きみがまだ制服だった頃
わたしも同じく包まれる身で
あの毎日が示した未来は
いまも変わらず
ふしぎな熱です


 肩掛けかばんは
 いちりんの花

 種という名に奔放に
 ....
潔いさよならを
口づけられて
風は目覚める
おびえたように
冷たく急ぎ
風は目覚める

それを
避けるでもなく
受け入れるでもなく
花は巧みに散ってゆく
孤独の定義を
 ....
虹は
見つかることで
虹になるから

虹かもしれないね
僕たちこそが
あの虹の


おもいでの
半分くらいを
間違わずに済ませたら
上出来だとおもう

ごらん
途 ....
胸は
すぐに
いっぱいになります
それゆえわたしは
多くを連れて
行けません


あなたを
はじめて呼んだ日に
こころの底から呼んだ日に
海は向こうになりました

永 ....
過保護な獣は病みやすく
保護なき獣は
{ルビ傷=いた}みやすい

野に{ルビ棲=す}む者よ
たがいの{ルビ荒=すさ}びが
見えないか


涼しさ寒さは紙一重
闇夜も夢も
紙一重
 ....
きみの
笑顔の理由を
そっと教えてくれないか

ぼくらはそれを
上手に広げてゆける
知らないうちに
新しくする


ささいな物を
拾い集めてゆくことが
ぼくらを作り
 ....
だまされることばかり
気にかけて
誰かを
だますことには
疎いものです

それなりに
気に病むのだと
難しい顔を見せるのも
大人のたしなみです
使いこなすべき
道具です
 ....
水面はしずかに
うそをつく

その
うちがわに包む
かすかな声を
時間の
呼吸

ひとに
こころに
えがかせて
完全なる傍観者として
何ひとつ
あばかれない

 ....
どのページが
めくられたのか

あまりに細い指先は
忙しさの数だけ
忘れてしまう

それがつまりは
ふたりであることの
やさしさを
難しく
する

純粋であるほど
不確かに ....
なんとなく
わかっていたけれど

夕風は
すっかり
つめたくて
昼間の陽光も
どこかしら寂しげで

緩やかに
届かぬ夏を
受けとめる頃合です


おろそかに出来るくらいなら ....
泥を
振り払おうとする腕こそが
いつまでも拭えない
泥かもしれない

確かめようの無いその有様を
透明である、とは
誰も語らない

そこでまた
ひとつの泥の
可能性が
散る ....
正しい人は
どこにもいないけれど
正しさを求める人は
たくさんいるね

むずかしい顔はやめにして
軽く、
答のようなものを
肩に乗せてみるのは
どうだろう


きみの知 ....
そこは空かと問うたなら
鳥はきれいに黙して
はばたく

そのたび言葉は
空から遠いわたしの胸を
いやしの為に
傷つける


 幻はまだ
 あこがれとしての痛み

 選 ....
器の
壊し方を知っている
けれどもわたしは
外側にいない

器の
壊れ方をおぼえている
けれどもあなたは
内側にいない


 朝と呼ばれるものや
 愛と呼ばれるもの
 ....
雨のなかに
すむさかなを
優しいひとくちでは
描けない
まだ


飲み干したはずの
模様がいつまでも海、で
花びらに
ふるえる風の光と影
それはもう
はるかに見失うよう ....
ひなになれない
わたしは

せめてもの抵抗として
日々を生まれ続け
翼はとうに
ぼろぼろ


飛べたためしなど無い
それなのに頑として
語り継ぐことを
断ち切らない


 ....
昔、
暗やみがまだ
鏡の名前を持っていた頃は
安堵という美しさが
ありました

魔性は
ていねいに拒んでいたのです
だれかの
定義の外側を
上手に棲んでいたのです


 ....
不可思議と呼び捨てるにはまだ早い
猫の目うるる、美しいよる


いくすじも星をえがいてよるが降る
ふたつ並んで揺られあう尾に



滅びても興り続けた王国をたどり違える満月の ....
雨とよばれる
雨とはちがうそれを
よける隙間も
したう境界線も
本能のなす
川かも知れない



浴びていることを
浴びせてしまうような
無知なる無知の
さらなる先 ....
綿毛に乗せた
ことばの行方を
わたしは知らない

それは
さほど深刻ではない心当たりで
暖かすぎる夏の日に
ときどきそっと
距離を置く


まっ白な
姿かたちは
どこ ....
手のなかに
ことばを握ることがあったね

あるはずもない質量に
身を任せてしまうことが
あったよね


どんなこころ模様にも
ときは流れてゆくものだから
いつか
わた ....
呼吸するすべなど誰も教わらない駆け出す夏はどこまでも海


鍵盤を戸惑うような告白が胸をすみかに未来へ渡る


横顔にかける祈りもつかのまに夢から夢へ原理をつなぐ


 ....
つきを
見上げるための、その装置を
湖底にそっと、
眠らせて

ノスタルジアが、いま、
宝石に
なる、



 王冠は
 燃え盛ろうとする、あの
 いつわりの技巧
 ....
通り雨を
息継ぎしながら
ぼくたちは急いでいた

離れることを
急いでいた


 手のなかの熱は
 次から次へ
 一秒後

 つよくなろう、と
 {ルビ翳=かげ}りをひそ ....
 かがやいてしまう星の名を、
 つなぎ留めたかった
 防波堤



かなえたものは

夜を、
彩ることの、
つづけざまの果て、

失うはずなど無いというのに
のが ....
たのしそうに語る
あなたの足跡を
みつけた

わたしの庭には
しばらく無い、
かげ


不本意ならば
どうぞ消し去りなさい

あなたの好きな場所を
汚すつもりなど無い
 ....
祝福のことばには
飾りたがりの
性分があり

僕はまだ
あこがれの盛り


 あなたの階段が
 あたらしくなった日も

 僕は
 初夏の匂いだっただろう

 あいも ....
みつけたかった、のに
上手くはいかなくて

でも、
たまたまの風が
心地よかったりするもので

選ぶことのたやすさは
果てないそらを
みずいろに
ひろがる


しあわ ....
揺れる、
ということを
幾度も揺れながら

風景は、
まったくとおい
わたしで
あった


えがかれてゆく、海

まっ白なのに
それはもう
古いかげ

波 ....
剣、と
よぶのを避けたくて
声はひとつの
武装と知った

ちいさな胸を
軋ませてゆく重みが
町だとするならば
すべての指が
ともされる


祈りのなかを風は、
振り返 ....
千波 一也(758)
タイトル カテゴリ Point 日付
制服だった頃[group]自由詩10*07/10/23 10:21
置き手紙自由詩8*07/10/22 11:51
虹つかい[group]自由詩10*07/10/22 11:34
肺呼吸[group]自由詩27+*07/10/10 8:11
野に棲む者自由詩8*07/10/10 8:09
小粒な実自由詩6*07/10/4 18:20
流行最前線自由詩9*07/9/27 8:02
運河自由詩5*07/9/27 8:01
八月の教科書[group]自由詩5*07/9/24 11:34
なごりの九月[group]自由詩8*07/9/24 8:48
透いてゆく自由詩22*07/9/11 13:20
ライト、ライト、ライト、自由詩6*07/9/4 17:02
届かない空に自由詩18*07/9/1 17:25
呼ばれている自由詩36*07/8/30 11:11
夏しずく自由詩12*07/8/10 8:52
よごれもの自由詩13*07/8/8 8:56
鏡という王国自由詩10*07/8/3 8:20
◆美しいよる[group]短歌17*07/8/1 8:56
はじまり自由詩13*07/7/27 8:46
綿毛自由詩14*07/7/20 8:05
重みを確かめては来なかった自由詩14*07/7/18 19:29
◆もぎたての夏[group]短歌10*07/7/18 8:08
シークレットブルー[group]自由詩18*07/7/13 19:38
飴細工[group]自由詩21*07/7/11 12:07
涙腺[group]自由詩16*07/7/5 12:45
陰影未詩・独白11*07/7/3 12:12
未完成[group]自由詩14*07/7/1 16:22
少年世界自由詩8*07/6/30 18:37
波間の住人自由詩13*07/6/29 19:58
ネックレス自由詩11*07/6/27 9:48

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