もういいやと思う朝は起きられない 電車の音だけ聞く   アパートの階段 上る靴音が彼の一日   母が逝く朝ひとり リンゴの皮むく   妻の腹 しわにはさまれ 蚊がもがく
秋さびし 猫の声にも 堅くなり
  さよならの日は 風の日だ
  けれど 怖がらなくていい
  雲はいつだって自分を壊してゆくし
  空だって ためらうことなく色を捨ててゆく
  こうして みんな秋になってゆくんだ
  ....
  明日 でかけよう
  あの人の街へ
  もう冬が終わるからでなく
  もう春が来るからでもなく
 心揺さぶるものにしたがい
  わずかな荷物で乗り込もう
  鳥の名前の列車
  舞い ....
  北国の街でも
  季節という名の急行列車は定刻どおりにやってきて
  開いた扉に ベルが鳴って
  早く行きましょうと 待っている
  すべてを捨てて飛び込むことができた昔とは
   ....
母のいた畑に 花が咲いて
緑のつるが 今も空をめざす
木綿の空から雨が降る

やわらかな しずくは
ふくらみはじめた えんどう豆と
強い夏を育てるために
静かに 静かに

あれは 白 ....
  胸の孤独に 居場所がなくなるとき
  懐かしい場所に帰りたくなる

  プラットホームの人混みに まぎれてしまえば
  夢を見ながらでも行けるはず

  時を止める力など ないけれど
 ....
おりがみの花は 指先で生まれ
おりがみの花は 手のひらで育つ

思うようには動かない きみの指先から
空の色をした 花が生まれて
思うようにはならなかった 私の手のひらを
四月の色で満たし ....
白は 白である
それ以外 なにがありえようか
何が起きようと そうあるべきである
筋肉を いからせ
そう思い続けたころ
ばかみたいに可笑しい時代

取り出した ハンカチの
縦糸と 横糸 ....
なぜだろう あなたが
ふり向く瞬間が わかる
どうしてだろう あなたが
求めたものが ここにある
  なぜだろう 私が
  凍らせた言葉を 知っていて
  たやすくそれを 解きほぐしてゆく ....
幸福の置き場所は
海のにおいのするところ
大事な言葉が生まれたところ

風がとおりすぎて
小さな駅におりると
細い道の向こうがわ
手に持った荷物の
不安定な重さが
私であることの証
 ....
西尾(13)
タイトル カテゴリ Point 日付
一行詩 無題自由詩110/12/7 15:34
自由詩210/12/7 15:05
自由詩210/12/7 14:58
夏の終わり川柳109/9/13 22:04
秋の日は風の日自由詩209/9/13 18:43
鳥の便り自由詩409/2/3 18:42
春を迎えるにあたって / 西尾自由詩109/2/3 18:36
えんどう豆の花のころ自由詩308/6/7 18:59
懐かしい場所自由詩307/9/24 18:19
折り紙の花自由詩607/9/23 19:39
白いハンカチについて自由詩007/9/21 21:42
蝶の時間花の時間自由詩907/9/18 9:48
幸福の置き場所自由詩707/9/17 19:18

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