夜、は
首筋からこぼれ落ちて
かすかに甘い蜜のにおいを
隠している

命令に逆らいたい鳥たちが
もうじきそれに気づくだろう

囲いはすでに
万全なのだ



風がかく ....
あまりにも
咲き過ぎているから、と
たんぽぽを抜く

紫いろの可愛い花や
可憐にしろい小花の群れは
そのままにして
たんぽぽを抜く


 たんぽぽは
 花、という肩書きを剥が ....
鎖につながれたまま
ぼくは海へと落とされた

からだが腐敗していくよりも
錆びついてしまうような、
そんな気配が恐ろしくて
頑なに
ぼくは目を見開いて
泳ぎ去る魚のひれなんかを ....
目をとじて
しずかにとじて
名前を思い出しなさい

あなたが
その目をあけたとき
そこにいてほしいひとの
名前を思い出しなさい

それが出来たら
独りぼっちはもう終わり
 ....
ありの行列は
時間の砂をせっせと運んでゆくような
そんな気がして、わたし
のどが渇きました

真っ白、とは言い難いミルクを
すっと飲み干せば
胸の時計は
狂いはじめます、やわらかに ....
やんわりと拒否されるのが心地よく
時々くじらと寝ています



穏やかな茶封筒みたいになりたくて
月夜にこもるふくろうの森



浴びるならクラゲの嘘が良いでしょう
色と ....
袖にはいつも
きまぐれさんが住んでいて
ときどき、すこし、
わたしに優しい


 雲のかなたに広がるものや
 星の向こうに輝くものを
 いつからかわたしは
 素直に待てなくな ....
アイスコーヒーのグラスから
氷の揺れる音がする

そんなとき
わたしは必ず
向こうを見ていて
身近なものの立てる響きに
微笑んでみる

なるべく優しく
微笑んでみる


 ....
しなやかな
金属みたいにまっすぐに
子どもは晴れを願います

てるてるぼうずは
それを
聞いたか
聞かぬか
わかりません

けれども確かにそこにいます
子どもが見上げるすぐそこに ....
もう、
なにものにも
負けませんように、
進んでいけますように、

雨あがりの空に
虹をみつけたら、わたし
いつの間にか呟いてた

誰に
言わされるでもなく
わたし、呟いてた ....
ぽちょん、と
金魚をかたどるように
あなたは時々
ことばを
誤る

けれど
あなたの誤りかたは
どう透かしても虹だから
わたしもいまでは
すっかり晴れ好き


風船みたい ....
わたしが覚えた涙のあまみは
傍らの辞書によれば
もろみ、と呼ぶそうで
カーテン越しの陽射しの匂いは
ときどき広くて
ときどき鋭い


いつか見た夢の数々が
今でもずっと夢なのは
 ....
その夕刻は
果てなく寂しい金色でした

誰か、
いや、何かに
からめとられたような拙さが
その時ばかりは輝いて
どんなに小さな約束ごとでも
あなたにやさしい髪飾りとなって
わたしは長 ....
まるで
夕立みたいな後悔のあとで
ぼくたちはまた
眠りへ向かう

汗と涙の共通点は
においのあるところで
においの流れ方だけがすこし違う
とても違う

虹がきれいに架かるとき
 ....
カラスアゲハの
遠慮がちな青みかたが
なんともいえず爽快だったから
ぼくは急いで
シャツを脱ぎ捨てた
もしかしたら肩甲骨あたりに
あるんじゃないかと思って
見落としてきた空への切 ....
固く
手と手を結び合って
地上へと落下していく
ダイビングみたいな
加速度で
八月は
僕らの肌を
隅の隅まで染みわたる

皮肉にも
僕らはさほど一途じゃないし
さほど薄情 ....
ひとは
潮の途中に
なにを聴くというのだろう

聴くという言葉は
はなはだ都合がよくて
かげかたちが整えば
それは素敵な
嘘になる

耳を聴く耳は
どこにあるだろうか
問う ....
忘れたいがための
白砂に

手は、
わたくしの手は
ひかりを持て余すことだけに
精いっぱいでした

乱反射、のもたらす
甘くも厳しい
まやかしを
上手なことばで
見送れなく ....
薔薇は
許されたかったのだろう

棘をまとって
なお、
許されたかったのだろう

それゆえ薔薇は
愛された

かつ、
おなじ分だけ
避けられた


薔薇には罪が
 ....
若葉はしらない
なんにも、しらない
ともすれば己が生きていることも
すっかり忘れて揺れている

瞳のあかるいひとや
髪の毛のうつくしいひとや
ことばに潤いの満ちるひとたちの
名 ....
日なたで
ろうそくを点しましょう

大丈夫、
それは遠目には
よくわからないから

わかるのは
あなたの顔の
おおよその向きだけ、
でも
そんなわずかな情報さえあれば
 ....
一斉に
咲け、と命令されたから
季節たちは
夢中になって
駆けぬける

ひかり、が
まぶしいものであるほかに
匂うものでもあることを
なんとなく均衡に
ふりまいて


 ....
{引用=



一、花占い


仕方がないので
この
頼りない
ゆびさきに
精いっぱいの呪文を
語るしかなくて
それでいて
そんな瞬間が
いとおしく思えて
ならなくて
 ....
まだまだ冷たい春風のなか
緑は空を探しはじめる

それがやがては
海のように満ちてゆくのを
なぜだかわたしは知っていて
そのことが
解く必要のない不可思議であることも
なぜだか ....
受けとめきれない言葉が在るのは
なんら不思議ではなく
すべての言葉を
受けとめきれるつもりで
自らを削ぎ落としてしまう行為こそが
とても不思議で
ただ哀しい

それなのに
まったく等 ....
非常階段で
セックスしよう、って言ったなら
きみは怪訝に嗤うだろうね

嗤う以外に
すべを選べないきみが好きだし
非常階段の
新たな用途の可能性が
微細に肯定されるかも知れない ....
扉が
しずんでしまう前に
瞳をひらく
決意をしよう

内に
あふれる
海原をのがれ
足を
こわごわ立たせる場所が
小さくてもいい
流れ着いた
この岸を
いまは
瞳に焼き ....
よろこびと
よろこびとが合わされば
より大きなよろこびが
生まれます

そして
よろこびと
よろこびとが合わされば
深く大きなかなしみも
生まれます

いちたすいちの
 ....
あなた、
最寄りの駅はどこですか

そこから
どこへ行けますか


 最寄りの
 冬、はどこですか
 どうして暖をとりますか

 最寄りの
 橋、はどこですか
 どこ ....
物語が
生まれ続けるということは
終わりもともに
在り続けるということ

季節がひとつ立ち退くことで
つぎなる季節へ進めるように


歓喜が
終わりなきものならば
その裏 ....
千波 一也(758)
タイトル カテゴリ Point 日付
漆黒自由詩3*11/8/12 11:33
たんぽぽ日和自由詩6*11/8/11 10:45
ブルー、もしくはブルー自由詩4*11/8/10 11:56
かくれんぼ自由詩3*11/8/5 22:58
静かなまぼろし自由詩4*11/8/4 11:48
◆時々くじらと寝ています[group]短歌1*11/8/1 15:10
ひだまり自由詩2*11/8/1 14:19
とらわれごっこ自由詩3*11/7/19 23:08
てるてるぼうず自由詩1*11/7/15 16:46
虹を願う自由詩4*11/5/20 0:01
しあわせ[group]自由詩7*11/5/7 13:39
午睡自由詩3*11/5/1 11:29
獅子座ものがたり自由詩6*10/8/22 22:06
果実未満自由詩2*10/8/17 16:01
スカイ・フィッシュ自由詩10*10/8/11 13:37
スパイラル自由詩3*10/8/5 11:09
満ち足りている潮自由詩5*10/6/13 8:43
砂時計自由詩2*10/6/5 23:47
同罪自由詩3*10/6/3 21:38
若葉はしらない自由詩2*10/5/23 12:27
日なた自由詩2*10/5/20 15:39
タンポポ・リレー自由詩3*10/5/18 17:54
小詩集【寄る辺なき歌】[group]自由詩3+*10/5/10 0:43
穀雨自由詩4*10/5/9 0:25
結婚自由詩4*10/5/6 23:15
壊れもの[group]自由詩2*10/5/5 23:41
自由詩4*10/3/27 17:09
たし算自由詩2*10/3/4 0:36
最寄りの自由詩1*10/3/2 23:38
遙かに自由詩1*10/2/26 10:43

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