説明 解説 言い訳
どれも要らないと云った
ただそのままで
あなたは惹きつける


男が女を始めて見たように
女が蛇を始めて見たように
たぶん
美しくて奇妙
エロチックで恐ろしい
 ....
{ルビ理由=わけ}もなくかなしい時がある
理由はあっても 不明なのだ

本当は 
居場所の見当はついている

古い古い付き合いの 理由を
引っ張って来て 座らせて

またも千日手を繰 ....
――切り刻む
思惑/意図/動機//詩情/詩法?/詩論??//詰め込んだもの//
読み漁ったもの/捻り出したもの/スケスケのもの//
レゴ並みの理論武装/生まれや育ち/時代精神/文化/思想/神学/ ....
ギター
雨をはじいて飛ぶ鳥のように
空気を震わせて濁らない
濡れた枝先の微かな光
抜糸された瞳へ飛び降りる
孵しそこねた夢の欠片から
うなじのほくろふたつ
振り向くことのない永遠が
月 ....
恨み つらみ ひがみ 妬み
   ――鏡――

強み 弱み 夢見 悩み
   ――鏡――

痛み 睨み よそ見…クシャミ!
   ――鏡――

女神 萎み たるみ くすみ
   ― ....
曖昧な態度のままで察し合うのが自然
と言葉で明示することもなく
顔や声音
目線や肢体の所作で流動的に日常をやり過ごすこと
に疲れもせずあなた烏賊のよう
嫌い
大嫌い
烏賊は好きだけどあな ....
冬の光に抱かれて
こくり と 眠るように
夢の浅瀬を渡るように

用事はすっかり忘れ
身ひとつ
見知らぬ風景
懐かしい街を往くかのように

身を切る冷たさ
かじかむこころ魅かれるま ....
 もちいくつ?

{ルビ価値可知=カッチカチ}の表面が割れて
どろり中身があふれ盛り上がり膨らんで――

あといくつ餅を食べるのか
あといくつ正月を迎えるのか
一生分の餅をざっと数えて
 ....
      祈りと願いに摩耗した
己の偶像が神秘の面持ちを失くす頃
始めて冬の野へ迷い出た子猫は瞳を糸屑にして
柔らかくたわみながら落下する鳥を追った
薄く濁った空をゆっくりと
    螺旋 ....
捨てられた枕木の朽ちた裏側
温かく湿った光の無い世界で
無数のイキモノが暮らしていた
姿は見えないが互いの蠢く気配を感じながら

ある日ひとりのナメクジとひとりのミミズが行き当り
互いの粘 ....
朝早く
家族が眠っている間に雪かきをする
でないと外出も時間も困難になるから

白く美しい雪
儚く消える雪
だが降り過ぎるとまったく始末に負えない

気温が下がり切らないと雪は酷く重く ....
風が歌わない日にわたしたちは何を聴こうか
再生し続けることで乾く色彩の体温
その沈黙まで指先で縋るように諦めながら
待っているどちらでもないひとつの結末を


インプットしてきたものが違う ....
{引用=*吹雪}
また寝過ごした
慌ただしく時間を折りたたんで
結露の向こう 誰かが叩く
風のふりして泣いている



{引用=葉牡丹}
あまりに冷たい断り文句じゃないか
あまりに ....
あるテロリストが
 《ある勇敢な兵士が》

自爆テロで
 《ジハードで》

死んだ
 《殉教した》

無辜の人々を道ずれにし
 《異教徒や教えを捨てた者たちを倒し》

狂信者は ....
あなたを見るために
光を媒体にした
あなたを聴くために
空気を媒体にした


媒体なしにあなたを知りたくて
肌と肌を重ねてみた
そうして慰めを得ながら
無限の孤独を思い知る


 ....
雪は降る歌いながら雨よりも静かに

雪は新たなページをめくる
見慣れた場所へ胸いっぱいの息で踏み出すために

冬晴れの鋭さに青く影を曳いて
ぬくもりを一層 切ないほどに




 ....
アトリエに 違和もなく 海の 笑む {ルビ音=おと}
感傷の 気まぐれに 黒い蝶 化粧台で 殺し
逆らえない 四十万に 鈴の {ルビ急=せ}かし 空へ  
ただ 近く 月を 手に 取って
泣き ....
はだけたカーテンと窓硝子の向こう
隣家の庭木の枝先が刺さった風の震えの向こう
霞んでいる白い家の目印のような煙突の向こう
冬の樹々が黒々と海へ続く 黙々と――
その向こう
薄く濃く重なり合う ....
目は口ほどにものを食う
飽くことはあっても満腹はない

痛みは正気
うかれた幸福感よりも

滾る大義の使命感
その他のことはすべて些末事

抑圧と束縛の中で
自由の価値を想う(実際 ....
日差しは入り江を満たす穏やかな波のよう
ちいさな冬も丸くなった午後の和毛のぬくもりに
鉢植えの場所を移しながら
――古い音楽が悪ふざけ
週日開きっぱなしのトランクをむやみに閉め隅へ蹴る
―― ....
シュルレアリストの洒落たエア・リアルのレアなリズムで
 アリスのあられもない素足が水を蹴りあげる
  哀れなミズスマシは見た!

    静まる死の間際の未詩 
     冷たいリリシズム
 ....
舌先で像を結ばない
時代の陰りの不安漠然とした
――漏出か
灰に灰よりも濃く灰を溶き混ぜた
ような雲
 も 時折 
    裂 け
息苦しい断絶の青さ遠くかもめのように過る
無垢のまま ....
気忙しく男は高みから息を吹きかけた
後退りする光の中でいつまでも己の内を見つめ
色を失くして往く
女を見続けるのは正直もう嫌だった
白く
すべてを
終わりの先の始まりの
まだ始まる前の上 ....
さようならアメリカ
たぶんぼくはアメリカが好きだった
ジーンズが好きだった
コーラが好きだった
ポテトチップスも好きだった
さようならアメリカ
自由と平等と人種差別の国よ
民主的で覇権的 ....
ほそく
だけどまわりの庭木よりたかく
そよいでいる
白樺の梢の辺り
黄ばんだ葉の疎らな繁りにふと
青いまま
いくつか
乾きながら
さわさわと光にそよいだころの
面影を残し


 ....
ハトが二羽歩いている
なにもない場所で
なにか啄みながら
啄まずにはいられない
生きるために
地べたを歩きまわらずにいられない


うまく歩きまわるには
首をふり続けずにはいられない ....
あなたの微笑み
落ち葉を踏みしだく音のよう

深まるほどに
冷たくなって

高くポプラの梢を揺らす風
渡らなかった深くない川のせせらぎ

なにかが去って往く
色鮮やかな痛みを灯して ....
いつだっていまだって青い
地球は朝で昼で夜だ
なのに地表の隅っこで(あるいは真中で)
いまブルーライトに照らされぽつねんと
もの思いに耽っているわたしには律儀にも
朝昼夜は朝昼夜と巡り訪れる ....
 あかい傘ななめに濡れた路をながれ
 雨音のつめたさに背中を欹てながら
 遠景へ漕ぎ出して傍の違和をぼかす
 迷い鳩に差し伸べた手の仕草の嘘を
 街路樹の間から無言のまま見つめる
 おんなの ....
車の中のあなたは雨 避けがたくとりとめもなく

一つの今と一つの場所が移動する 相づちは質量を残さない

「モノローグ」そう題された つめたい彫像として心臓まで

こと切れたままのラジオ  ....
ただのみきや(988)
タイトル カテゴリ Point 日付
お気に入りの一編自由詩13*17/1/25 20:35
かなしい自由詩18*17/1/21 20:02
あると仮定して自由詩11*17/1/18 21:37
INSPIRE自由詩14*17/1/14 19:57
女神と鏡自由詩7*17/1/11 19:10
奥さんあなたが嫌いです自由詩11*17/1/7 19:28
ヌード自由詩13*17/1/4 21:48
餅いくつ自由詩8*17/1/1 18:52
冬という病自由詩21*16/12/31 21:13
ぬめぬめ自由詩5*16/12/28 19:35
たぶんクリスマス自由詩12*16/12/24 19:59
陽気な二人自由詩12*16/12/21 21:55
とある一日自由詩9*16/12/17 20:17
瞬く間に自由詩13*16/12/14 20:01
黒点自由詩17*16/12/10 17:22
雪は自由詩10*16/12/7 20:27
46×3自由詩13*16/12/3 19:38
遠く麗しく立つ自由詩9*16/11/30 18:31
苦い友自由詩4*16/11/26 21:06
鈍色の匙自由詩16*16/11/23 17:24
つめみずむし自由詩11*16/11/19 12:57
ある朝こぼれ自由詩14*16/11/16 21:17
めぐり 哀歌自由詩7*16/11/12 19:52
さよならアメリカ自由詩19*16/11/9 21:34
青いままで自由詩11*16/11/5 23:20
歩けや歩け自由詩14*16/11/2 21:01
センチメンタル自由詩7*16/10/29 20:46
地球的青さ自由詩18*16/10/26 22:43
芝居自由詩8*16/10/22 21:32
ダブルスライド自由詩15*16/10/19 20:50

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