山茶花?いいえ
夾竹桃?いいえ
金木犀?いいえ



なんだか美しいように思われるだけの
そんな名前を知っていることが果たして素敵?

いいえ



知らないふりのと ....
嘘に慣れた舌が
また赤くなってゆく


おちてゆく前に爪先で転がして
耳など本当は一つも無いというのに
誰の声を掠めてゆくための器官になるのだろうね

ねえあなた

おちてゆく ....
 



 
人が何かを捨てるのはね、
もっと大事なものを拾いたいときなのよ、
捨てる勇気もないのに拾いたいものばかり思うって、
それは夢とは言わないわ、

妄想というのよ。

 ....
カステラの色をしたまんまるが
ぽわりぽわり
桃の缶詰はどうしたの?と
まるで君の声が聞こえてきそうなほどだ





下のほうからじわりと
赤く何かが差しいる黒の
その ....
あまり大きくないアパート
階段をのぼって
一番高い踊り場から見える空の
ぐうんと遠く
そのまんなかにぽかんと
おぼろの三日月が浮かんでいる

あまり無意味にもの悲しいのはきらい
 ....
帰るところがあって
それは遠く遠くだ
遠く遠くのどこにあるかは
集中した残酷さのためにわからずにいる


踏みしめた足の裏にいくつもいくつも
戯れようと集まるそのすべてに
目を ....
強い風のあと
無残な散り様
何にしても
まばらだということが僕の慈愛をかきたて
暗い中に泣いている葉桜の
そのいでたち

みかん色の朝日を二分する電柱をフィルムに焼いて
人間の身勝 ....
二月の雨がぬるくて
少しだけさびしい

雲はいつだってしたたかで
冷たい雨ばかりではないのだ、と
こっそり僕にうそぶいている
僕は演歌歌手ではないので
いいひと、を雨に頼ることはでき ....
もどかしさを知らなかった頃
いつだって笑っていられたような
そんな幼い頃

僕はまだうんと子供で
いろいろな大きさの虚像を見て育った
何も知らない方がいいのだ、と
父親が言ったのか
 ....
ホカロンなんてダサいわよ、
あたしと会うときはそんなもの持たないで。


カーテンに透ける夕陽
そのむこうに何があるかを彼女は知っていた

バカじゃないの、
寒いならひとりで居なきゃい ....
例えば隣で眠る時に
横顔を永いあいだ見つめていられない
弱い自分を悲しんでいるあたしに
おまえはそれでいいんだよ、と
そういうあなたが辛かった

例えば隣で眠る時に
すべてを委ねるつ ....
夏よりもわずらわしい温度
記憶ばかりを鮮明にしてしまうから

ふと
何かを考えてしまう時はたいてい
君の手のひらの温度を思い出してしまう時だ
何も知らないという顔をして
巧みに僕を導 ....
夕方です

一段と窓ガラスの汚れが目立つという
そんな悲しい時間です

あたしにはもう何もないの、と言った時
あなたは
ふっと顔を伏せて泣いてしまいました
いったいどちらが悪かった ....
温かい麦茶があたしを癒してくれる
不可能なことばかりでもいいよって

稚拙ね、と彼女は笑った
それはそれは美しかったので
あたしは妬いた
一昔前の話よ、とまた彼女は笑う
彼女のほほの ....
 
 
またひとつ、明かりが消えましたね

そうですね、悲しいの?

ええ、とても、だってあなたはそうではないの?

悲しくはないのです、それはいけないことでしょうか

いいえ、き ....
ねえ 眼鏡をはずしてちょうだい

あの日
乱視のあたしには赤い三日月がぼんやり
綺麗な輪郭が滲んで
チープな哀愁とたたかっていた

あの日
いつもと同じはずだった助手席は
誰のせ ....
薄暗い中で
何かをじっと眺めているその目が
あたしで埋まってしまうなんて
そんなことはないとわかっている

夜が明けてしまったな、と
なんでもないふうに言ってしまうから
あたしはその ....
あなたが大きな声をはりあげるたび
僕は嬉しい そして安らか
何かをさらけ出す悲しさを知っているけれども
それよりも大きな
大きな大きな安堵をきっと手に入れたがっている
そうでしょう だっ ....
ほら、見て御覧、満面の笑顔など何処にもない、




一度きりの夢が
僕を蝕んでしまったことがある
毎晩その夢の続きばかり願っていた
学習など嫌い
全てがもやの中で僕を待っていて ....
 
少しも嬉しくないのだ、という顔をして
柔らかく笑う君が
この手の中に入ってしまえば良いと思った
誰も
許さなかったけれど


喉の奥が鳴って
もっとずっと奥が痛む
そういう ....
グラデーションは必ずしも美しくない
そう教えてくれたのは
確固たる信念でもなんでもなく
ただの空虚だった

ああまた日が暮れてゆく
そのじわりとした色が僕に響いて
それはすなわち僕の ....
イメージするたびに
少しずつおまえが遠くなってゆく
大きなヘッドフォンのゆるさは少しも変わらないのに
霞んでゆくような映像のぶれが切ない

ベッドの下を掃除していると
おまえの口紅 ....
日替わりで
ミルクの量が変わるコーヒーをあなたは
おまえの機嫌が手に取るようだ、と
綺麗に笑って
少しずつ飲んでいた

コーヒーにクリープなんか入れるやつは死刑だな、
初めて敬語 ....
君が正しかった
涼しい顔で言い放つ声は
激しく震えていて
あたしは
泣いてしまうしか術が無かった

どうしてもっと早くから
前を見ることをやめなかったのだろう
あたしはいつまでも独 ....
あなたを作り出したものは
全ての泥の中に潜んでいたのでしょう
紫色の鉛筆を
その指が滑らせるたびにあたしは
真っ暗な底を目の裏に浮かべて
まっすぐまっすぐ泣くのです

パンドラの箱は ....
おかしなことばかり起きる
例えば落とし穴に落ちてしまうのも

僕がメガネをはずすその間に
あの星は三度も弾け飛ぼうとしたし
彼女が一本煙草を吸い終わる間に
隣の男は二度イイ思いをした
 ....
見えないものにばかり
簡単に縛られてしまう
疎かにしてきたものにまで
ついにはわらわれてしまう

冷たい雨が嫌い
なにものも寄せ付けないこの指を
そんなふうに痛々しげに扱うなんて
 ....
暮れてゆく暮れてゆく

錯誤してきた人生に
さようならを言うくび傾げ
ゆっくりゆっくりの足音が
あたしに何かを加えたり
時には奪ったりする

あらゆるものを取り出して
綺麗に洗っ ....
こんなにも黒が
似合っていいものか

ゆらゆらと漂うようにそれでも
しっかり全てをわかっている雲は
僕を見下ろしたりはしない
不思議なものを検索すれば
きっと僕の目の色がヒットするの ....
いつもは見られない朝もやが
何かをこえてやってきてくれて
あたしは焼き菓子のような気持ちで
しかし空気はぐっと 
冷たい

失くしてしまうのは
思い出せないようなものばかり
そんな ....
田島オスカー(62)
タイトル カテゴリ Point 日付
秋空の舞自由詩008/11/15 23:31
三猿模写自由詩108/11/15 0:27
カクテル自由詩607/9/18 2:59
ごちそうさまでした自由詩107/8/3 7:42
おぼろ自由詩107/5/24 2:29
見失うばかり自由詩207/5/6 1:45
螺旋階段[group]自由詩107/4/2 7:10
トタン屋根の上で自由詩207/2/22 4:48
群像自由詩207/2/8 18:12
ビーム・ビーム・ビーム自由詩207/1/25 5:56
若干の熱自由詩107/1/11 0:16
サーモ自由詩2*06/12/8 6:25
時の経過自由詩2*06/11/28 23:21
老衰の美自由詩006/11/16 3:27
展望台 Mr.Jacson and Miss Brown自由詩4*06/11/14 22:32
右ハンドル自由詩1*06/11/9 3:44
秋の夜は短い自由詩2*06/11/5 1:11
関係性自由詩3*06/10/29 2:33
優しい河馬などいない自由詩106/10/17 1:51
布レンズ自由詩4*06/10/10 0:26
陽が落ちるとそれは嘘自由詩4*06/10/6 1:35
イメージ自由詩7*06/9/30 0:33
スプーンの火で焼かれてしまえ自由詩6*06/9/16 2:50
ソーダ自由詩3*06/9/5 0:22
不器用な地底人自由詩306/8/7 21:39
ヌーンセックス自由詩206/7/19 17:20
スパイラル自由詩106/7/19 1:29
日暮れ自由詩506/6/28 4:29
グレーの彩り自由詩506/5/13 2:22
哀しいメレンゲ自由詩106/5/3 5:06

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