たてものにわたしは入らなかった

木の陰に立って 見ていないふりをする


たてもののなかで起こっていること

をわたしは知らない

なので見あげる

朝すきとおっていた ....
暮らしとは

あさ 水を手にとる温度

きしむバスを降り

しんじつみのない歩幅に合わせる

三拍子

あまりにもたくさん

尽きてまた始まる靴音のなかに

ようや ....
暗がりで探す瞳はグリーン

あまりにも深くて

底がみえないというのに

ずっと覗きこんでいる


台風がやってきて去っていった次の日

あらゆる銀行員が失踪した

 ....
夜のまんなかがあいていたので

表層的な愛を置く

ハピネス

祝いましょう

罪深かったはずのわたしたちはいつからか

ちがう息の仕方をおぼえた

まばたきが要らなくなっ ....
平らかな純粋がちいさく傷ついて

音をたてたのだ

まよなかはふたりに気づくと

眼をさまし

海の風をとめた

息をひそめ

青ざめた街のかどを見つめていた

 ....
生きるということはこういうことです

そう言ってせんせいは

聴診器をはずした

わたしを見つめているのか

ずっと遠くを眺めているのか

わからなかった

眉間に深 ....
透けるような夕刻のさざ波に向かって

餌木を投げる

こういう晩には大イカがやってくるらしい

赤い餌木

黄色の餌木

緑色の餌木、銀色の餌木、紫の餌木

を投げた
 ....
よりよき眠りのために

爪を切った

髪をといた

浴槽の端に身を委ね

足先をやわらかく曲げた

かかとの奥にある

まるく硬い骨は かすかに

光を放った
 ....
小さく告げられるニュース

摂理のように

ありきたりな浸透をする

たゆたゆと

それにわたしは浸り

夢を見る

夢を見ては

まぶたの裏にある残像を

日常 ....
真夜中に

回るプラスチックの白馬たち

振り返ることなく

たてがみを立てて前へ進む

くるくる回る

それはとてもまじめで

見ていると苦しくなる

どこかへ向 ....
私は目覚めていた

誰もかもが寝てしまったあと

ほとんど闇に近い暗がりの中で

妹の寝息と父のいびきが重なったり交互になったりするのを気にしたり

どこかから聞こえてくる秒 ....
 

言葉がまだじゅうぶんでなかったころ

わたしたちはそれを呼ばなかった

知ってはいたけれど

おはようも こんにちはも

いただきます

もなかった



雨がふ ....
かかり(12)
タイトル カテゴリ Point 日付
柳の木の陰で自由詩015/5/28 1:12
暮らし自由詩514/10/24 1:46
しなやかな日々自由詩114/10/22 0:42
ハピネス自由詩214/10/12 4:22
まよなか自由詩414/8/2 1:31
診察自由詩414/7/5 23:19
イカ釣り自由詩214/6/13 1:18
よりよき眠りのために自由詩414/5/1 2:48
ラジオ自由詩113/9/13 9:07
メリーゴーラウンド自由詩313/4/30 2:08
ましや山荘自由詩213/2/10 23:02
言葉がまだじゅうぶんでなかったころ自由詩413/1/30 0:09

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