ひかりのつくり方は だれも教えてくれない

水の配合を間違えたことで 白く霞む朝に
きみの浅い微睡みは
錆びたダイヤモンドのように 美しくおちていく
レースをまとった瞳の透過は
いくつかの ....
今はもう、溢れて
零れるだけのボトルは、意味を見失い
積み重ねられた日記帳は
終焉の時まで
ただ、埃をかぶるだけ

西の窓にさす夕焼けが淡く滲みだし
新月の海を羅針盤無しで航海する、無謀 ....
防波堤に打ち付ける、波
全てをさらっていく
泡沫が少し
澱みに残るだけ

日がやけに低い昼下がり
人の姿もなく
旅の友は、おねだり上手なカモメ
行先不明の私は
いつだって
迷ってい ....
空にはもう
手が届かない



真夜中、
潤いが消失した部屋で
繰り返し観たものは
果てしない砂漠での蜃気楼、の夢

瞳を覆う
色が無い眼鏡の、曇りをふき取っていく
余分なもの ....
ジンジャーエールの
薄いこがね色に光る泡を
優しく、かき混ぜ、溶けるように
わたしの過ぎた惑いを
散らしていった



冬の早朝に舞い降りる霜のビロードで
肌のヒリヒリする感触が
 ....
離れると 音もなく
落ちた 花びらは
ひとつひとつ 冷たく発光して
私たちは 消失のただなかで
不釣り合いな 接続詞を
あてがい続ける

たくさんの 繊細な傷を
指でなぞり 再生して
 ....
まっ白で
海の波とうねりに
磨かれた貝の
欠片を集めて
ぼくはオルゴールを
つくった


貝でつくったオルゴールが
奏でる音色は
聞いたことのないメロディー
なのだけれども
ど ....
 
十代前半の頃だったと思う
一遍の詩を読んだ
それは月刊の学生専門雑誌に投稿された入選作品だった
それまで、詩など教科書でしか読んだことはなかったのだけれども
題名に惹かれたのか
それと ....
ふたりなら楽しいことも倍だけど少し寂しいふたりぼっち


ふたりは語らい歩む紅葉のもえる色を頬に射しながら


雨の日はおおきめの傘一本で街を歩こう濡れるふたり


ふたりは眠る終電 ....
鏡のような湖のうえ
ふりそそぐ、ひかり
わたしの、いのちが拡散し
みなもを撫でていく

ここにいれば、
あたたかな霧のようなつきの
ひかりを浴びて
おだやかなしんとう圧が
からだを満 ....
真夜中に口笛を吹く庭先で 待てど暮らせど 蛇が出ない


鰻食べ梅干食べてみたけれど 山椒のほうがやはり合います


風邪をひき嫁にうつしてしまったが 治ったころにうつし返され


 ....
虚しさは
ろうそくの炎のように揺らめいて
正体を見失う
スマホをスクロールさせても、行き過ぎてしまって
たどり着きたい所にはいけない
私たちは正しく嘘を粉飾できないでいる

街灯ひとつで ....
いつのまにか
ぼやけてしまった
染みが
もう存在が消えようとする、その瞬間に
ようやくこころの片隅に
いろを
発生させて
 
うまれるよ
うまれるよ、と
存在を主張し始める

 ....
今はまだ、ぽっかりと空いたボトルが海を漂い
手垢のついたじかんが終わりを迎える

真新しい窓を覆うひかりは
星の空をはだかで漂う不確かさで
黒く塗りつぶした本にときを刻みはじめ
風吹が ....
雨はやわらかく弾けて
あおいビー玉となり
ひとみに触れてとけてゆく

風は産毛をなでながら
うすい絹となり
はだに濡れてしみこむ


きみの発するパルスは
聞いたこともないのに
 ....
すっかり寒くなってきた、土曜の早朝
僕はいつもの様に
四階にあるベランダで煙草を燻らす

景色はいつも通りのようで
いつもとは違うように見えた
特に、空が違う
だから、空が好きだ
一度 ....
さくりと欠落し淡いひかりを
切り裂く、闇
まるではじめから
無かったかのようで

わたしの発するパルスは
ほとんどが四散して
もう何処にいったのやら

仕事 ....
遠い光

風の中、ふいに
放たれる矢のように
囁きは優しく
私に突き刺さる

霧の夜、闇に捕われる
気配だけ
それは
幻の花びら

ゆっくりと、剥がれて行く
塗り固めたこの空 ....
 
明けない夜はない
闇が取り巻いても
未完成なままで
それを切り裂く
 
暮れない陽はない
今日の不条理に捕らわれても
胸の炎が
消えそうにない
 
 
変わっていく世界
 ....
 
 


幾日か降り続いた雨も
止んで
雲が多いながらも
気持ちよく晴れた、日曜日
 
空を低く移動する綿雲
高いところで模様を変化させる薄雲
心地よい風が吹いている
 
 ....
夜明け
窓を開けると
空に明星が瞬いている

テーブルにこぼした煙草の灰を
手で掬いとっているうちに
夜が終わっていく

春先の
暖かい雨は降り止み
朝日が微かにひかる
神経が泡 ....
南の空気を孕んだ
雨が止んで
少しずつ
本当に
少しずつだけれども
春は
近づいて来ている

三寒四温

四つ進んで、三歩下がりながらも
春は、確実に近づいてくる
私の街に ....
なにもない
雪だけの原を歩く
目の前の白
後ろに点々と足跡だけが残る

まるで世界に
自分だけがとり残されたような感覚
孤独の影が走る


ドサリ、と音がする
木から雪でも落ちた ....
あおに 生まれ

あおとして 過ごし

あおのままで 逝きたい

たとえ馬鹿にされ、笑われようとも

そして、また

あおで、
私は幼い頃早口で
軽いが、どもることがあった
母親でさえ、聞きなおすことがしばしばだった

さすがに長ずるにつれ、本人も自覚して
早口をおそくするように心掛け、発声に気をつけて
治そうと努 ....
凍結する
冬の寒風に身を晒し 、立ち泳ぐ
辺りには静寂が満ちていて
指先から徐々に冷えてゆく

あらゆる感情の蛇口は
かたく閉じて
それがいいことなのか
悪いことなのか
判断すること ....
手渡しされた新しい年は
少し
湿り気を帯びていて
私の砂時計は
サラサラと流れていかない

古い年に取り残されたものたちが
色を失い
塵、となって積もっては
風に吹かれて
冬空に溶 ....
北風が吹く、この街の
行き交う人々を眺めている
もう皆、すっかり冬の装いで
どことなく落ち着きがない
しかし、私の目に
それは映ってはいるけど
どこか、よそよそしい

その先に続く
 ....
べランダで
煙草を燻らせながら
空を見上げれば
今夜は
冬の星座が良く見える
風も無く
空気が澄んでいるようだ

道に迷ったら
ポラリスを探せばいいと
昔のドラマで言っていたことを ....
無だけだった
光も音もなにもない世界
始まりはだれも知らない
気の遠くなるような時間だけが流れる

*

今日は平日だが、代休で感覚的には日曜の気分だ
余り良い気分とはいえない
明日 ....
小林螢太(38)
タイトル カテゴリ Point 日付
一欠けらのひかり自由詩13*17/2/12 14:36
逆再生自由詩14*17/2/4 0:33
早春の詩集自由詩15*17/1/26 17:37
微熱砂自由詩16*17/1/15 15:51
ポリリズム自由詩21*17/1/9 13:25
 LED 自由詩12*16/12/24 23:50
貝のオルゴール自由詩9*16/12/17 22:54
マリンスノーの少女自由詩8*16/11/26 19:35
ふたり短歌3*16/11/23 20:31
Claire de Lune自由詩3*16/11/19 13:54
迷信遊び短歌2*16/11/15 23:52
かたむいていく夜自由詩9*16/11/13 1:06
 染み 自由詩14*16/11/9 13:25
 再生 自由詩6*16/11/5 13:56
変調少女自由詩6*16/11/1 22:38
霜月の空自由詩3*16/10/28 22:56
新月自由詩6*16/10/27 0:54
小さい光自由詩0*16/10/15 18:50
自由詩1*16/10/15 18:31
大気の層携帯写真+ ...314/6/8 21:16
桜の樹の下へ自由詩20*14/3/29 14:05
春雨の後に自由詩12*14/3/12 21:01
 雪原の足跡 自由詩14*14/2/10 17:51
あおのままで自由詩6*14/2/4 20:56
きゃりーぱみゅぱみゅが、上手く言えない自由詩21*14/1/26 11:35
 冬静 自由詩14*14/1/12 21:12
明け惑い自由詩12*14/1/5 11:06
見つめる先に自由詩8*13/12/7 21:10
ポラリスの彼方に自由詩9*13/11/8 18:54
エンドレスドリーム ZERO自由詩5*13/10/27 10:27

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