藤の花が咲いています
 あなたの知らないところで
 藤の花が咲いています
 あなたの見えないところで

 今はもう打ち捨てられた山林の
 雑木林が煙る春
 柔らかな新芽の真新しい色
 ....
 人に好かれる努力をしなよ、と
 先生だったか、
 友達だったか、
 社会人だとかに言われたので、
 一晩眠らず、
 考えてみたのだけれど。


 人に好かれる努力とは、
 例えば髪 ....
 遮光カーテンは閉めきったまま
 四角い箱の中
 スマートフォンの青白い灯りを頼りに
 じっと目を凝らす夜。

 
 ここいらはもう海の底でした。
 重たくて、暗くて、冷たくて、塩っ辛く ....
 泣けよ、サファイア、二番星。
 煌々と、夜が凍っている間。
 か細い音が、反射する。
 それが誰にも、届かなくても。

 泣けよ、サファイア、二番星。
 鳥の声が、切り開く夜明け。
 ....
飲み込んだチョコレートが
胃の中でどろりと溶ける
何の役にも立たない甘さ
何の役にも立たない苦さ

悪い夢を見た朝に
汚してしまった下着の色
一日中ついて回る後味の悪さ
標的もいないま ....
レントゲンに映らない黒い綿埃が私の肺にたまる頃、
今年もあの赤い花が寂しい寂しい休耕田の、
それでも草だけは刈った畦を彩り、
そうして見る間に色あせていく。

息を吸う。
吐く。
吐息に ....
 「アベ政治を許さない」ってそもそも日本語がおかしい、と思う。
 アベ政治ってなんなのだ。安倍首相個人のことなのか。政策のことなのか。自民党全体のことのなのか。それとも今回の強行採決を指すのか。
 ....
 ジョージ、君がいなくなって、今年でもう三度目の夏が訪れようとしています。
 ピンタゾウザメがいなくなったことで起きる弊害は今のところ
 私の生活に訪れてはいません
 
 アインシュタインや夏 ....
足の小指が嫌いなのだ
 気付いた時には、箪笥の角にぶつかっていたりする

足の小指が嫌いなのだ
 爪がひしゃげて白くにごり何よりひどくみっともない

足の小指が嫌いなのだ
 スマー ....
藤の花に締め上げられてる杉の木が声も立てずに朽ちてゆく初夏

通学路の木の葉の影を覚えてるもう二度と通わない道

肌の色が日に日に焼けてく子供らが通りてく百日紅の下

「まあだだよ」探す気 ....
キャスターが告げるGWの始まりに壁の暦がもてあます明日

人様の都合を聞かぬこの星を苛めるために振りかざす鍬

白米に気色の悪い虫が湧く結局おんなじように生きてる

要するに食物連鎖のくく ....
誰もみな忘れた杉よ藤の花

紅の花弁を滲ます皐月雨

稲苗の月になりけり祖母の爪

花もない山も追い越し泳ぐ鯉

石垣の闇から延びる赤い薔薇

色水を吸って枯れゆく母の花
 日本語は罵倒語の少ない言語、だというが
 今も私の内をぐるぐると
 巡り巡って血肉となった
 汚い、汚い、言葉の数を
 数えてみたならそんなこと
 きっと言えぬに違いない。

 生 ....
 カンパネッラ、君は今頃、
 あの青白く光る星の裏側を、
 旅している頃でしょうか
 
 そこから見ればこの星で、
 炭酸ガスの割合や、窒素や燐の配合や
 地割れや雪崩や日照りに寒さ、おお ....
鵯も食わぬ石榴の祖父の庭

霞む空姿の見えぬ鳥の声

サクラモモウメにレンギョウ山の雲

背比べ白い椿に見下ろされ

一歩進みそれから動けず振り返れば春
 あら、また来たの、と祖母は言う。
 ああまた来たよと私は答える。そうは言うものの、彼女が孫である私のことなどこれっぽっちも覚えてやしないので、私はまたいつものように自己紹介をした。
 それが ....
梅の花 川に零れて 道標


小春日に 墨の一滴 鶫の尾


約束は 雪解け水と 沢に消え
風車が鴎を殺す丘の上で
貴方は海月が可哀そうだと泣きました。
オリーブ色の海の上で
ヨットはぷかぷか浮いています。

風車が鴎を殺す丘の上で
今年も百日紅が咲きました。
延々続く赤色が
 ....
『彼は宗教上の理由で○×できない。』

という例文は

非常に素敵なものである。

神の威を借ることで

彼らはたやすく自らの主張を貫ける。

{引用=リピートアフタミー}

 ....
 凛と張った送電線が朝の冷気に共鳴し
 スクランブル交差点の信号が一斉に赤になる頃
 私は私が私であったことを証明できる
 数少ない証言者である。


 温んだ泥からガマガエルが顔をだ ....
ひとかけのチョコレートさえあったなら生きていけると彼女は言った。




ひとときの夢は勝手に溶けました。

           「甘かったから?」
               ....
コスモスできらいすきすきだいきらい

赤とんぼフレフレ赤勝て白が勝て

今秋も流行りは赤だと鷹の爪

本年の出来はどうだと柿に聞き

もう少し渋いようだと鵯が鳴く

火恋し抱えて帰 ....
「あの子が嫌い」

彼女が一言そういえば
パタパタパタパタ
音を立て
私のオセロは翻る。
黒なら白に
白なら黒に。

「あの子が嫌い」

彼女が一言そう言うたびに。


 ....
トマトみたいなランプが光り
道脇にヒマワリが咲いている
その葉のうえではカマキリが
カマを振り上げ威嚇している

山はもう嫌味なくらいしげみ
おばあちゃんの睡蓮鉢のなか
澄んだ水は空の色 ....
首を吊るには低すぎる木の下で
少女は一人
空を睨んでいた。
役場から聞こえるサイレンが
夕焼け色ににじんで消える頃
やかましかったセミももういない。

――もういいかい

アジサイの ....
道の脇に花火の燃え殻が落ちていて
ああ、そういえば昨日はお祭りだったな、と思いだす。
夏の歩みが
あんまり一歩一歩ゆっくりなので
なんだかもう、
ずぅっと夏の、
ままな気がしてた。

 ....
「僕等は何処に行くのでせうね」

 始発のホームで誰かがそう呟く。
 電車の行き先は決まっている。
 けれども誰かがそう呟く。

「僕等は何処にいくのでせうね」

 病院の屋上で誰かが ....
白いスカートにコーヒーのシミをつけて
笑う少女の無邪気さを
貴方はそうやって嗤いますけれど
残念ですね
口の端にケチャップがついてますよ。

文学少年気取りの
私たちのエスプリなんて
 ....
 しばしば自分の読む小説中に現れる、出所の知れない引用文。
 物騒で物々しい、どこか哀しいその言い回しが僕は少し好きだった。



 言い出したのは、誰だろう。


***
 

 ....
 空は悠然と広く高く
 海は漠然と深く遠い
 その狭間でその松の木はひどくひしゃげて小さく見えた
 その松の小さな陰に、溶け込むように老人は腰をかけ
 いつまでもいつまでも
くるはずの無い何 ....
亜樹(241)
タイトル カテゴリ Point 日付
あなたの知らないところで自由詩016/4/18 21:52
人に好かれる努力をしなよ自由詩316/4/2 6:59
深海魚の気持ち自由詩016/4/2 3:22
泣けよ、サファイア自由詩116/3/30 19:42
嘲ける人自由詩115/12/25 16:21
リコリス自由詩2*15/10/14 21:55
「アベ政治を許さない」ってそもそも日本語がおかしい散文(批評 ...115/7/19 10:58
3度目の自由詩415/5/29 23:43
足の小指自由詩115/5/8 21:27
藤の花に短歌415/5/8 21:15
GWの始まりに短歌315/4/29 22:41
誰もみな俳句115/4/29 22:23
guruguru自由詩115/4/27 19:48
カンパネッラ自由詩615/4/26 20:58
祖父の庭俳句014/4/2 22:11
祖母の瞳は日に日に還る散文(批評 ...114/2/11 22:16
梅の花俳句114/2/11 21:50
風車が鴎を殺す丘の上で自由詩313/7/30 0:09
彼は宗教上の理由で○×できない。自由詩013/6/9 13:36
私が私であることを自由詩413/3/4 20:38
Chocolate短歌012/9/27 17:53
秋は色づく俳句512/9/27 17:43
オセロ自由詩412/9/23 21:42
12色のくれよん自由詩4*12/7/21 0:14
かくれんぼ自由詩712/7/17 23:45
エンドレス・サマー自由詩211/8/8 22:09
「僕等は何処に行くのでせうね」自由詩311/7/25 22:05
貴方はそうやって嗤いますけれど自由詩211/7/25 21:19
さくらぞめ散文(批評 ...0*11/6/20 20:31
しおまち散文(批評 ...0*11/6/20 20:21

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