午前四時の透明な気圏に
黒雲が闇を重ねようとしている
抗うように惑星が輝いたのは
いつも忘れてしまった季節
霧雨が街を満たそうとする
{引用=
   爪を立てる前のつややかな果実だ
   ....
反射望遠鏡を捨てよう
届かないものを
手に入れたと
思いこむのはもう

   自分の影が見えるだろう
   背を向ければ
   道はそこにあり
   わたしにはまぶしすぎるのだ

 ....
   キッチンから窓の外が見える
   小高い山の放牧場には三機の風力発電機があって
   巨大な三つ葉の風車が
   /ゆっくりでもなく、はやくでもなく/回っている

この街に近づく冬はい ....
ほんとうの事が知りたいけど
正しいかどうかはどうでもいい
つまり、とりあえずは磁北を信じて
夜どおし動かない星を探し出す
北極星、と呼ぶのは僕たちだけで
イトスギ達にはきっと別の呼び名がある ....
あの頃に戻れるとして
(時計の針が逆に回ったとしても)

ここから
あの頃に戻る旅程に費やすものと
これから先に進む時間とは
夕焼けの回数ぐらいしか
違いはないのです

つまり
生 ....
ピアノのあしは楽器を支えているのか
それとも音楽を支えているのか
ギターをかき鳴らす仕草は
そのあしに似て、共鳴する独り言
マイクを持って空を指したとき
ひとはただのマイクスタンドでしか ....
夜明けとともに
失ってしまう事におびえて
冬の星座がのぼる前にと
眠りにつくふたりには
体温だけが必要で
かたむいていく、その先に
今日の終わりは信じないのです

夜がきます
恐ろし ....
遠いのは
距離じゃなかったのに
測ろうとしてしまうから
道のりはわからない
暗闇をいいわけにして
風に吹かれる案山子
守る実りは刈り取られ
朽ちていく
それが老いるということだと
思 ....
川の終わる場所で
雨が止むときの風が吹く
旅が終わろうとしている
ちょっと長めの草を引き抜いて
ひらひらと振り回しながら
流れの方向に土手を歩いて
遠い雷鳴にも耳を澄ませる
波は流れ出よ ....
明るい照葉樹の森で
点滴を打ちながら
二酸化炭素には気をつかっている
ロハスな昼下がり

生き方にまで
流行があるのだから
死に方にも流行があるのだろう
思いのままに生きられない
狭 ....
両手で水をすくうように
反射鏡は映し出すけれど
のぞき込むたびに奥歯で噛む
這いつくばって
いいわけ、うつむき加減に

   明るい星空の下に
   私の居場所はないのです

車窓に ....
今日は静かな雨
君と焚き火をしよう
やさしいぬくもりでは
凍えてしまう夜だから
黒松の薪なら
煙は雲まで届くだろう
そしたら湿り気の凝集で
雨が雲から
絞り出される

だから焚き火 ....
世界とか行方とかについて
疲れてしまったから
無限とゼロの類似性は
数えられないことだと
簡単に片づけてしまう
いつのまにか求め合うことに
せっかちになった二人は

不要になる地平を燃 ....
眠りの先にある風景を知らない
手にしたジャックナイフでは
届かない、刃先

夢をおぼえている、というあなたは
きっと眠ってはいない
暗闇の向こう、世界で起こっていること
肌の外の全て ....
降り出した季節のはじめのひとしずく 僕は知らずに踏みつける夜


おぼえてるもうわすれてる ふりだしではじめにふったさいころのめは


泣き出した君の最初の一滴を 知って知らずか{ルビ宇宙 ....
  曇る窓の先は雨
  バスの湿り気に汗ばむ
  ポケットのハンカチ
  フロントガラスをぬぐうワイパーの往復が
  息苦しさをリズムにのせようとする

雨の降るしくみは
学校で教わった ....
北風が公園の遊具を
カラカラと転経するかのようで
あわてて耳をふさぐと
もう名前も忘れたあのひとが
私を呼んでいるのに

声は私を忘れて
名前はだれにも届かない

やっとちぎり取った ....
雪に閉ざされた街と
鉛に封じられた空が
防風林の向こうで
混じりあって、深藍に

   レールギャップを鉄輪が踏む音
   ポイントを焼く篝火の色

私は泊まる宿も決めず
真っ白な駅 ....
   キレットの真下の残雪で
   オレンジ色のジャケットが
   タルチョのようだ
   鳥たちの羽ばたきの音で
   あちらへと招いている

おまえはもはや
ことばだけになった
ど ....
 神が住むという山の麓は、瓦礫だらけの扇状地で、そ
こに掘られた深い母井戸を彼は「マジャール・ダー」と
呼んだ。この場所から井戸の水面を見ることはできない。
カレーズと呼ばれる地下水路はここを水 ....
砂まじりの夕焼けが
河口の水面を鏡にして
車のクラクションまでが
赤方偏移すると

空がどこにあるのか
行方を見失ってしまい
だんだん宇宙になるその正体を
冷たく知ることになる

 ....
息をひそめて
(葉も揺らさぬように)
焚き火が揺れる

煙の中でも煙草を吸う君は
跡形もない言葉のままで
髪先を星座に投げる

傷跡だけを残すために
遠くの峰でわき上がる
季節 ....
届かない、ところへ
ささやく
あきらめではなく
染め抜くように
静かに
いちばん遠い胸の奥で


  月夜をおぼえているかい?
  欠けた鏡のまぶしさではなく
  影の地平から昇っ ....
雨に吸い取られるように
街から見上げると
あしもとの同心円は
忘れてしまう
私ではないあちこちを中心に
広がる波紋の重なりで
まちは夏の終わりに濡れて
遠い港の潮臭いしぶきまで
思い起 ....
電話番号占いって知ってる?
って唐突の質問
教えてよっていえば
じゃあここに番号入れてと
携帯を差し出すあなた
結果はどう?って訊いたら
明日運命のひとから電話があります、だって。
 ....
   積乱雲を夕刻に照らし
   今日の終わりの貌
   南南東に流れてゆく
   身代わりの月は
   時々かすみ
   雲よりも遠くで
   私を笑っている

またたく稲妻が呼ぶ
 ....
  嵯峨野の竹林をさやさやと
  ひそやかにながれていきます

  野良犬の糞を拾いもせず
  高級な玉砂利で覆ってしまい
  きれいな庭ですねと褒めると

これが普通ですよ
   ....
フラッシュバックのまま
季節を渡れるなら

あなたとの待ち合わせに
ふるえた

あの駅前広場に
私がいなくても
何かが生きている気配
熱量のないぬくもり
それは香りで感じる

嫌いな言葉
じゃすてぃす
ふりーだむ
びくとりー

   わざと口に出しては
   目尻で笑ってみ ....
答えだけが
求められるから
今日は太陽が沈むでしょう
そのたびに
遠ざかっていくのです

   飛鳥の石舞台は夕日に
   廬山寺の桔梗は夕日に

やってくる未来を信じないにしても
 ....
たりぽん(大理 奔)(550)
タイトル カテゴリ Point 日付
Rainy / Titan[group]自由詩6*07/11/27 21:37
午前四時はいつも偽物自由詩9*07/11/26 0:03
かぜのいれもの、のなかで自由詩11*07/11/21 14:51
きっと、別の呼び名で[group]自由詩27*07/11/13 23:56
ここへは戻らない三百六十五の理由自由詩807/11/11 0:48
そう結局は深夜ひとりで眠る、それだけのこと自由詩26*07/11/5 1:10
ブレス、夜明けと自由詩14*07/10/30 23:24
波、背に寄せて自由詩1007/10/29 0:15
河口自由詩10*07/10/27 12:04
逆光の爪先自由詩7*07/10/24 23:45
螢のように、そして自由詩10*07/10/20 18:13
焚き火をしよう自由詩1107/10/15 1:06
未完の夕暮れ、夜へ未詩・独白407/10/14 1:12
眠り、取り残されて自由詩607/10/11 0:29
仮称 流星雨[group]短歌10*07/10/6 23:45
路線バス(系統21番)自由詩1007/10/1 1:07
夏の望遠鏡自由詩11*07/9/26 22:57
駅・五所川原[group]自由詩10*07/9/17 18:57
空には関係のないこと自由詩8*07/9/16 15:52
マジャール・ダー自由詩507/9/12 21:13
ユーリイ・シンドローム[group]自由詩11*07/9/10 20:28
晩夏の指先に自由詩8*07/9/6 23:08
忘れたくないから自由詩1107/9/6 0:10
フランクリン・シンドローム[group]自由詩16*07/8/30 19:45
魔法じゃなくて自由詩11*07/8/29 21:51
くうふうりん自由詩11*07/8/22 23:12
きょうとさんけい自由詩6*07/8/13 13:00
駅前広場で[group]携帯写真+ ...7+*07/8/11 21:28
祭りの夜だというのに街灯は自由詩6*07/8/10 23:35
さーくる自由詩10*07/8/8 11:54

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