干からびた空
アンモニアの匂いのする路地裏
紫色に光る塔
体中にお守りをぶら下げた男
ショウウィンドウには蜘蛛の巣のようなひび割れ
アンモニア
錆びた鉄橋
霜柱の上にそそり立つ摩天楼
 ....
なにか大仰なことを話すつもりはなくて
ただあなたとなら友達になれるかなと思っただけで

あなたが話してくれたことは本当だ
ぼくの周りにはドーナツ型のカラーパレットみたいなものがあって
生きる ....
バターは素晴らしい
バターは偉大だ
バターを見ているだけで幸せな気分になれる
人類はバターの前にひれ伏すべきだ

おかしいな
ぼくはバターが好きなだけなんだ
それがどうしたことか
こん ....
高台のクリーニング屋の二階はいつ見ても不思議だ
天文台のような半円形の屋根から
艦砲みたいに長い望遠鏡が伸びている
変わったことにその望遠鏡
仰角を向いたためしがなく
ずっと地面ばかりを向い ....
声のない悲鳴が、聞こえる
音のない悲鳴が、聞こえる
ここは静かだ、俺は一人だ
ビルは建っている
笑っている人もちゃんといる
駅前はちゃんと再開発が進んでいる

だが聞こえる
悲鳴が聞こ ....
欄外に繰り延べられていく夜を
空欄の中に込める

この世界に最も必要とされている
無意味という名の希望を生産する

巨でありながら虚
虚でありながら響

かまびすしくあるような沈黙と ....
人形のはらわたを見ている

一昨日前に購入した人形を過失により踏みつけた結果だ

俺は決してそんなものを見たくてこの人形を買ったわけじゃない

だけれどもそのはらわたはとても誠実で

 ....
時が雨として降りしきる

そして時から隔離された部屋の中で僕はぼんやりと外を眺めている

細やかな粒として

時は風に吹かれて舞う

時計は動かない

時は全て雨になってしまったか ....
指紋と同じように
文紋と言うものが存在するとしたら
俺の文紋がべたべたとくっついた文言を並べるのは
心苦しい

灰で洗われた鋼鉄のように
そのようにありたい
熱がフィルター越しに唇に伝わるくらい
短くなるまでたばこを吸う
換気はバンゼンなのさ

太陽があんなに遠くになったよ芥子粒みたいだ

蓋は「ちゃんと」閉っているよ
開けたらオシマイだから ....
蛍光色の空を
眺める
鳥の目も
蛍光色で
そこからしみだした色が
鳥の身体を伝い
なんだかいろんなものを
蛍光色に染め上げる

鳥はあわてて
蛍光色をついばむけれど
色とともに崩 ....
人間にあまねく破滅を。
そう願う刹那的な快楽は、雨の降る深夜の
一人きりの部屋の中にふさわしいとのこと。
要するに、吠え回る犬はだまらっしゃいということだ。

音のある集会場に集うのは、
 ....
銀髪の男はガラス張りの骨組みに四肢貫かれた死のイメージをしていた
青ざめた倉庫街で

少年が自慢の「戦闘機」で痩せた犬を追い回していた
青い塗装のマイクロサイクルで


よう、くそガキ
 ....
高架下に流れる河を二人で見ていた

僕たちはイルミネーションの向こう側に取り残されているけれど

互いの手のぬくもりの中に生まれるものの色は

まるで冬の空のように透明で

何もかも忘 ....
(ビジョン)

とろりとした闇をたたえた海が
凪いでいる

闇の海水を掬い取ると
両手の中に煌く


海と同じ色のやわらかい髪に
冷たいコバルト色の金属糸が結び付けられ
さら ....
古い殺伐が
割れたひざこぞうの隙間から
白い骨を覗かせているので
ご機嫌をとってやった

そこから始まり

一日分の言葉が
牛の子のように
どさりと吐き出される

そこで終わる
 ....
月を月と識別する為の所要時間が
日に日に大きくなってゆく

眼が見えなくなること
耳が聞こえなくなること
子供の頃はあんなにも恐れていたことが
次第に怖くなくなる

仕方の無いことだと ....
僕たちはくろぐろとした息を吐きながら
紅く焼けた眼球をめぐらし
たそがれたからすの一群を
惜しみ惜しみ見送った
坂と階段の街半ばのこと

ともに見守るおとこのことをすこし
みなが半月と呼 ....
天窓から降りてくる自然光で
満たされた
新しいホールのエントランスで
君は未来の話をして笑っている

ただ与えられた職務を全うするだけの犬が
大理石の廊下に
爪の音を響かせんばかりに存在 ....
白猫よ
それは魚じゃないのだよ
僕の手首なのだよ
だから咬むのはやめておくれ

耳に怪我をしているね
首輪はつけて
いないようだね

こんな雨の夜に
引っ掻き回したスーパーの
ビ ....
ガラス張りの夕日を浴び帰途につくと
錆び切った列車がホームに転がり込んでくる
赤い鉄粉を吹き散らしながら


天を衝く花籠
店の名は
物言わぬ圧力の墨で書きなぐられる


灼けつい ....
人は公的な場所で裸で居ると通報され縄にかけられる
最も真の状態が野ざらしにされていることは最も疑わしいこと

昨日太陽が逮捕された
罪状は存在悪

磨きぬかれたコランダムに
丁寧に一枚ず ....
酸素の少ない我が脳内海洋はやや鉛色に近く
光源もなく海面の方角もわからず
足の向こうはるか彼方に海色の生命が消えてゆくのを
黙って見過ごす
生命の気配に希薄だ

伸ばしきって1メートルに満 ....
+誤報+

夏蜜柑色の
カーブミラーに
映る
途方にくれた宵の
ちっぽけな存在感が
ちっぽけに健やかに
廃している

森の陰でぐったりと元気な蕨を折る
麦藁帽子の奥が宇宙のように ....
「加藤のヤツ、やにを塗ってないバイオリンみたいになっちまった」
三上の靴紐がゆっくりと結ばれてゆく
まっさらなカセットテープを再生するような精神状態の時は
靴紐を結んでいる味がしない
そしてそ ....
高層建築物の根元に椿が凍結している

定義されてしまった人間
表面は奪われてゆく
相互関係は失われるままに断片化されてゆく
体温のある調度はあるいはパック詰めされた精神

光沢のある闇が ....
「僕の知らないところで音が生まれ、消えてゆく、それが悲しくて」
水がしょんぼりと肩を落とす

喫茶店の2階テラスで
心臓の鼓動みたいに
雨粒が弾ける
音が聞こえない
窓のむこうのことだか ....
水がうろたえていた
「レセプタがないから、レセプタがないから!」
額から汗がぽたぽた落ちて
やり場に困ったように腕が
頭を抱えるそぶりを見せたり
突然ひきつけを起こしたように首が
一般的に ....
黒い独楽に心臓を奪い去られた街が
朝を待っている

メダリオンを施された靴が
血と土を踏みしめ

骨ばった指の先が
染みのついた君の前歯に触れる

君はいろいろなところに穴が開いてい ....
一般詩人-(29)
タイトル カテゴリ Point 日付
虚偽の森自由詩423/10/6 0:46
フェルナンドへ自由詩620/10/1 2:19
バターのうた自由詩820/4/15 20:13
望遠的カレイドスコープ自由詩117/12/30 2:46
透明なゾンビ自由詩117/11/27 19:20
ある神に関するメモ自由詩113/10/25 1:19
はらわた自由詩213/7/3 23:28
時の雨自由詩9*13/3/29 1:24
鋼鉄と灰自由詩2*12/5/21 23:40
「 」自由詩3*12/5/8 22:30
原色の太陽自由詩1*11/8/5 1:49
或る日常のパッケージ自由詩1*11/7/27 23:59
灰色の青自由詩1*11/7/27 23:58
高架下の冬の河を自由詩1*10/12/29 1:02
闇の漣自由詩1*08/7/8 1:14
安寧の駅自由詩1*08/7/8 1:12
天国到着予定時刻自由詩1*08/7/8 1:09
たそがれたからす自由詩3*08/2/3 23:50
自然光のデルフォイ自由詩2*08/1/26 22:13
白猫よ未詩・独白2*07/11/5 23:29
一千万都市の無人駅自由詩1*07/10/18 23:54
存在悪未詩・独白2*07/9/10 0:03
観念の海と雑想未詩・独白2*07/8/28 3:39
誤報+光彩+波止場未詩・独白1*07/8/20 0:50
イルミナ自由詩2*07/7/24 0:02
夏が来るとき自由詩4*07/7/19 2:17
ピカロ(水のこと・その2)自由詩2*07/7/17 2:44
水のこと自由詩4*07/7/2 22:16
半透明な休日自由詩2*07/6/30 22:57

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