ぼくのだいすきなキリンは
いまは海の底に居る

まだぼくの魂が
果実のようにやわらかだったころ
キリンが夜泣きをやめられないぼくの
なみだをそっと舌でぬぐってくれたのをおぼえている
キリ ....
ああ、だからニンゲンは
あらそいをやめないのだ。
とそう気づいたのは思春期のころでした。

なにゆえに
陰であるのか。
と、なやんでいたのです
サインコサインタンゼントの合間に。
夏で ....
いき・いき・息をする
いきている、
それはとうといものだって
胎児だって知っている

重金属のスプーンで
カキだされたこどもたち
かれらの蚯蚓のような
ちいさなゆびとゆびに
クレヨン ....
指に触れてはいけない
頬を赤らめてはいけない
このままでは溶け込んでしまう
あなたに
うつむいていても爪先が見えるから
きっとあなたは夢にも現れるわ

獏のような灰色の空ね
あなたの手 ....
はるかにはるかにむかし
誰かがひとみを伏せることをやめた
それから今までずっと
空は空
何百億のあこがれを吸い込んでなお
変わらないのか

ぼくらが自由になれないのは
ぢめんに足のうら ....
水族館が好きだった
おおきな魚が好きだった
わたしはまだちいさくて
背伸びして水槽に額をくっつけた
ガラスは冷たかった
わたしの目を奪う
彼の名前をわたしは知らなかった

ピラルクーが ....
真昼間
マフラーのたなびく
風のにおい
とおり過ぎる一日は
いまだ生温い

魚ノ目が痛んで
歩くのも
生きるのも
億劫なこのごろは
ドアを開けることさえ馬鹿らしい
というのに
 ....
長いトンネルの先
君を見つけたのはいつだっただろうか
薄暗さに慣れた僕の
からだをくるんだあたたかさに
立ちすくんで息を呑んだ

君の真下を歩いてゆくよ
熱い旋風に身を焦がし
夜に冷え ....
見わたすかぎり
あおあおと
海原
さみしげに
小舟が一艘

のどがかわいて
哀しくなった

水はこんなにあるじゃあないか

いのちによく似た絶望が
きらきらと
世界の途切れる ....
ぼくはいま立っている
かなしく縮んだみじかい羽を抱え

忘れてしまったのだ
とうのむかしに
空をゆく彼らは
かつてはぼくの隣にいたはずだが

大自然の
そのてのひらの
甘やかすまま ....
蠍星(10)
タイトル カテゴリ Point 日付
ぼくのだいすきなキリン自由詩7*10/4/11 19:01
イン自由詩6*10/4/4 19:57
いきかえる自由詩4*10/1/16 0:24
こいするおんがく・ほしのついらく自由詩2*09/12/29 1:00
そらごと自由詩4*09/12/26 22:13
ピラルクーがゆく自由詩7*09/12/1 20:04
日々の陰影自由詩4*09/11/20 23:19
赤道自由詩4*09/11/9 23:20
波まくら自由詩6*09/11/8 22:48
キーウイ自由詩5*09/11/4 16:28

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