夜の帳が緩やかに下りてくる頃
わたしの踏みしめたつま先から伸びた
ひかりの波は町をのみこんでゆく
「展望台」の駐車場の淵は
(世界の淵)

『ほら あの向こうのほうは』
『あの子のなみだ ....
花嫁よ
しろい、チュチュに包まれて
向かうのは地獄

花嫁よ
長いレースはゆるやかに
階段を下りてゆく

花嫁よ
オフィーリアの叶わぬ夢を
手にしているのは、あなたへの薔薇です
 ....
しんしんと
たんぼに脳がふる
そそぎこまれた脳を
稲は根っこから吸い込んで
のびやかに育つ

私は脳をたべる
雪見大福と一緒に
稲穂の一粒が
まじったそれを

脳は何でも知ってい ....
電車の自動扉から
春が吹き込む
そして夏が来る

アナウンスが夏を告げる
夏はにこやかに笑いながら
春を押しのけようとした

春はなみだを流した
アナウンスは夏を告げる
駆け込み乗 ....
こんなに手を伸ばしているのに
届かないままひそやかに
眠っている呼吸音

方々で
下駄箱の開いては閉じる音が
心臓の音に重なってまるで戦場

上履きが音をかき消していく
ブリキの下駄 ....
朝靄ののぞく
窓の水滴に触れたら
一滴が硝子を撫でた
一筋の道筋を作って
いくつかの水滴を巻き込んで

流れていって下のほう
ぺちゃんと爪先が濡れた
じわりと広がる水滴が
ひんや ....
うかぶ空に触れる足さき、加速してわたしは舞い上がる、ちぎれそうな指を握りこんで、そしておやすみを言うために急降下 #twpoem 10/24 2:08



外側にいる透明な風はわ ....
どこ

外の風も
とおり抜けていくんだ
かすめとっていく世界を

  どこ

見えない空を
盲目で描く絵の具はまっしろで
飛んでいく京都のアパート


    ここ。
布のなかに

たふたふに埋もれたわたし
手を伸ばすこともせず
のどだけをもち上げて
ことばを向こうに投げていた

ことばはいつしか完全で
組み合わせだけで無限で
それに夢中になる ....
抱き合って眠るこの瞬間が
避妊具をつけたセックスに似ていて
どうしたらはずせるのかと
思案しながらまどろんでいる

「ひとつになりたい」
そう言ってせがんでも
私の言いたいひとつには ....
ふくらはぎに内蔵されたばねが
ゆるくしなやかにたわんで、
私の躍動を確かなものにする。

大地をつかんで
重力にさからう
陸上部のショートパンツは今、
空気よりも軽い。

春にか ....
ごめんね、とつぶやいて、終話釦をひとつ落っことしてみただけだと言うのに私は寄り添っていた心ぞうを引っぺがされるような気持ちになってたまらない。

爪をかけて思い切り剥がす。
心ぞうをさんざく声が痛い
 ....
斎藤旧(12)
タイトル カテゴリ Point 日付
夜警自由詩2*14/10/22 0:22
葬送自由詩1*14/2/3 22:40
風見鶏自由詩2*11/9/27 0:55
五月自由詩6*11/4/24 14:13
「ぎぶみーちょこれいと」自由詩2*11/2/16 20:48
ツンデレ哀歌自由詩4*11/1/18 1:27
#twpoem 1自由詩3*10/12/12 9:05
レイス自由詩3*10/9/23 20:13
マリネ自由詩3*10/5/2 2:47
融解する、自由詩1*10/4/20 22:58
放課後‐3時15分自由詩4*10/4/20 2:45
電源自由詩1*10/4/9 23:45

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