三月の外気は
まだまだ零下だから
白くけむるよ
吐息はみんな白くけむるよ
こちら北海道の三月は
まだまだ桜と無縁だからね
凍えるよ
着のみ着のまま出てきたのでは
凍えるよ
ひ ....
わたしの辿った
春を数えていただけの、
それだけで、よかったはずの
とおい春


わたしには
あとどれくらいの春がめぐるのだろう、と
なにげなく指を折り、数え始めた
そう ....
碧い鉱石を
もう、ずっとながいこと
求めつづけて
彼は

自分が
空に渡っていった
海であることを
憶えていない







夕日の熱は
裏切りという罪を ....
赤い目をしたうさぎの耳に
月から
はぐれた言葉が落ちる
ので、
偽らざるをえないだろう
いつか
偽らざるをえないだろう

うさぎは白くて赤い目をしている
茶色や黒やまだら模様 ....
てのひらに
ふうわり、と来る
それは

とつぜんに
ふうわり、と寄る
それは

とてもやわらかく
とても軽やかで

ぬくい
手ざわりです

だから

仮に
 ....
あなた、悪党ですか

他人を
あざわらっては悔やみ
ないがしろにしては悔やみ、を
繰り返せるような
悪党ですか

あなた、悪党ですか

他人の
たいせつなものを
盗み、 ....
シロクマの
故郷と隔たるところに
わたしは住んで
いて

シロクマの故郷と
隔たらぬところに
わたしは住んで
いる



ニホンオオカミが
絶えてしまった時代に
わ ....
ことわりの無いさま、を
無理と言うのであろうから
なるほどなかなか高尚な言葉である

無理、とは奥深い言葉である

茶髪のギャルらが言う
(時には単体で)
無理、ときっぱり
無〜 ....
水と
ひかりと
ささやかな糧とがあれば
翼たちの朝は
まもられて

どれかひとつでも
均衡のくずれる日に
翼たちは
旅立つ

あたらしい朝を迎えるため
一斉に
旅 ....
そっと
指にからめ取る粘液のなかに
胎動のような、ためらいが
ある

たやすくは
秘密裏に動けない総てのものを
固く透きとおらせてしまう
権力が、そこに
ある

良策かも ....
嗅ぎおぼえのある匂い

唾液か、汗か

誓いか、衝きか

嗅ぎおぼえのある匂いが

馴れ馴れしくて

腹立たしい

それなのに

後押しするものがある

割り切 ....
ひとの心に降るという
ましろな雪に
触れたくて
ずっと
ひとの命に寄りそって
ひとの命を
慕ってきたけれど
それは
もしかしたら
ひとの命を奪うことに
なっていたのではあるまい ....
「詩なんか」書いてる場合じゃない。

「詩なんか」書いたところで何にもならない。

そういう思いが、いまの私に皆無かと問われたら、答はノー。
でも、一割、二割ほどの気持ちのノー。
その ....
光のどかな
朝の軒下に
あいさつ日和が訪ねくる

つがいの雀のたわむれも
いたずら烏のお散歩も

汽笛も煙も
風花も氷柱も

みな
やわらかな一見さん

ごきげんよう
 ....
ひとつ、ふたつ、とらえた蝶を蜘蛛の巣へ放った自分の背中はみえない



泣いているあの子を眺めていたいのに邪魔だてをするあの声あの手



丁寧に積み上げられたミニチュアの城を崩し ....
心が折れたら

折っちゃいましょう、
もう一本

角度のちがいで
見方がかわれば
あらたな味方の参上!かもよ

ま、そうはならなくても

挫折やら壁やらが増えたらさ
い ....
その果実には色がある

制約のもと
つかのま限りの色がある



その果実には形がある

どの角度でも
どの経過でも
思いのほかに柔軟な形がある



その果実には香 ....
約束、という言葉は
なにも運ばない

それを知りながら僕は
風になろうと
している

この手に負える
ちいさな結末だけを
連れて

都合のいい語りを
選ぼうとしている

 ....
あてもなく夜空をさすと
ぼくはきまって
指をしまい忘れるから

わらっていたね

きみは
わらっていたね



続くのだと思った

ぼくらは
ずっと許されて

 ....
わたしを生んだ
女をわたしは知らない

影も匂いも
どんな音を発するのかも
なにひとつ知らない



わたしを抱いて
わたしを褒めて

わたしを叱って
わたしを守って
 ....
如月草をご存知ですか

たとえばそれは
荒野をわたる風のなか
ささやかに
桃いろに
揺られています

如月草をご存知ですか

たとえばそれは
星座をたどる指のさき
あやふや ....
冷めたグラスなら
白く、くもる

すこしの間

わたしの吐息で
すこしの間

白く
くもる

そこで

あなたを呼んで
みた

そこにはいない
いるはずも
 ....
言わない、っていう気持ちは
選択肢

だけど

言えない、っていう有り様は
選択肢にならないね

さかのぼれば
選択の末の有り様だと
わかるはずだと思うんだけど

選択 ....
いつか、降るだろう

雨とは呼べない
くるしい水や

雪とは呼べない
つらい花弁が

いつか、降るだろう

きっと
だれもが望む形は
思いがけずに
姿をかえて
しまう
 ....
冒険者たちは
いつも渇いていて
雨や
波間に
漂いやすい

けれど
冒険者たちは
それらの雨や波間について
潤いだとは語らない

なかなかに認めない
強情さがある

そ ....
吹雪はなにも砕かない

非力な命を
かばう言葉が
吹雪をいつも悪者にする



吹雪はなにも奪わない

及ばぬ知恵を
たすける言葉が
吹雪をいつも罪人にする



 ....
かわいい皿と
小さなフォークと
まるいグラスに注がれたソーダ

ひとり暮らしの彼女の部屋には
見慣れぬ物が多すぎて
しばらくキョロキョロ

彼女はせっせと
ガトー・ショコラなるも ....
だれからも見守られずにきた足に
寄せては返す海だけがある


波音を数え忘れたその頃に
わたしもだれかの波音になる


放つのは最小限の言葉だけ
そうして高まる内なる海鳴り

 ....
さよならを受け取る代わりに
ひとつだけわたしにください
あなたの命を



一通りあなたがくれた言葉たち
ほんとの意味は
辞書には載らない



いつまでの約束でしたか
 ....
案外
やさしいことだろう

冬のおわりを思うのも
春のたよりを受けるのも

案外
やさしいことだろう

夏のかげりを思うのも
秋のかたりを受けるのも


案外
やさ ....
千波 一也(758)
タイトル カテゴリ Point 日付
白いけむり自由詩714/3/12 15:25
在庫自由詩314/3/11 12:20
宝石商自由詩4+14/3/10 10:16
つばさが消えない自由詩414/3/9 15:50
磨耗自由詩314/3/6 13:21
あなた、悪党ですか自由詩414/3/5 10:02
さまよう息吹自由詩514/3/4 18:01
無理な話自由詩1+14/3/3 10:38
わたり鳥自由詩114/3/2 9:58
琥珀帝[group]自由詩614/3/1 17:24
ワンナイト・ルーム自由詩214/2/28 19:04
暴風域自由詩614/2/26 14:04
■長い付き合いになりそうだよ、詩と私[group]散文(批評 ...4+14/2/25 17:13
あいさつ日和自由詩214/2/25 7:53
◆美しい修羅[group]短歌014/2/24 22:51
心が折れたら自由詩114/2/23 21:52
パウダー・フルーツ自由詩214/2/23 12:46
最低な翼自由詩314/2/22 10:08
流星群自由詩114/2/21 19:13
雪月花[group]自由詩714/2/20 14:56
如月草自由詩314/2/19 17:53
告白自由詩114/2/18 16:41
選択肢自由詩114/2/17 22:26
いつか、降る自由詩414/2/17 11:58
冒険者たち自由詩214/2/15 15:47
吹雪自由詩114/2/15 8:14
ガトー・ショコラ[group]自由詩214/2/14 21:37
◆そこに海がある[group]短歌114/2/14 17:12
◆ラヴ・レター[group]短歌214/2/13 20:22
直感自由詩414/2/13 15:53

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