蘭州を出発してからもう2日も経つが
鉄路は大きな曲線をいくつか描いて
岩の転がる砂地と、とうめいな蒼色の空
それだけの風景はいっこうに変わる気配がなく
ホウロウのカップで
開水に粉コーヒーを ....
修験者じゃない私は
望遠鏡ごしに
視線を投げ入れる


遠い異国の景色のようだ
海が見える草っぱらで
どーんとひっくり返って
雲に手を伸ばす

生きているんだなって、思うんだけど
その正体がわからない
漫然と心臓を動かしたり、理念を唱えたり
そんなことじゃないみたい ....
アルバイト帰りの夜
いつもこのホームで
手を振って分かれた

僕は石切まで準急で
君は高安行きの各駅に乗り換えて

左右に分かれてカーブへ向かう
君の各駅停車が傾きながら夜景に溶けて
 ....
僕の部屋からは
プラットホームが見下ろせる

知らない人ばかり詰め込んだ準急を
この窓からいつも見送る

ここは始発駅だ
短い旅程の百度参りを
飽きることなく繰り返す
乗車率427% ....
涙がつたっていた
朝のことだ
見ていたのか
夢を

(思い出せない)

遠くから鈴の音
昨晩のことだ
届いたのか
手紙が

(治らない)

涙がつたっていた
朝の風が
 ....
窓のむこうに
降るのは
あかるい雨
夏の日差し
真っ白な雪

網膜の向こうで
立ちつくし暗転する
背中の音

いつも風景に
変移を求めていた。
わたしが変わっていく事になど
 ....
かざぐるま
自分では回れない
竹とんぼ
自分では翔べない

( 風を起こし風にまわる )

風鈴
自分では歌えない
三日月
自分では輝けない


夏の終わりを待ちこがれ
飛 ....
陽に焼けた黄土色の文庫本を開くと
なつかしいあなたの横顔が
鉛筆で、薄く描かれてていた

添えられた文字は
照れくさくって読むことは出来なかったが
横顔はまったく記憶の通り



 ....
鳴き終わったわけじゃない

力尽きたわけじゃない

(季節が移っていくだけだ)
望遠鏡で
反転する
数え切れない銀河と星たち

僕は「無限」と詠んだが
ほんとうは遙かに及ばないのよと
君は流れ星だって数えたりしない

  夜空に両手を広げて
  星を切り取る
 ....
捨てても
突き放しても
打ち寄せる時が
押し戻す





もう逃げるな
星の照らす薄明かりをたよりに
君の存在を曲線でみつめる

ぬくもりは確かにそこにあって
通い合うものもあると信じられるのに
息遣いも、髪のほどける微風も
すぐ隣にあると、心が証明しているの ....
皮膚が邪魔だ
熱だけが祭りのようで
街灯までが青白く貫く

ああ、皮膚が邪魔だ
この世界と私を
容赦なく隔てる

この外套を捨て去ってしまえば
多少は見苦しい液体を
ばら蒔くかも知 ....
適当に掘られているようなトレンチ
きちんと測量されて
合理的な設定なのだと
発掘で変な日焼けあとのついた
汚いヘルメットの学芸員

掘り出された破片は
プラスティックのコンテナで研究所に ....
【カントウタンポポ(Taraxacum platycarpum Dahlst.)】

タンポポという名前はどこから来たのでしょう?

漢名の「蒲公英」の別名に「孛々丁菜」というのがあって、それ ....
驟雨だ

突然、空が明滅し
絞らないままの雑巾が
今の私

打たれてはじめて
体温に気付く
人間はそんな生き物

百貨店に駆け込み
ぬくもりを求めても
空気圧縮機がはき出す冷気 ....
黄昏が
輪郭を奪い

ネオンが灯りだした
町並みの真上

薄雲に隠れ
ほのかに
きょうの月

ああ
そうか

僕は君の
輝きばかりを追い求めて
ついにその形を
知ること ....
花が散ってしまっても
桜土手通りは
桜土手通りだ

なぜかって
それは
秘密さ
君は
占いに出てくる星座しか
知らないというのに
アルタイルとヴェガには
とても詳しくて
毎年、同じ物語を
飽きもせずにロマンチックだという

私は
二星間、14.428光年を
冒 ....
港を背に
路地を抜けると
山の中腹に向かって
道は登っていく
海からの
北風を受けて
枯れかけた草むら
そこにあなたの
標がある

数えるのはもうやめた
齢だけじゃない
なにも ....
梅雨の夜風に混じり込む体臭の湿気
雲にまいた砂混じりの渇いたため息
無気力にぽっかりあいた満月の
光子すらはらんで
みな本当の風を知らない

それらをすっかり失われた
古代の技術で精製し ....
好きだったのは
こうして静かに
時計の鼓動を聞きながら
ふたり黙ったまま
くるはずのない奇跡を
じっと待つ時間

それは永遠
無限に続く鍵盤のようだった

あなたがいなくなっても
 ....
手をつないで
蛍を見に行ったのだけど

あまりにも きみどりの光が舞うから
僕は天地を失いそうになって

繋いだ手を
ぎゅっと握ったのです

そうすると
君もぎゅっと握ってきたので ....
無邪気に咲きまくる
咲きまくる無邪気
なにもかんがえなくても
心臓が打つように
こうしてすごすのが
あたりまえになっていた

息を吸えとか、酵素を出せとか
痛点からの刺激に反応しろとか
具体的に生きなくったって
生きてゆけ ....
月が見ている
わたしの行方
今日、両親から荷物が届いた

シャケは辛塩で、焼くと真っ白になる
タラコは無着色で、見た目はマズそう

これら北海名物を口に運びながら
函館山に打ち寄せる
海峡の早潮が岩に砕けた白濁の泡 ....
「ご」が不要 海に架かる
一番長い橋に向かう電車
無人駅で降りると
星空に冷やされた風が肩をすり抜ける

頬がほてってくるようで
駅からずいぶん遠くまで歩いた
通学路を思い出す

一度だけ手を繋い ....
たりぽん(大理 奔)(550)
タイトル カテゴリ Point 日付
ひめりんごたちへ自由詩9*05/8/14 1:04
投入堂携帯写真+ ...9*05/8/13 15:30
遺跡の恋人自由詩905/8/13 9:31
駅:布施[group]自由詩7*05/8/13 0:08
駅:上本町[group]自由詩9*05/8/12 23:58
傷という祭り自由詩8*05/8/10 21:42
きんぎょ自由詩705/8/7 21:05
夏の喪失自由詩305/8/5 0:21
落書きのある文庫本自由詩405/8/3 23:29
なつ ついらく携帯写真+ ...8*05/8/3 18:51
銀河相克[group]自由詩405/7/30 23:51
携帯写真+ ...8*05/7/27 15:36
夜想原[group]自由詩6*05/7/26 21:08
この皮膚がなければ[group]自由詩14*05/7/23 22:13
桜・平城宮跡自由詩5*05/7/21 22:50
たんぽぽ考[group]散文(批評 ...7*05/7/17 23:15
雨粒のハインゼンベルグ自由詩6*05/7/15 21:35
黄昏が奪った月夜自由詩1405/7/14 20:43
季節携帯写真+ ...3*05/7/14 19:36
光年の彼方[group]自由詩6*05/7/7 0:27
連絡船・函館未詩・独白3*05/7/3 23:25
風に揺れる枝が言葉ならば自由詩705/6/29 1:32
ピアノがなる自由詩705/6/19 0:24
ほたる・樗谿(おおちだに)[group]自由詩11*05/6/13 23:32
梅雨入り前[group]携帯写真+ ...705/6/10 22:03
いろだけになる自由詩505/6/6 23:59
かえりみち[group]携帯写真+ ...405/5/23 20:12
小包み・函館山未詩・独白5*04/12/12 0:51
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朝もや・信貴山[group]未詩・独白704/12/6 23:09

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