の浮く台詞で
多少の喜びも味あわせてくれない
医者と ....
それは夜明け前
君がやってきた
僕は言葉も出ないまま
ただ
涙を流して見つめていた
手放したくない何かがあるように
手を握ったまま寝ている君が
とても愛しくて・・・
その瞳 ....
かつて
そこにあった川は
幸せが
そっと残酷に
空へ蒸発していくように
今はもうない
砂漠の砂の中で
生き延びた
いっぴきの魚が
乾いた瞳で
夜空を見上げている
流れ星がひと ....
虹色の橋を駆け抜けて 光の川を渡る
知らないはずの懐かしいばしょ
むがむちゅうで おいしい匂い 追いかけて
....
段違い平行棒と
サーカスの空中ブランコが
一瞬にして 重なる
ふわり 浮き上がる様は
真夏の 人魚
いつもは 飛沫が お友達
たまに 渋木を 恋人にして
日々 励むの
い ....
簡単に見えたものがどんどんそうでなくなるの
呼吸を整えてもまた喉がつまって
秋の風吹くひまわり畑の中で
あの日のサンダルでできた靴擦れをこじらせてる
夏を秋を冬を春を
もう何度も知っ ....
しゃけたらこ おにぎりばくだん投下するシンジゲートの朝は忙し
しみじみと昔の恋がよみがえるように便座に熱戻る朝
カシミアはさぞ美味しかろうよ 虫食いの穴に悪態を吐く
秋空の雲の流れる ....
何かを始めるのに
手遅れなどということはない
始めた時が
始まりのとき
手を伸ばした時が取り返すチャンス
足を踏み出した時が
新しいスタート
空を仰いで
深呼吸した時が
誕生 ....
いちじくは
花を 外に 開かない
いちじくは
内側に無数の花をつけ
やわはだの秘密を 隠し持つ
ある日
たったひとつの いちじくの実に
たった一匹の 蜂が来た
....
あなたの居ない世界で
必死に 生きようと していた
昔 考えた 真っ赤な嘘は
キャベツの中に 隠されて
戸惑うばかりの 散歩道
暗く 儚く はしたない
切れ端ばかりを 集めて
一 ....
金色のにおいは6月の
花嫁御寮のかんざしで
紅いにおいは8月の
海がかくした桜貝
淡いはかない香りは10月の
踊るガボットの薄茶色
揺れてかすれて散り落ちる
北風のひとすじのままにさ ....
こんな寒い冬の日には
錆びかけた薬缶に水をいれて
ストーブのうえに置いておこう
けさ、空気はするどく冷たく尖っていた
鳥の声はぴんと張られた針金のようだ ....
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