取り残されたら怖いなって
そう思うのに
いつもみんなと同じタイミングではくっつくことができずに
遊離した電荷はなるべく迷惑をかけないよう漂うしかない

伝えたいことを一つも伝えられないまま
 ....
そんなに折れてしまいやすいのに、毎日穏当な光の前に立っていたあなたに
知らなくていいから、知ってほしいの

無名な誰かの孤独をたとえば廃墟から持ち去って
遠い向こう側の二重の世界で再生された笑 ....
奨学金の返還誓約書を提出しなきゃいけないとかで
今日、はじめて三号館という建物の七階までのぼって
はじめてそんな高い場所からこのキャンパスを見おろした

僕は、
四年もこの学校に通って
そ ....
さみしかったんだ
ほとんど狼みたいに毛羽立った孤独を
ずっと人の死角にかくして



宇宙に旅立ったアホウドリの飛行士の話。
最近、ようやくこの星に戻ってきた彼の話によると、
宇宙の中 ....
今日もあなたが
いこうとして、
それでもやっぱり失敗してくれることを
俺は望む
物語にも詩にもなれない言葉たちが積もっていく
それは、心の、大きな空洞を埋めることなく
外に積もる

臆病者には、逃げ腰の姿勢がいちばん似合いだよ
罪悪感を抱え込んで
それは、この砦に残っ ....
まどろみながら
僕が見失っていたのは帰る場所だった
それとも
もしかしたら行き先だったかもしれない

目に見えるものの手触りを確かめて
それをどう思えばいいのかを確かめていた
孤独な色だ ....
哀しみをうたにしたいのだけど、
感情は言葉になる前に溶解して、
つるりと喉の奥へ消えていったよ

哀しみはどうにか優しくなろうとしていたのか
最後にスープのような、甘い味がした


誰 ....
思えばどれもこれもが
規格の怪しいものさしばかりだ
醜悪きわまりない視力だ
なあ、太陽には愛がある
そう思わないか?
太陽がもし熱いのなら
俺の心は冷たいんだろうな
この世界を構築してい ....
あるメロディーを聴いた
けたたましい騒音の中から

あるメロディーを聴いた
さかまく日々の雑音の中から


街に集まった人びとは
メロディーに合わせて歌を歌った
どんなに綺麗 ....
はじまりは一本の大きな幹でした
その幹がどんなに大きくたって
みんなみんなその場所にいたから
誰かが声を発すれば
その声は確実な伝言ゲームで
紛うことなく誰かのもとに届けられました

や ....
人びとは沈黙を挟んで同じ世界に
仲良く寄り添う

皆はこの豊かな沈黙に
穏やかなメロディーに
静かに耳を傾けて心地よさそうにしているので
僕も同じように耳を傾けてみる

電 ....
{引用=短編小説。長いです。}


僕は睨みつけた。この狭い視界の中から、猜疑心満載の眼差しを、ちらつかせながら、今見えている僕の居るこの世界に、差し向けた。

掴もうと手を伸ばしたが、こ ....
ビルの
濡れたところと乾いたところ
海岸通りによく目立つ
あの一枚岩のビルが
晴れ間の舞台に立ち
静かな雑音と共生しはじめたばかりの今
まるで定規で測ったような岩壁のところどころが
濡れ ....
今日は夕焼け空だった
だけど今日は相変わらずどこへも入り込めなかったので
迷っているうちに一日が閉じた
そして空欄の日記が増える
今日も何もない一日だった

なあ、嘲うなよ電気
そりゃ確 ....
レイン
あのとき足音にかき消され
君の言葉が聞こえなかった

雨が降る
自由が再び吸い込まれていく
星が湿度を復元する
束の間の動作
長旅を終え
地面に歪んでは消える ....
ただの生活の中を
ただの生活だなんて言って
大して感動もせずにフラフラ生きてたら
ときどき前方不注意で
誰かの真摯な想いの背中にどしんとぶつかることがある
いい加減見かねた神様にマジビンタを ....
遠くの雲が寄ってくる
僕はそいつに親しみを覚える

心の中の気まぐれな破天荒は
あの雲のように
高くなったり
低くなったり
見えなくなったり


目を細め、濃淡の薄まった視界の中で ....
今日も君はハイヒールを履いて
チラシを踏んづけて転びそうになって
ガニ股で踏ん張って
舌打ちをしたらやけに悲しくなって
走る必要なんかなかったのに走って
街から外へ出てきた

外に出ても ....
粉を炊く
白地の布を展開する
酩酊による寒け
ナイロンを取り除く

世界を開いて
中身を注ぐ
錆び付いた綱
哀れな焔



あなたの身に余る幸福の
余った部分をください

 ....
それぞれには帰りたい場所というものがあった
所属欲だ
僕と君は何故か駅で別れた
君は東京へ向かった
東京とは、夢の中に出てくる場所、のイデアを
指す、幻の国の名、ではないのかと
僕は呟く
 ....
ただ、空ばかりが暗い

照明ばかりが明るい

そこだけ白くて

他は黒い



朝、目を覚ますたびに泣いた、と君は言った
僕はその言葉を重んじてうなずいた


 ....
僕はデスクのパソコンで暇な時間割をつくっている、らしい

僕がこの暇な時間割をつくることによって
会社の誰か(例えばそこの古いプリンターの向こうに霞んで見える上司、とか)がいくらか満足し
会社 ....
ささやかなごく、日曜日
ファミリーレストランでアルバイトをしていたら
ひと組のささやかなカップルが入ってきた、
というどうでもいい話
は、詩にはならないだろうか

「いらっしゃいませ。何名 ....
あなたの住むマンションまでやってきた

あなたに食べてもらおうと思って焼いたクッキーは
人生で初めて焼いたクッキーは
思う以上に手間取り
夜になってしまった

マンションはほとんど街のは ....
僕は目が悪いので、つねづね目にコンタクトレンズをはめているのだが、たとえば海で泳いだりするときなどは、コンタクトレンズをはずさなければならなかったりする

コンタクトレンズをつけていないときの僕の ....


昼寝でもしたくなるぽかぽか陽気だ
ぽかぽか陽気に抱かれた町で
電信柱の黒い毛に結ばれた商店街の
のんびりとしたアスファルト
のんびりとしたアスファルトの上で
サディストがマゾッホを ....
ワガママなあなたはハナっから
あからさまな逆さまだったから
飾らなかった露わな狭間
また真っ逆さまだ

あなたは若さ、または様々な甘さが
早々、たわわだった

まっさらな朝っぱらから
 ....
あなたは就活のためにと家庭教師のアルバイトを僕に勧め、僕はうなずいた。

謝らなくちゃいけないことがある
本当のところ
あなたと出会った時点ですでに
僕はこの現実世界にいなかった
半分もい ....
その理論はすべからく間違っている
と僕は彼に言った

この部屋の中を見回してみろ
居眠りしてる奴らばっかりだろう?
教授の経済談義を真面目に聴いてる奴なんて
その数はいかほどのものかと言え ....
チグトセ(37)
タイトル カテゴリ Point 日付
エレクトーン自由詩3*16/6/25 13:42
ベビー自由詩016/6/16 11:46
ドライ自由詩15*08/11/11 6:50
プール自由詩14*08/3/8 4:09
宛て自由詩107/12/17 17:24
十一月自由詩6*07/11/6 11:07
光線自由詩11*07/9/20 21:49
帰る場所自由詩10*07/9/19 22:24
自由詩2*07/9/16 3:50
メロディールーション自由詩11*07/8/27 1:48
自由詩10*07/7/24 16:56
沈黙自由詩9*07/5/25 13:52
*浮き島散文(批評 ...3*07/5/25 13:36
アメアガリ自由詩9*07/5/21 22:29
アカネ自由詩8*07/5/21 2:05
レイン自由詩14*07/5/11 9:27
オニキス自由詩12*07/5/4 1:32
ライトブルー自由詩5*07/4/29 14:44
弱い音自由詩9*07/4/29 9:58
有食自由詩6*07/4/28 18:49
縮尺自由詩10*07/4/27 17:49
うた自由詩9*07/4/24 2:16
暇な時間割自由詩6*07/4/21 19:07
ファミリーレストラン自由詩6*07/4/21 18:25
月視自由詩5*07/4/20 17:52
海眼自由詩5*07/4/20 17:21
小春景色自由詩5*07/4/14 17:26
甘かったサラダ自由詩9*07/4/13 0:53
優縁台自由詩7*07/4/12 16:31
経済、飲み会、昼寝自由詩3*07/4/10 13:00

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