街道に花の夢みる晩冬に
ラムコーヒーにひと夜明かしつ
ある聖夜ふと訪ひし教会に
聖誕のミサいかしくも
執り行へり鐘や鳴りつつ
我は信徒にあらねども
珍しければ連なりて
慣れぬ祈祷にしばし参じぬ
司祭は儀式進めたり
謝祷交はして会堂の
時説 ....
黒森に雪割草のひとり咲き
霧氷煌めきいやとほき春
二月堂佛だち凝然と寒気に屹立せり めぐり来たれる冬の色
凍れる風に導かれ
衢閉ざしつ染めゆきぬ
ものみな重く睡りたり


想ひ出づれば夏の日の
陽光のなか戯れつ
幸いに充ち倶にあり
過ぐせし頃の束の間に


わ ....
ヒース生ふるセルトが荒野ほがひなす
蕃神女王ブリトン去れり
星界の律領ろす秘宮パヴァン耀く ロオレライ魂きはるともまがつ歌
聴かましものをライン波立つ
あやかしの雲を衣に昼の月
追ひて追はれぬひとの影かな


英京のたよりに遺す夏ひとつ
心おなじきかりそめの時


そのかみの文をうち捨てながむれば
君なくみつる月にもある哉


 ....
巷を遠くわが宿に
来し方を返り見つつも
さいはひに充つるひと時
蓄音機ふと出だしたり


奏楽はいと珍らかに
泰西の忘却の曲
ゆくりなく求めたりしを
麗はしき協奏楽や


空想 ....
冬深み忘られし古詩
ひとり誦す万感の
めぐる想ひに耽りたり
歩み来たれる二十年


あまた去りにしうた人の
足跡たどり後世に
員外私淑弟子たり
言の葉の道歩みそむ


岩むらひ ....
冬月に独りがたりを秘すべしや


詩を解く学人の声冬の窓


火鉢おく先師がたくと何をきく


風一閃寒を裂きたり逢魔時


雲凍てぬ見果てぬ夢のさめ心地


冬星も久遠 ....
朝霧をわけてさまよふ黒き森
みれんの心花と咲きたり


都めぐる大路にあまた車なめて
君と見しかな百合の聖像


夕さればリラかをりたつ楽堂に
終はらざらましいにしへの曲


 ....
文つかひ筆の止まりて小夜時雨


室咲にもの想ふなりメダイヨン


冬の宿仏蘭西の歌蓄音機


ケーベルのあはくささやく寒鴉


立席の夜行急行細雪


聖誕に碧眼ふかき ....
ゆくりなく提琴執りて
魂の限りに奏づ
美神よわれをめでよかし
雪にまじらふ古曲かな


老師たまひしみ教へに
わが心根のうち締まり
バッハ楽刻むひと頃
弓に描ける肖像画


雪 ....
白菊のもとに霜おく朝ぼらけ
わが庵さしてひと訪はましを


小夜ふけて霙ふるなりひとり寝の
宿に荒れにし板庇かな


涙川凍る夜寒のわびしきに
心も知らで霰ふるなり


埋火の ....
一隅の小草のいのちわが道なるぞ 淡くもふかき雨のはざまに

蒼くおぼめく記憶の収斂

薄き陽にいはけなき夢

ほの見ゆる永劫の影


太初よりかくもありしか

秋晴の水晶のうれひ

やさ心かすかささやき
 ....
時雨ふる鳥羽のわたりに駒とめて
うき身のほどをいかにとぞする


唐衣涙にそむる袖しぼり
深草のさと時雨ふるなり


返りごとなきぞかなしきね覚めかな
逢坂山に霰降るらし

砧う ....
あまたある想ひをなべてうち棄てて
など夢にたつ君がおもかげ
びおろんの七彩の声

ちぇんばろにふらんすの

王朝楽やしめやかに

薔薇の舘に充つる一夜ぞ



歌姫の経りぬるしらべ

そのかみの妙なる夢に

うたひつつ双手を組みぬ
 ....
幼子イエズスベトレヘムの明星とはに栄光 月光のレマンの湖吐息ひとつ マロニエの蔭にいこへる老犬が
主のパイプふと地に落ちぬ
いづくにぞかくもありつる
うまし音充つる幻さやか
たぐへたりとはの月しろ
一たびのひと夜かたらふ


そのかみはふたりありけり
今し今とふともあらじ
うるはしき風やあやなす
霧ふかき ....
いやいやの見合ひなりしを共白髪 星界にボンボン幻に耀く 遠い日の朝焼けのなか笑む君に
贈る心の永遠のうた
小さな村の天主堂

白い雪華飾るさなかを

天使のひとり舞いおりて

クリスマス祝う人々

共に讚美の歌を奏でる

天使は老いた牧師のもとに

み言葉とどけよき生きざまを称えつ ....
月姫をのこ待ちて咽ぶ天空
織部桐二郎(73)
タイトル カテゴリ Point 日付
望春短歌014/2/27 7:29
聖誕祭自由詩3*14/2/27 0:43
Winterwald短歌1*14/2/21 7:33
寧楽俳句014/2/21 7:25
閑情自由詩214/1/9 5:18
Farewell短歌014/1/8 2:08
Le Ordre俳句014/1/8 1:55
つたへ短歌114/1/5 0:25
夜思短歌114/1/2 7:43
至楽自由詩214/1/2 7:33
詩道自由詩3*13/12/29 14:51
閃光録俳句0*13/12/29 6:37
佳日行短歌2*13/12/29 6:31
幻灯俳句013/12/28 5:41
冬日獨奏自由詩313/12/28 4:58
残灯帖短歌013/12/28 4:07
いのち俳句013/12/27 4:52
秋憶自由詩013/12/27 4:31
玲玉詠草短歌013/12/27 3:44
Tristis est anima mea短歌0*13/12/26 2:44
夜会自由詩113/12/25 0:27
Annunciacion俳句013/12/25 0:14
Ich weinte…俳句213/12/23 23:00
La midi短歌013/12/23 22:47
古曲自由詩013/12/23 22:43
しまひ川柳113/12/23 8:58
Cosmos俳句013/12/22 22:57
offrande短歌013/12/22 22:40
La luce自由詩1*13/12/22 22:33
Lamentation俳句013/12/21 22:57

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