あの街についたら
私は歩くでしょう
確かめるために
間違いなくそこにいた
影というかげを集めて

空がまぶしすぎると
鳥は切り絵になります
川面はしわくちゃにしたホイルみたい
いいか ....
海から流れてくる雲を
ぼんやりとながめていると
失われた呪文を思い出します
焼き締めた土人形を
たたき割るときに
病んだひとの名を呟く
あの、呪文

  鳥取の冬空は
  ほんとうの ....
さかなの星空はいつも
境界線でゆらめくのです
星空を落ち葉がよこぎり
岸辺のすすきも
月明かりに
にじみながら手を振って

失ってしまったときに
ひとはさかなになる
月だってゆら ....
雨滝に続く道は
聖堂のように光がそそいでいます
昼下がり、ステンドグラスの森が
橋に季節の色を映して
敷き詰められた落葉の絨毯は
通り雨の跡のように
濡れていてるのです
長い階段を下りて ....
空を殺した鉛色が
凍える水面を
錆びた銅鏡に

そんな遅い朝
鳥たちは巡礼に訪れ
しきりに頭を下げる
もう幾度も焦がれては
言い出せずのどを鳴らし
奥歯をかみしめる

本当に辛い ....
(暗い、くらいと
 ペットボトルを噛みつぶす響き)

クリック感の強い部分を
組み合わせて伝えようとする
瞬く、赤い
待機電灯の暗がりで
水槽のような
窓に浮かび上がるのは
存在 ....
町田はタマネギだ
幼稚園の年少組だった私は
引っ越す前日になって
狭い庭の片隅に
茎を伸ばしはじめて食べ損ねた
タマネギを埋めたから

改札を抜けると
思い出の場所など
思い出せもし ....
シャッターが切り取るわけではない
それは露光時間を決めているだけで
まぶたのように拒否するのだ
ファインダーが見つめるのではない
いくつかの屈折率を経て
まなざしの限界を教えてくれるのだ ....
呼吸を確かめるように
胸の一番奥から
茶柱を吹くように
耳元にささやくように

わたしの呼気は
シャボン玉のように
きらきらふわふわと舞って
パチンと消えてしまう
不慣れなかたち ....
月を遠ざけるものを捜して
迷い込んだ森

薄紙で封印された
わたしを引き裂いて
生まれてくるものがある
皮膚がわたしを押さえつけていた
だから、だ

破りとられて流し続ける
温かい ....
  境界線の向こう
  息苦しさで
  誰かのため息のための感想文
  見知らぬ町の役場に
  送りつける

  名前も知らない
  臨時職員か派遣職員が
  まじめに職員に相談す ....
散歩の途中で犬が逃げた
工事車両の大きな音に
驚いて走っていった

奴はリードを付けたまま
なのに
公園の草むらで
見失う

さがす、捜し回る
いつもの散歩道
立ち寄る電信柱
 ....
携帯電話を右手に持って
駅に向かってる

携帯電話をズボンの左ポケットに入れて
噴水の横で待っている

ストラップを短く持って
くるくる回してみたりする
居心地が悪いね今日は
ど ....
蝉のように
最後の一週間で
羽化してみたい

  飛べるだろうか

そんなことより
左手と右手の違いについて
考えている
ついでに右目と左目について
も、ちょこっと
やはり
 ....
今夜の月は
半分しかないのに
風力発電の三枚羽根に
砕かれている
居場所がなくて
ぐるぐると、さまようものも
照らし出されれば美しいのだろう
今日も祈っている

風車越しに月を掴もう ....
いつでもそうだなと
思うときに熱くなる胸の芯を掘り出す
それはいつも白くて冷たい指で
見知らぬリングをはめている

掘り出されたものを
届ける先を知らないので結局
夜の繁華街
閉店 ....
 歴史というものを軽視する人を見分けるには中米の話をすればすぐに判別できます。「メキシコのピラミッドって見てみたいよね〜。」とか話題を振ったときに「古代マヤのピラミッドっていいよね〜」みたいな反応が返 .... 雨の温度が秋であれば
降りしきる時が吹かせる
あの風が好きだ

小雨であれば
プリントアウトした君からのメールを
焚き火にくべよう。

消去するときは軽々しい一瞬だったけど
剥がして ....
異次元というもの
そこへの入り口があると信じて
目をこらせば手がかりが見える

透明で美しいレンズで分光されるまぶしい輪郭も
普通じゃない異常分散というレンズで結像する
ありのままを知るた ....
 
理性・抑制・常識とか教義とか正義とか悪とかという枠は社会にとっては必要なものだが個人の感性の拡大にとっては邪魔以外の何者でもない。それも仕方のないことだろうとは思う。個人の感性の無制限な拡大は ....
砂に埋もれ
沈みそうに生きて
手の届く範囲の幸せを
ただただ全うする
あたりまえに生きることが

どうして
美しくないと
思っていたのだろう

  みんなの中に居るか
  「だれ ....
  かなしくてもしあわせでも
  かぜはいつかあめになってしまう

僕の知らないところでも
発電風車をすり抜け
ロウソク工場の煙をながし
ビルの隙間で口笛を響かせ
千切れた段ボールを蹴飛 ....
鏡で色を盗むと
空は気圏のように薄らいでいく
ひかりだけで染められたセロファン
退色した虹がいろどる夜
沈黙ではない静かな
月光の耳鳴り

声は聞こえるものだろうか
それとも伝えるもの ....
波打ち際に作られた砂山
いつかのあなたのよう

私の胸の潮騒
いつしか海にかえって
公園で蝉の骸を踏む乾いた音に
夏の日差しが醒めていきます

夏は生まれゆく季節ではなくて
燃え尽きていく黄昏だから
皮膚の下を流れるもののような色で
手の届かない場所へ
沈んでいくのです ....
ゆるやかな緑の山稜から
墜落した日差しに
めまいがする
真昼の木陰はさらに黒くて
鳥たちも飛ばない季節風
私の見えないところにも
染みこんでいく

切り絵の空に逆光のきみが
遠く ....
本当はあなたが生まれたときに
おめでとうと言いたかった
私の知らないあなたの時間に
こんなにも嫉妬しながら

また季節を一巡りして
出会えた感謝を伝えたい
公園のブランコの影がのびて
 ....
行き先も知らない船から
紙テープを投げて
わたしは今日、生まれよう
別れを告げるために投げるのではなく
離れるために切れるのでもない
風に大きなループを描き
旅立つために

    ....
歯ぎしりをしながら
指先に体重を預ける
命綱もつけずに
会いに行く、クライム

すこし、愛することのよう
好きとかって感情じゃなく
歯ぎしりをしながら
名前も呼ばずに

後悔しない ....
太陽だけが焼く砂丘に
裸足で踏みいる
私という存在に影は現れたが
大きな耳の黒い犬が居た海の家は
まだない

   深雪に分け入るようだ
   試みの生はなく
   試みの死もないので ....
たりぽん(大理 奔)(550)
タイトル カテゴリ Point 日付
あの街についたら自由詩6*08/11/26 1:17
土偶自由詩8*08/11/20 0:14
さかなのよる[group]自由詩32*08/11/15 23:29
橋、滝に続く小径で自由詩7*08/11/13 0:33
巡礼、訊ねることもなく自由詩208/11/6 0:35
いらだつ祝日の、自由詩608/11/4 1:07
駅・町田[group]自由詩6*08/10/31 0:17
視線、と誰かが言った自由詩408/10/30 1:38
はじける、そらから自由詩508/10/26 17:35
あわせかがみ自由詩22+*08/10/19 0:34
脅迫自由詩1*08/10/17 0:58
犬が走って自由詩508/10/12 23:26
まちあわせ自由詩608/10/12 1:05
うつしみ自由詩808/10/3 0:25
胸の前で祈るように携帯を自由詩22*08/9/27 23:39
月を縛る、朝が来ないように自由詩308/9/26 0:57
マヤは古代じゃないんだよ!散文(批評 ...4*08/9/24 1:00
眠りたい、雨の日は自由詩17*08/9/21 1:04
蛍石の望遠鏡[group]自由詩308/9/19 0:34
詩を書く人のすべてが詩人じゃなくていい散文(批評 ...12*08/9/13 21:10
よわき星雲への自由詩18*08/9/7 0:48
僕は世界に旗を掲げる自由詩9*08/9/1 0:38
ろうそくのための自由詩808/8/24 23:33
胸に打ち寄せる携帯写真+ ...808/8/19 12:21
季節は生まれたりしないのに自由詩9*08/8/17 1:39
残照、とりのこされて自由詩708/8/13 20:39
「日時計」と、ささやく自由詩5*08/8/6 1:16
冬の港で生まれた自由詩24*08/7/18 21:08
クライム自由詩408/7/14 23:48
波と黒の犬自由詩608/7/14 8:23

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