庭の柿の木は ざらりとしたぬくい腕で
小さなころからずっと わたしを抱きしめてくれました

おばあちゃんがわたしを
だっこもおんぶもできなくなったころから
わたしはランドセルを放り出して
 ....
幸せになって
たいせつなお友だち

惜しみなくきれいなおいしい
飴をくちづけたい
そんなものまだ
わたしのなかに壊れきらず
のこっているならば

幸せとはなんだろうね
つらつらして ....
しかめっつらしてないでさ
むりやりにもわらないでさ

ぽかんと空をみようよ
窓がよごれていて
みがきたくなるかも

ふしぎだね
むかしもいまもこのさきも
どこかではかならず
ひとと ....
わたしのお父さんには ふたつ 顔があります

男と同じだけ働いて 子どもを産んで 社会活動をしなさい
というお父さんの顔は真っ暗闇に覆われて
そばにいるのに目を細めていくら探しても
なんにも ....
いつか完成するだろうか
あばらの中のいくつかの空洞は
満たされて、微笑んで眠るだろうか

脂肪に埋もれる柔和な女になれるだろうか
昔は違ったのよ
と笑って言うことができるだろうか

抱 ....
ブルーハワイ色のかき氷のした
何万匹もの魚がゆらぐ
あたたかい南の海を
口に溶かす

いちご れもん めろん は
なんとなく うそ
ブルーハワイだけがほんとのつくりもの
いっとう すき ....
人は反射する鏡なのです

だれかをよわいと思うとき
わたしがよわいのです

だから感じることをやめなければならない
わけではない
人はほんとうには
神器そのままではありえないから

 ....
いつか死の床で吹く風は、さらさらとして
すべての記憶をさらうでしょう
むせびないたかなしみは
いずれ天にのぼって雲になり雨とふる

信じているうちは遠ざかるものは
なにもおもわなくなるとき ....
 Jと別れてあたらしい生活が始まっていたのだけれど、車の世界の帰りだというJがこの家へたずねてきた。
 ただあたらしい生活と言っても、螺旋階段を一周して、すこし昔に帰っただけのような気がする。奇妙な ....
庭でとれた夏蜜柑
刃元で厚い皮に線を引く
ふくいく

薄皮はぐと
黄王がぎっしり

時間の結晶をたべる

からだに飾れなくても
どこにでもきれいな宝石がある

スーパーの帰り
 ....
笑っているうちに
削られ 壊れて
きっと愛とはそういうものなのね

なぜ なぜ なぜ
がらんを抱えて
胸の穴 大きすぎる

喉の乾いた砂漠

たくさんの風がわたしを通り抜けた
雨 ....
朝は胸元を掻きあわせる、ひとりぼっちでうす水色の空のしたあるいている、しゃべることのできない胸のうちにぶらさがるのはサナギ、だまって羽化する日をまっている。夕暮れがきた、ほれ、いくつめだろうか、折って .... ある日ふとおかあさんとおとうさんに
問わずにはいられなかった

「戦争ってそんなに悪いことなの?」
「当たり前のことも分からないなんて、そんな教育をした覚えはありません!」
「僕たちが平和の ....
 赤黒い熱い塊が喉のおくでガラガラガラ音を立てている。からまってまるまった舌で窒息しそうだ。舌が体に飲み込まれようとしている私は、必死で舌をン、と指でつまんでまっすぐにしてよだれが垂れる。幾千幾万どこ .... 応接間のおおきなガラス窓が雨ににじむ
雨ごしの庭って
おとうさんの画集にあった
モネのすいれんみたいできれい
ドガのおどりこはなんだかこわい

おかあさんは砂糖は骨がとけるという
おばあ ....
ちいさな公園で
ブランコをこいでいる
あれはともだち

ほうりだされたカバン
あそびすり切れたクツ

おりおりのかわいい花
うつりかわる葉のいろ
近くなる遠くなる空
すりむいて熱い ....
たましいが
夜に錆びたぶらんこのように鳴っている

どこへいったの ねぇ わたしの半身たち
あざの浮かんだ あなた
詩を書くのがじょうずだった あなた

半身がふたり 抜け落ちた わたし ....
月の町には丸い月のしずかなあかりが射していて、住むのは齢三十をこえた少女ばかりだ。

つねに満月夜、手入れのゆきとどかぬぼろぼろの町並み、つかずはなれずに点在する住居は、彼女たちのそれぞれのこだわ ....
あなたはわたしのなかにいる

あなたの肌にはその日になると
青や緑の痣が浮かぶのだと
教えてくれた

うごかない左腕で
必死に笑ってた
じっと見つめるとちからのぬけた顔になった
それ ....
飲み込んだ言葉が
胸にわだかまりの
どろりとした沼を作る

沼の中で
人に見捨てられ大きくなった亀が
悠々と泳いでいる
よく見ると
子どもを食ってふくれた金魚の尾が
ひらりひらり
 ....
きのうつぼみだったあの子が
今日はもう咲いているね
満開になって
散ってゆくね

みおくるかなしさで
こわれてしまわないよう
みんなで別れをおしんでいる
はなやかなお葬式

淡いピ ....
その坂は四季をつうじてみどりにうねっている。
脇のブロックには苔や羊歯がびっしりとはえていて、上にはつねに葉がそよいでいる。
春夏にはきみどりが目にしみて鳥がさえずり、通る風はすっきり澄みきってい ....
あなたは針で
わたしを刺していった
はたちきっかりでいったあなたの
のこしたことば
いくど読み返したことだろう

「あなたにわたしを息づかせるよ」

あなたを愛で殺してしまっただれか
 ....
雪の冷たさの青の空
桜のつぼみに咲くなとわめいてる
私を殺していたあのころ

なんで

好きな人は働かなかった 家事もしなかった 絵だけ描いてた
絵は息をのむようなやさしさだったのに
 ....
冬のあいだは閉じていた即売所に
春の野菜が並ぶのをみにいった

空に白い梅の花が
燃え上がるように咲いている

ハンチング帽をかぶった老人が杖をつきながら
老犬とゆったりと歩いていた
 ....
いつのまにか名前を忘れていて
出席番号だけになった

常緑樹はかわらなくて
花のにおいはかけている
校舎と門
息をするのがむずかしいような
薄い空だけ

水に飽和して粘液のような砂糖 ....
わたしが家事をしながら
ことばをちょこちょこ書いてるあいだ

きみは
外でるんるんはたらいて
手作りべんとうがつがつ食べる
うちに帰ればむしゃむしゃゴハン
つーんと薄荷のお風呂に入り
 ....
あなたのお城
まるでおとぎ話

とうちゃんはどぶ板通りのかんばんや
かあちゃんはモモエちゃんも結ったパーマやさん
赤と青と白のぐるぐる
さび付いて止まっている

懐かしさに沁みて泣き腫 ....
きみが
ふるさとを
いとしく呼ぶ

あいづ と

づ、にアクセントをおいて

うかうか
夜行バスで
きてしまった
きみが歩いた町を
見たくなってさ

雪の白と温泉の湯気
 ....
膨らんできた
はくもくれんの
銀にひかる繭のような葉

わたしのはらのなかで
懐かしい男と猫とあのうちは
ことばをうけて赤ん坊になり
ホトホト
うみ落とされてゆく

ていねいにガム ....
田中修子(180)
タイトル カテゴリ Point 日付
庭のおかあさん自由詩12*17/9/11 13:42
自由詩12*17/8/25 9:38
夏の窓自由詩6*17/8/10 0:42
黒いぐちゃぐちゃ爆弾自由詩9*17/8/5 17:23
女のすてきなあばら骨自由詩16*17/7/25 0:10
南の島の夕暮れの味自由詩10*17/7/18 2:46
曇る鏡自由詩9*17/6/28 21:03
さいごはしとしとと雨自由詩8*17/6/14 21:41
夢夜、三 「孔雀いろの鍵」散文(批評 ...2*17/6/11 18:24
なつみかんとおとな自由詩10*17/6/8 2:00
風紋自由詩217/6/4 17:16
ばらばら自由詩8*17/5/27 21:34
戦争自由詩9*17/5/24 21:34
首吊りの森散文(批評 ...3*17/5/19 21:22
子どもの澄んでる、のぞいてる自由詩7*17/5/12 7:20
さよならブランコ自由詩13*17/5/1 21:20
泣く鬼自由詩7*17/4/28 0:29
月の町 お題、即興ゴルゴンダ(仮)より散文(批評 ...3*17/4/23 20:38
おかあさんの音自由詩8*17/4/18 23:40
みどりの沼にひそむ自由詩13*17/4/14 0:53
桜の死んでいくとき自由詩6*17/4/11 0:30
へび坂散文(批評 ...8*17/4/11 0:10
花の針自由詩1017/4/4 22:43
なんで自由詩11*17/3/29 20:11
人と犬は枝と花自由詩10*17/3/23 1:40
まなびや自由詩8*17/3/16 1:11
くりかえしくりかえそ自由詩11*17/3/7 15:51
赤と青と白のぐるぐる自由詩5*17/2/25 22:42
インディアン・サマー自由詩21*17/2/17 21:25
帽子のほころびるとき自由詩16*17/2/8 22:55

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