さて、正面には
丸い机
中央の
銀皿にもられた
艶やかな葡萄と
止まったままの砂時計
どこからか
聞こえてくる通奏低音が
生きものたちの
瞼に影を落として、

りりり、と
電話 ....
 真夜中の底に座ったまま、やわらかい悲鳴
が澱になって、沈んでくるのを見ていた。張
られて赤く染まった頬を覆っていた長い髪が、
絡まり合いながら水面に浮かぼうとしている。
「あなたが思うより傷 ....
そう、散らかった部屋。僕の体重に沈むクッション。回転する夜の底から、聞こえてくる羽ばたきの音。反響するサイレンと、赤い光に祀られた地球儀。骨の浮きそうな、肩。世界をデッサンする指先が、背中に子午線を引 .... 予め
蕾は刈り取られていた

頭上を
越えていった
鳥の名前を知らない、
車輪のあとに立ち尽くす
わたしの肩を抱いて
そっと
目を伏せたあなたの

手と、
手を
重ねると
 ....
小さなころの記憶が
なくてそれは
当たり前のことだのに
問い詰めた先生は血を
責めてわたしはいたたまれない
まま自動ドアに挟まれた

が折り重なって
肥大していく樹

描いた
 ....
スカートを翻して
電車に乗る
制服はわたしを
嵌めこんではくれないし
だからってあなた
放してもくれない
目を伏せて箱の中
景色が流れていく

投げられたくしゃくしゃの
ルーズリ ....
雪解け
の真みずを飲みほす母は
耳もとに咲いた
花をついばむ嘴で
ちいさな足に
生年月日を刻印する

とんとんと、
角灯を倒していく
降り立った
ベランダで冷たくなった
少女たち ....
とても遠い丘で
横たわったわたしは
したばらに針を刺し
水を抜いていきます
草原の羊たちの
やわらかい角は
生まれたての
うつくしいままでしょう
まだ生まれていないあなたのために
月 ....
拝啓


 これは、私があなたに宛てた最初で最後の手紙になるでしょう。こちらはもう随分と日が短くなって、丁度今、夕暮れ時です。秋の冷たい風が銀杏の葉を染めて、歩道では銀杏がずいぶん潰れてしまって ....
夜を解体するあなたの腕が、こまやかに分たれて腐食していく、長い髪が放射状に散らばった水面に、月がぬらぬらと白く光っている、その胸に穴があいて、ぽこりぽこりと音がする、潮が満ち、その陰でひそやかに花がこ .... 紺青にけぶる空を薙ぐようによぎる、小型の戦闘機は燈色に燃える閃光をつれて。ゆっくりと浮き上がりはじめた海面に、硝煙にむせた妊婦たちが次々に溺れていく。あなたはやわらかな耳朶をふるわせて魚道を探す。冷た .... 降り積もる雪の重みに
夜が
耐えきれず落ちていく
そうして彼女らは埋もれていくのだ

ひるがえった真夏の
影を踏んだあなたと
鳴くこともなく
死んでいった虫たち

 ....
yuko(12)
タイトル カテゴリ Point 日付
水晶自由詩712/5/22 0:18
石榴自由詩612/3/1 12:55
風切羽自由詩411/11/4 15:17
旅路自由詩911/11/4 15:17
系統樹自由詩311/11/4 15:16
河口自由詩211/5/24 12:54
春と双子自由詩4*11/4/15 2:39
着床痛自由詩4*11/1/28 1:53
あなたへ自由詩410/12/5 17:17
散華自由詩410/11/4 11:57
Ending自由詩710/10/28 20:10
G自由詩610/10/26 23:43

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