暖房やあなたは紐の多い服
おじさんは生きてって言う冬の蝶
朝礼の真中を進め砕氷船
冬眠や父は微妙に膨らんで
着ぐるみの覗き穴から初景色
袖口がほんのり臭い春隣
....
鳥雲にアイロン崖下ルーデンス
キュビズム芽キャベツ脅迫的求婚
ずんべらぼんで維持する牢獄や朧
暴飲暴贖罪四温にじむ産婆だ
母音なる子音やしかとかぎろえり
ふり返る花曇 ....
長年患った糖尿病の悪化により、祖母石原みよしの尿はパイナップルジュースになりました。寝台の横に置かれたポータブル便器よりこんこんとわきいづるアンモニヤ臭の中に仰向けていた石原みよしはいまや、ふ ....
あんたは何様なん尊大
な態度時には感謝する
とかまるで無いけどま
じで超超いけずって程
もSでないって本当に
半端じゃと思うわけよ
微妙に傍若無人だしみ
ょうに空気読まんゆえ
に居心地 ....
黒鍵の押されて戻る五月闇
桜桃忌知らない人と手をつなぐ
火取虫それは愛かもしれないし
まっさらな手首でかきまぜるプール
かさぶたのやわくなるまで水 ....
某月某日(土)
句会に出席する。三上先生、毒猿さん、ゆりえさん、ディエゴさん、吉村夫妻。万寿夫さんはウランバートル出張のため欠席。兼題「魂」には皆さん苦吟難吟だったよう。私の「たましいの毛玉に氷 ....
たいていのものは飲み込める歳になった
鞄の中でイソジンがこぼれた
五センチの隙間からチェンジと言われている
携帯小説読んでも文学少女と呼ばれ
なじみの客がとってくれた宅配のピザ
....
ウェブマガジン「週刊俳句」10月28日号に、角川俳句賞に落選した15名(一次予選通過者3名含む)の作品が掲載されています。
http://weekly-haiku.blogspot.com/ ....
AIという類人猿が支配する町で
プレカリアートたる我々の無抵抗不服従単純労働
ここは湿り気があるから白い虫
わたしには栄養があるから白い虫がわく
クリトリスをこねる要領でひねりつぶす
日 ....
ぶってぶって 右の頬をぶって
ぶってぶって 左の頬をぶって
痛い
ぶって
いた
ぶって
いたぶって
打って打って でかいバクチ打って
売って売って 顔と名前売って
のし上がりたい ....
とぅるとぅるのそうめん
「嫌!」
とぅるとぅるのそうめん
「嫌!」
鉄棒
片足でぶら下がる
逆さまに赤く
ひらく
襞
スカートの
{ルビ膝小僧=すねぼんさん}に産毛
砂山 ....
おとなにはいろいろあんだ父さんは今から{ルビHAS=YMO}のライブだ
うん/ううん以外の返事身につけてまた三つ編みが似合わなくなる
あんた九州男児だため息が倍音になるからわかる氷河期から掘り起こされた男根をくるくるとひらいて首筋をぬぐうがいいさ親父はシャンソンが好きだったとりわけ新春シャンソンショーが好きだと言った口の軽い男だった ....
猿股の 月の輪熊 鎌倉で くすぐられる
最新型 通信衛星 カマイタチに 苦しむ
散歩する 罪深い 完璧主義の クラムボン
桜咲く 釣堀で 確認された {ルビQ=クー}資料
裁判 ....
「ありえなくない?」「ありえない」「やばいよね」「22なんてもうババアじゃし」
ぬりすぎてひじきみたいになるまつ毛「ひじきって何?」「虫じゃねんかな?」
なーなーなー修正ペンだけ貸 ....
目を覚ますと、視野いっぱい夫の顔だった。「おはよう」と夫は言った。「おはよう」とヨリコも言った。のどが少し痛むのは、裸で寝てしまったからだろう。夫はきちんと背広を着て、髪を櫛目も鮮やかな七三に整えて ....
真っ暗な部屋の中で赤や青や緑色のLEDが光ってて、クリスマスみたいだと思ったら嬉しくなった。コンピュータはそれぞれに低いうなり声を上げていて、ときどき何かをかじるような音を立てる。お化けみたいだと思 ....
シュウジはもう随分飲んできているようだった。隅っこのテーブル席で、コート着たまんまで細長い身体を丸めて、携帯電話のクルクル部分をクルクルいじっていた。(つか何年前のだよ。いい加減機種変しろ)目はケー ....
父さんが履歴書を書く春炬燵
ホテルXOの看板黄砂降る
ままごとの包丁洗う万愚節
春昼やゴム手袋が落ちている
歯ブラシを真っ赤に染める受難節
小橋中橋京橋渡る花疲れ
....
年下の夫に穿かす白タイツ
闇鍋や阿部定を呼んだのは誰だ
涙目で火事を見ている阿部サダヲ
ほっぺたのにきびをつぶす初鏡
初夢の母がガメラを噛み潰す
恋愛に逃げ場はないぜ貼る ....
ピアス穴に通すえんぴつ去年今年
門松に祖父の植わっておりにけり
探偵は白紙の賀状握りしめ
雑煮餅世間知らずでござんすよ
この町は海市に合併するんだとか
春らんまん桃色うん ....
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