ばねをまいたら羽ばたくブリキの飛行模型
月の船に帆をかけて
静かな表を滑っていく
月の裏側には人差し指を立てたウサギ
聞き耳を立てる
パイロットは
ブラックボックスが正常か、と
今120 ....
91
腕が無いから世界で一番美しいなんて言い方ちょっと失礼じゃないかしら、と3m上から彼女が。

92
眠いと言ってここを去ったのに朝を連れてくる君は太陽。

93
空の青さが際立っ ....
虫の歌は小人が教えてまわったの
言葉を介さない言語なの
地球の支配者は昆虫だという人もいる
私も人間が支配者よりはずっと良いように思う
節足で内側から崩れていく
物としてのでき方が人間と真逆 ....
あまりにも刺さるのでそれを取り外す
風が強いのはいつものことで、それはとても痛いのです
こめかみあたりから、あるいは首の後ろから
小人が僕の邪魔をして視界という視界に落書きをした
 ....
月明かりの下を歩く心細さを
小ささと細さで体現して少女は
そのページを駆けている
周囲を黒く塗りつぶされ
反った指先に可憐さを宿している
この物語を知っている
僕は知っている
この少女を ....
25時というから見逃したテレビを消す
たばこのような都合の良い理由が見つからないままベランダに出てみる
昨日か今朝か
月の世界に人がいるのかと思ったよ
ベガやアルタイルのように
君たちは、ど ....
私はあなたが好きです、と言えたらそれでいいんです
実はまったく、お洒落なんかじゃないんです
ただ誰かに読まれたときにわからないようにしたいだけなんです
詩人の告白
いや、お前の、お洒落で ....
キーゼルバッハって何?
と君が言う
鼻の中の鼻血が出るところ
チョコレートよりも
サッカーボールよりも
熱いお風呂よりも
ボクシンググローブよりも
君はキーゼルバッハに迷惑をかけていると ....
ゴムひもを足首に結び付けて
真剣な顔をして君が言う

もともと大人になるためにバンジージャンプってあったんだって

さん、にー、いち、バンジー!

って言ったら行くから

君のことが ....
見栄えが悪いから、と
売店は滝から離れたところへ移転したらしい
水滴は一滴でも目に見えて
だけど滝を一滴ずつに分けてみる人はいない
マイナスイオンの感じない香りよりも
ひんやりとした抹茶アイ ....
天使は川辺にて体操座り
しょぼくれた顔をして
目には涙を浮かべている
どうしたの?
と聞くと一息に
天国へは階段で行くべきなのに
どうして私は船頭の格好をさせられているの?
六文銭とか言 ....
あみだくじにして遊ぶ
選択肢の魔術で
手に入れたものは喜びだったのか
悲しみだったのか
そのままの言葉で生きていければいいよ
差し出した手を受けとるだけで
はずれだったりあたったり
過ぎ ....
内面を写し取るために描いた自画像が
僕が部屋から出ると歌いだす
僕と居ることがよっぽど気まずいのだろう
はじめの頃は、鼻歌程度だったが
今では盛大なオペラにかわっている

わかっているんだ ....
神様が参観に来ている
オーロラに乗ってやって来た
教室の後ろの方で
子供たちの様子を見守っている

神様が見ている
子供たちは、はりきって手を挙げる
良いところを見せたい、と思っている
 ....
くそくだらない人の恋路を
特急列車が踏み潰す
お腹の減りすぎた少女の頭から
おかしなアンテナが伸びている
食欲と性欲の区別もつかず
リンリンリリンと手の中が鳴る
ウッドベースでも良いけれど ....
小さくロックをかけながら
シルバのフィットで街を行く
佐鳴湖の北
ピンクを巻き上げ
黒いタイヤで
地面を踏んで

見上げる巨大な白いブロック
墓石にも似た無垢な病院
黄色と青の駐車場 ....
まぶたを持ち上げる小人が
正しいものを見せてくれる
簡単に解けてしまう
神様たちの話のように
言葉の多いカラスを信じてしまう迂闊さ
アポロンは
自分がコロニスに矢を放ったというのに
まる ....
ブリキの森

過去この森では激しい戦いが繰り広げられた
あの子の手で
おもちゃの兵隊は多く並べられ
忘れられたものから
少しずつ錆を浮かべていった
小さな蜘蛛がときどき挨拶をして
巣の ....
太陽光からLEDにかわる間に抜け落ちた光が
泣きながら空に帰っていく
そのスピードでも明るさでもない
揺らぎが無くなってしまった光は
言葉を失った人のように
必要とか効率とかに則っていれば生 ....
絵は描けない
記憶もあまり得意じゃない


少し休憩しよう
だいじょうぶ?


人混みが苦手である
ひどい二日酔いのようになる


これ、誰か読むの
いや、たぶん読まない ....
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:

音のしない目覚まし時計に
文字の世界の住人は驚いている
何より
その存在を確認できなかった
人生の目的、主 ....
掴みそこなった言葉の端っこを追いかけて
キーボードを滑る指の滑稽な動き
生まれたばかりの赤ん坊を
どう扱っていいのかわからずに
空中にひらひらとさせているのに似ている
あるいは未来を見つける ....
星の根を聞いて空がゆっくりと微睡む
失われた時間が戻ることはないけれど
星の種がスクリーンに根を張っていく
切り刻むのは現象として見える結果で
無味無臭の意思を配置していくにすぎない
手を鳴 ....
白い肯定が深々と降り
望まれるすべての生き物は
眠りにつく
それ以外の生き物は死んだり
眠る以外の方法で時を過ごしたりする
たとえばジェンガとか
眠らない生き物は
ソファで映画を見た ....
いつか見たあの子供に
名前を付けることはできない
記録に残せない会話を何度もして
僕はあの子を責めたりもした
正しいことを言う事が正しい
そう責められて
実際は責めてなどいなかったのだが
 ....
傘をお持ちください
と君が言うので
受け取る

さあ差せばいいじゃないか
と君が言うので
傘を開く

君は満足そうに傘の下に納まる。
夕凪の前に漂う溶けた粘土の身体
ただいま、という言葉を言わなくてよい
そんな自由に
かりん島のここここ鳥という物語を思い出す
殻を破り、あと少しで孵ることができる、というタイミングで
托卵性 ....
灰色を塗りたくっている雲
散々泣いても
飲み込んでいくのだから
カッコつけた言葉を書いているのは
悟られたくない内側を
どうやって抱えていればいいのか
途方に暮れているから
貴方は大丈夫 ....
あの蛸あまり出てこないね
と水族館で水槽を叩きながら君が言ったから
水の中では音が反響して
ひどいことになっているんだと思うよ
と答えた
言いたいことも言えないこともあって
そういったことをごまかして ....
7年ぶりに観覧車に乗ると
向かいに、スニーカーを履いた蝉が座っていた
「じー、じー、じー」
「みん、みん、みん」
僕は蝉の言葉はわからなかったし
蝉は人の言葉がわからなかったから
とりあえずお互いのま ....
クローバー(161)
タイトル カテゴリ Point 日付
飛行模型自由詩3*14/8/29 23:19
全手動一行物語(91〜100)自由詩1*14/8/28 22:21
星からおちた小さな人自由詩4*14/8/28 22:06
その日、風鈴の割れる音をきいた自由詩3*14/8/26 21:03
挿し絵自由詩2*14/8/26 20:49
仲間外れのデネブ自由詩1*14/8/26 20:29
お洒落な言葉なんて要らない自由詩1*14/7/21 20:56
恋するキーゼルバッハ自由詩2*14/7/20 17:22
バンジージャンプを1階から自由詩2*14/7/20 16:39
抹茶アイスと滝自由詩1*14/7/13 8:46
天使は川辺にて自由詩1*14/7/9 22:44
昭和ノート自由詩1*14/7/8 22:21
歌う自画像自由詩1*14/7/7 23:27
参観日のオーロラ自由詩3*14/7/5 22:26
呪ってんじゃねぇ、光にあふれろ自由詩7*14/7/5 0:14
桜の散った街を行く自由詩0*14/7/3 22:59
やさしいちえのわ自由詩2*14/7/1 23:05
ブリキの森と紙の古城とうるさい湖畔の魔法自由詩1*14/6/29 23:44
時間と光自由詩1*14/6/28 14:24
桜の木の下で自由詩1*14/6/26 22:15
空メールのやりとり自由詩5*14/6/25 23:50
そのあとがある自由詩3*14/6/25 23:34
小宇宙から流れくる自由詩2*14/6/24 23:33
冬の眠り自由詩2*14/6/24 22:56
幻影のバラード自由詩3*14/6/23 22:51
I love you自由詩3*14/6/23 22:22
かりん島のここここ鳥自由詩2*14/6/23 0:03
やさしいうた自由詩2*14/6/22 20:02
蛸にイヤホン自由詩8*11/1/19 0:49
蝉と月自由詩2*10/8/9 20:36

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